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“未来“をつくる11のテクノロジー

今回は、未来を形作ろうとしている新しいテクノロジーの話題です。

1900年にGEが開設した最初の研究所はたった3名の研究員とともにスタートしました。それも、チーフエンジニア宅の裏庭にあった納屋に構えた簡素なものでした。

その1年後、この研究所は不幸にも火災に見舞われます。ニューヨーク州北部に移設された研究所はその後複数のノーベル賞受賞者を輩出し、今では何千もの特許を保有してGEのイノベーションを牽引しています。ニューヨーク州ニスカユナのこの研究所は、ブラジル、中国、ドイツ、インドにも設置されたGEの研究所で働く約3,000人の科学者たちが属すグローバルな研究開発ネットワークの拠点のひとつとなっています。

ここでは、これらの研究所で進む “いつか世界を動かすかもしれないプロジェクト” の一部をご紹介します。

GEグローバル・リサーチの主任科学者、ラディスラヴ・ポティライロと彼のチームは、微細科学(ナノテクノロジー)と光科学(フォトニクス)を駆使して、モルフォチョウ属の羽にみられる棚構造を再現しました。この記事のトップに掲載している画像が、それです。この成果を活用して、チームは温度や化学作用を検知する高速かつ超高感度のイメージセンサー開発に成功。彼らは今後、暗視ゴーグルや超高感度監視カメラ、携帯型やウェアラブル型の医療診断装置に応用したいと考えています。

前出のポティライロの同僚、グリゴリー・ソロベイチクは、数十キロワット時以上の蓄電が可能なフロー電池の開発に取り組んでいます。フロー電池は自動車以外にも、風力発電所やその他の再生可能エネルギー源のバックアップ電源としての活用や、付近一帯の電力供給、パワーグリッドへの貢献も期待されています。「たとえば、余剰風力を蓄電することも可能です。電力会社の皆さんにも、これを活用していただくことができるようになりますよ」と言います。

エンジニアのジェームス・ヤンと彼のチームは「Direct Write」と呼ぶ新しいテクノロジーの開発に取り組んでいます。この技術は3Dインキングとしても知られています。インダストリアル・インターネット(重工業の世界のIoTと言えばわかりやすいかもしれません)にとってはビッグデータがその血液であるように、「Direct Write」は工業(機械)デザイナーに息吹を与えてくれます。この特殊な「インク」のおかげで、デザイナー達は簡単かつシンプルな構造で製造できるデータ集積用の超小型センサーを考えることだって可能に。機械の稼働状況データを吸い上げてくれるこのセンサーを”Direct Write”することができるようになれば、ジェットエンジンやガスタービン内のように高温かつ過酷環境下で稼働する物や、別部品として追加するには設置が難しいところにも直接装着可能になる、というわけ。ヤンは「この“Direct Write”技術、いま僕たちはセンサーを立体形成するために使用しているけれど、そのうち、あらゆるところで使用されるようになるはずだよ」と話しています。

ニューヨーク北部、スケネクタディからそう遠くない場所に、GEは固体酸化物形燃料電池のテクノロジーを研究するための新しい製造開発拠点をオープンしました。ここで開発された燃料電池は蓄電池に似た性質をもっており、天然ガスに豊富に含まれる水素分子と大気中の酸素による単純な科学反応を活用して発電します。新システムによる発電効率は、究極の技術水準とされる65%に到達。発電過程で生み出される廃熱を利用した場合には、全体効率はなんと95%にまで高まります。GEグローバル・リサーチのアドバンスト・テクノロジー(先進技術)リーダーでありGEの燃料電池事業の責任者でもあるジョハンナ・ウェリントンはこう話します。「燃料電池技術は難しいうえ、技術的に可能になったとしてもそこにかかるコストが高すぎるという問題には、長年、多くの人が泣かされてきました。でも、我々のチームは新しい電池を完成させただけでなく、経済的な課題も解決することができた。これはまさに、ゲーム・チェンジャーになると期待しています」

