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この環境のなかで勝利を収める|GE「投資家の皆様への手紙」より

ドナルド・トランプ大統領率いる新政権の政策のもと、各企業も様々な動きを見せています。先日GEが公開した「2016年度アニュアルレポート」には、例年どおり、GEの会長兼CEOを務めるジェフ・イメルトが記した「株主の皆様への手紙(Letter to Shareowners)」を収めており、この手紙の中ではGEの考えもご説明しました。ここでは、手紙のなかの一項 “この環境のなかで勝利を収める(Winning in the environment)”を抜粋し、日本語訳でご紹介します。

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この環境のなかで勝利を収める
2016年GEアニュアルレポート 「株主の皆様への手紙」より

どのような組織であれ、いま、2つのマクロなテーマの影響を受けています。ひとつは、グローバリゼーションに対する考え方の変化、そしてもう片方は疲弊した産業界においてデジタル化が果たす役割です。いかなる企業も、この変化の波を避けて通ることはできません。

GEは今日も、そして将来にわたり、グローバル企業であり続けます。しかし決して自らが「国籍のない多国籍企業」であるとは思っていません。GEは世界中の隅々で成功を収めているアメリカ企業であることを誇りに思っています。

2000年当時、GEの収益の約70%はアメリカ国内によるものでした。今日では、受注の60%以上は世界中の市場からやってきます。この間、GEのグローバルな成長率は年間平均5%から10%を記録しました。たとえば、航空機エンジンやガスタービンはその85%を米国外に販売しています。グローバル市場で成功を収めることにより、GEはアメリカ国内で何千もの雇用を生み出しています。9.11の同時多発テロ後、米国の商業航空機市場は休業状態に陥りました。しかしGEは世界中で成功を収めていたため、この事業は安定しており、米国内の工場も休業することはありませんでした。現在では年間200億ドル超を輸出しており、世界のベストプラクティスを広げて顧客や業界との関係を築き続けています。

とはいえ、グローバリゼーションに対する見方が変化しつつあることから、GEもまた機敏に対応していくことが重要です。経済がナショナリズムの方向に向かう傾向が世界中で強まっていることから、政府が経済に大きな影響を与え、地元での雇用創出に焦点を当てる動きがこれまでになく高まっています。

米国は中国やドイツと同じ前提でグローバル市場の競争をしているわけではありません。これまで米国は、製造業の企業や勤労者に対してそれほど力添えをしませんでした。米国の関税政策は、輸出ではなく輸入を促進していたのです。米国のインフラは基準以下になってしまっており、関連法令はすでにズタズタな状態です。アメリカは機能する輸出銀行を持たない唯一の経済大国なのです。競争相手が変化を受け入れているなか、米国はもはや世界で独自の存在になっており、大半の分野の政策は時代遅れになっています。一方、他の国々はすでに動いており、「政府対政府」で売り込みをかけ、競争優位性をさらに伸ばすような貿易協定を締結して成長を促進しているのです。世界が静止することはありません。GEは、新政権がアメリカ企業にとっての「グラウンドを地ならししてくれる」ことを期待しています。

GEは独自のグローバル化を遂げてきました。また、GEは、アウトソーシングとグローバリゼーションは違うということを理解しています。アウトソーシングはもう過去のものです。80年代や90年代に企業は安価な労働力を求めて発展途上国に進出しました。アメリカ企業を喜んで迎えた国に移転してしまったアメリカの職もいくらかあります。賃金の差から、仕事を失ったアメリカ人がいるのも事実です。しかし今日のグローバリゼーションの根底にあるのは、急速な成長を遂げる世界市場へアクセスする、という考え方です。GEは事業を行う世界中の国々への投資を行い、事業運営を進め、関係を築けば、成長のチャンスが確実にあると考えています。独創的な金融ソリューションを提供し、ジョイントベンチャー(合弁事業)を展開している当社には、成長の余地が非常に大きい市場における決定的優位性があります。グローバルで、かつローカル型であることは、当社が事業を行う世界180の国々で成功を収めるための必要能力です。さまざまな市場で実際に、また、常にプレゼンスを維持しており、GEが世界で成功を収めるということは、同時にアメリカにも利益をもたらすことになるのです。

この国々には中国も含まれます。どの企業も、どの国も、この世界第2位の経済大国とエンゲージするには戦略が必要です。GEは中国での成長を続けます。ローカリゼーション能力、パートナーシップの構築、ならびに現地市場のための生産性高いデジタル・フレームワークを作り上げることによって、競争に挑んでいきます。GEは中国への純輸出企業です。私たちは中国の複数の建設会社と提携し、アフリカとアジアの市場で成功を収めるため、彼らの資金調達も後押ししています。GEの投資は中国とアメリカで雇用を生み出しており、更に、自社の競争力も高めているのです。

GEのイノベーションはまた、世界の最も難しい課題のいくつかを解決することができます。GEは長らくクリーン・エネルギー開発の先駆け的存在でもあり、また、手の届きやすい医療用技術も提供してきました。GEの機関車は南アフリカやブラジル、インドネシアで目にしていただけます。また、イラク、アルゼンチン、ナイジェリアでは電気を復旧させています。軍用機に搭載されているGEのジェットエンジンは、世界の平和を守っています。地元の問題は地元に根付いていなければ解決できません。GEは世界中のどの企業よりも最上のフットプリントを世界中に残している、と私は自信を持って申し上げます。

同時に、GEが事業を行う場所の社会にもたらす恩恵は明確で、これは特にアメリカで直接に、また間接的に雇用している約100万人の人々について言えることです。彼らは質の高い仕事を所望し、GEがより強い企業として成長を続けられるよう、米国でも国外でも長期的な投資を行うことに期待を寄せています。リーダーシップとは、これまで以上に、将来性ある人々を新たに惹きつけていくことなのです。GEは単一企業として、差別をせず、未来を恐れない成果主義の集団として活動していきます。GEで働くアメリカ人たちは、ブラジルや中国の取引先の方々に好意的です。優れたグローバル企業というのは多様性に富んだチームで、困難な時にはお互いに助け合う仲間なのです。

私たちはグローバリゼーションの終焉に立ち会っているのでしょうか?私はそうは思いません。金融センターから、あるいはウェブサイトからしか世界を見ていない「グローバルエリート」が終わるだけです。たいていの「グローバル機関」は設立から70年が経っており、現代のグローバルな課題に対応するためには近代化が必須なのです。グローバリゼーションとは「地道なこと」であり、地場に根付いて小売りのレベルで消費されることが重要です。グローバリゼーションとは極めてローカルなことなのです。世界のどこにおいても投資と雇用は重要な意義をもちます。そして、グローバリゼーションは「新鮮な」ことであり、日々変化するものなのです。

はっきり申し上げます。GEは多国間の相互自由貿易と自由貿易を選好します。ナショナリズムに向かうこの時期であっても、GEの競争上の優位性は向上するでしょう。GEは貿易協定を必要としてはいません。私たちには優れたグローバル拠点があり、GEに資金調達へのアクセスを提供する国々からは、輸出することができるのです。GEは起こりうる税制政策の変更や保護貿易への傾向にも対応します。GEは我々のグローバルチームを尊重します。グローバリゼーションをあきらめた企業を多く見聞きしますが、それはGEにとってチャンスが広がっていることを意味するのです。

アメリカ人のビジネスマン、ビジネスウーマンは自らが所属する組織のグローバルチームとチームメンバーの母国に敬意を払うことはできるでしょうか?私はもちろんできると思います。アメリカ人は「認める」ことを重んじるからです。公平さ、真の価値、ベストを尽くし競い合うこと、リスクを取る姿勢、努力すること、還元すること、研鑽すること、誠実さ。こうしたものが、アメリカ企業であるGEを世界中で成功するに導いた概念であり、価値観なのです。私はこうした概念と共に育ちましたし、この価値観なくしてGEの世界中の従業員に接することになれば、決して優れたアメリカ人CEOになどなれません。

ですが、現実を直視してみましょう。米国の勤労者の多くが抱いている懸念の多くは競争力の不足が原因です。機能を果たしていない政府を責めるだけではいけません。税制改革は一つの手段かもしれませんが、唯一の解決策ではないでしょう。米国企業は投資を増やす必要があるのです。ここ数年にわたり、設備投資は大幅に減少しています。ただ単に安い賃金を求めるだけのアウトソーシングは安易すぎるのです。このところ見られる大規模な産業界の統合も、イノベーションを絶やし、競争力ある人材への投資を減らしてしまったことから、米国の競争力向上には繋がりませんでした。

GEは、産業界のデジタル化への投資が生産性という課題を解決する手段になると考えています。生産性向上に寄与すると見込む2つの新しい技術が、インダストリアル・インターネットと積層造形(3Dプリンティング)です。GEはこの両分野における主導をとります。なぜでしょうか?それは、身を引いて他企業に市場創出を委ね、リーダーの立場を降りてGEの果たす役割を消費者へと移すことは、いつでもできるからです。

GEはこの革新的な両分野での最高の知的財産と最良の能力を保有しています。GEは巨大な実践者であり、私たちの顧客企業は生産性を渇望しています。インダストリアル・インターネットと積層造形(3Dプリンティング)を勝ち取ることによってGEは最上のものを得ますが、それらを他社に渡してしまえば最大のものを失うことになります。いまGEは、自社や顧客企業、ひいては世界の生産性を生み出すような、新しい事業を作り上げているのです。

デジタル化とグローバリゼーションが交わることで、GEは、よりスキルが高く給与水準も見合った人材を惹きつけることのできる、より競争力の高い企業となります。私たちは最近、インディアナ州に航空機用の新たなジェットエンジン工場を設立しました。この工場ではLEAPエンジン(※)を製造しています。このエンジンには141ものセンサーが搭載されており、用いる部品の中には3Dプリント技術を使用して設計・製造されたものや、次世代のセラミックマトリックス複合材料(CMC)で作られたものもあります。LEAP(※)はこれまでにない、最先端の耐久性のあるデジタル対応エンジンとして設計されており、その80%は米国外へ輸出される予定です。また、GEのサービスエンジニアは毎日、デジタルツールを携えて世界中のお客様にサービスを提供しています。イノベーションは、仕事や作業者をいっそうスマートにしてくれるのです。

※GEと仏Safran Aircraft Enginesの合弁企業、CFMインターナショナル製

GEはグローバリゼーションの先駆者であり、デジタル化のリーダーです。GEは競争上の優位を獲得するための変化に対し、投資を行う計画をしています。

GE 2016年アニュアルレポート ウェブサイトはこちら(英文)
「株主の皆様への手紙」はこちら(英文)