汗は体の状態を示す貴重な情報の宝庫。複数のラボの科学者たちが、ナノテクノロジーによってこの情報を解読し、250万ガロンの水(浴槽5万杯相当!)に落としたたった1滴の汗に含まれる生体分子をも検出できる、高感度かつ柔軟性のある絆創膏タイプのワイヤレスセンサーを開発しようとしています。米空軍はこのセンサーをパイロットのモニタリングや能力の把握・向上に利用することに関心を示していますが、このテクノロジーは民間分野でも広範に応用できるはず。GEグローバル・リサーチのナノ構造および材料表面ラボの責任者、スコット・ミラーは「心身の疲労は、航空管制官や消防士、重機操縦士だけでなく、その他にも多くの職業に従事する人が抱える要素のひとつですから」と説明しています。

そして、ミラーの同僚のマット・ウェブスターはあらゆる食品に対応する万能カロリー計算機の開発に取り組んでいます。チームは現在、米ベイラー大学の電子情報工学部の研究者と協働して、油分、水分、糖分の単純混合物を計測すべく、このシステムをテスト中。すでに彼らは試作品を完成させていますが、将来は家庭のキッチンに標準装備されるような押しボタン式カロリー計算機にすることを目指しています。そのうちGEチームがこの食物カロリー計とスマートフォンのアプリやウェアラブル型消費カロリー計を連携させる日だってくるかもしれません。

GEは脳をより詳細に研究するための機器開発も進めています。ある研究者グループは、脳内水分子の動きを画像化することに着目し、脳内組織の仕組みはもちろん、それらの組織個々の機能や組織間の連携が適切に機能しているかどうかを「脳内配線図」とも呼ぶべき画像でより詳細に把握できるようにしようとしています。将来的には脳卒中からアルツハイマー型認知症、臨床的うつ病に至るまで、脳疾患の研究に医療用スキャナーが使用されるようになるかもしれません。

GEライティングのエンジニアが開発した植物育成用LED照明は、日本のベンチャー企業「みらい」との協業で農業に革命をもたらしました。極寒地域や砂漠地帯、さらには食の安全を確保したい団体など、このテクノロジーには世界中から関心が集まっています。この植物工場の1つは、すでに宮城県多賀城市で稼働しています。

GEの科学者たちは、数キロワットの電力を送電できる、ヒトの髪の毛より細い小さな電気スイッチを開発しました。微小電気機械システム(MEMS)と呼ばれるこのスイッチには、医療機器や航空システム、その他の産業製品の廃熱や消費電力を減らせる可能性が。彼らは「LTE-Advanced」または「True 4G」と呼ばれる次世代無線規格を活用して、スマートフォンやタブレット端末の小型化にも取り組んでいます。新規格では、ユーザーは毎秒3ギガバイトのデータを受信できるようになり、既存の4G通信の10倍の速度が実現される見込みです。

GEベンチャーズは最近、商用ドローン(無人飛行機)向けのハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスを手掛ける米Airware社に出資しました。同社の技術を用いたドローンは、ケニアの野生生物保護区におけるキタシロサイ密猟防止策として既に活用されています。同社の創業者で最高経営責任者(CEO)のジョナサン・ダウニー氏は「お客さまがあらゆる商用ドローンを簡単にカスタマイズすることができ、安全と信頼を確保して操作できるようにしたいと考えているんです。産業界はもちろんのこと、規制当局もこの技術を必要としていますから」と語ります。

GEの研究者たちは特殊磁性材料をつかって水の氷結温度まで冷却できる(ビールも冷やせる!)システムを開発。現在の冷却技術の効率を20%以上も高める画期的なこのシステムは、10年後には家庭の冷蔵庫にも搭載されるようになるでしょう。

このシステムでは化学冷媒やコンプレッサーを使用する代わりに、水溶性の流体を磁石の間に流すことで熱交換を行います。したがって環境負荷の劇的低減が可能になるだけでなく、その冷蔵庫が不要になった場合も簡単にリサイクルできます。研究チームのリーダー、ベンカット・ベンカッタクリシュナンは「これはビッグ・ディールだよ。僕たちは今まったく新しい冷却技術の幕開けに立ち合っているんだ」と笑 います。