ロゴ

GE、3Dプリンティング技術を進化させる研究所、開設へ

今年10月6日、アメリカ南西部にあるモハーベ砂漠の片隅で、左翼に真新しい航空機エンジンを換装したボーイング747型機が、滑走路を離陸しました。このテスト用エンジンの初飛行は短いものでしたが、航空機産業の歴史を塗り替えるものになりました。

このエンジンの名前は「LEAP」。コンピューター誘導式レーザー装置を使用した“3Dプリンター”で製造された19個の金属製燃料ノズル(写真下)を搭載して飛行に成功した初のエンジンです。「ジェットエンジンに効率よく燃料補給できるノズルを設計しました。このノズルは芸術品の域に達しています。3Dプリンティングという新しい製造手法が工業デザイナーに新たな自由をもたらし、想像力を掻き立ててくれたのです。これ以上のノズルが作れるでしょうか」と語るのは、3Dプリンティング技術の草分け的存在で、GEアビエーションでアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)の研究をリードするグレッグ・モリス(彼が創業したモリス・テクノロジーズ社は、2012年にGEアビエーションに仲間入りしました)。

3Dプリンターで製造されたLEAPエンジンの燃料ノズル
画像:CFMインターナショナル

GEは3Dプリンティング技術やその他のアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)ツールのさらなる発展の可能性を確信しており、すでに、3,200万ドルを投じて積層技術に特化した新たな研究・教育センターをペンシルベニア州に開設することを発表しています。モリスは「積層技術を起爆剤にしたいと考えています。歴史はまだ浅いものの、これは非常にパワフルで“破壊的”なイノベーションをもたらすツールになりますよ。我々は、この技術をGEの事業全体で最大限に活用したいんです」と言います。

アディティブ・マニュファクチャリングは、不要部分を除去して最終形状に加工する旋盤加工・切削加工・穴あけ加工などの伝統的な「サブトラクティブ・マニュファクチャリング(除去加工)」手法の対極にあります。積層技術という名のとおり、薄層材料を何層にも重ねて部品を製造していきます。言わば、スライスされた食パンを積み重ねて、1斤の食パンを作り上げるようなもの。

このアプローチにより、工業デザイナー達は、従来は製造できなかった軽量化と耐久性を強化した形状を実現できるようになりました。しかも完成部品は最終形状に非常に近づいているため、このテクノロジーによって製造工程のムダを劇的に削減することができるのです。

アディティブ・マニュファクチャリングのおかげで、工業デザイナーは
このジェットエンジンの燃焼装置をはじめ従来の機械では
製造が非常に困難だった部品も創り出せることに
画像:GEアビエーション

たとえば3Dプリンターで製造したLEAPエンジンの燃料ノズルのケースでは、従来モデルの「5倍の耐久性」と同時に「25%の軽量化」を達成しています。アディティブ・マニュファクチャリングによって、ろう付けや溶接をする部品の数を20個からわずか1個に減らせただけでなく、最高の燃料流量を実現する形状を考案することが許されたのです。「これらのツールは、もう、途方もない創造力を発揮させてくれるんです」

注)このノズルはGEと米パーカー・エアロスペース社の合弁会社、アドバンスト・アトミゼーション・テクノロジーズが製造したもの。また、LEAPエンジンは、GEと仏スネクマ社(サフラン・グループ)の同額出資による合弁会社、CFMインターナショナルが開発。

GEがペンシルベニア州西部に建設する125,000平方フィートにおよぶ上述の新施設では、工業デザイナーとエンジニアにアディティブ・マニュファクチャリングのデザイン・ノウハウや製造方法について教育を施すほか、近郊にあるカーネギーメロン大学やペンシルベニア州立大学、ピッツバーグ大学の学生とも密接に協力する予定です。

GEとGrabCAD社は昨年3Dプリンティング技術のオープンチャレンジ・コンテストを実施、
ジェットエンジンブラケットの新デザインを募集した。
既存のブラケットの重さが2,033g(4.48ポンド)だったものに対し、
優勝者はそれを約84%も軽量化して、わずか327g(0.72ポンド)に。

新施設には、プラスチック素材も金属素材にも対応する3Dプリンターやその他の積層造形機を導入する予定です。GEの事業担当者はこうした技術にアクセスすることによって、無駄なコストを費やすことなく、過剰な注文に対処したり、試作品を作成したり、新たな部品を製造することが可能になります。「GEの各事業部門で開発コストを分担し、共通のニーズを模索するのが狙いです。ある程度の知的財産を社内で共有するうえでも役立つはずです」

アディティブ・マニュファクチャリングを使用した“ものづくり”だけでなく、このセンターでは50人のエンジニアたちが積層技術向けの新たなマテリアル開発にも取り組みます。

GEは過去2年間に米国に5つのアドバンスト・マニュファクチャリング(最先端で高度な製造技術)センターを開設しており、ペンシルバニア州の新施設はこれらに加わる形となります。既存施設は、サウスカロライナ州グリーンビル(パワー&ウォーター)、ノースカロライナ州アッシュビル(アビエーション)、アラバマ州オーバーン(アビエーション)、フロリダ州ジャクソンビル(オイル&ガス)、バーモント州ラトランド(アビエーション)に位置しています。

GE副会長のダン・ハインツェルマンは「バーモント州の施設は、最近7,500万ドルを投じて拡充しました。これによって、GEアビエーションはジェットエンジン製造に最新の製造技術を活用することができ、その結果3億ドルものコスト削減つながっています」と話しています。

モリスは次のように述べています。「我々は、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)が一時的な流行で終わることはないと考え、大きな賭けに出ました。この技術を用いた製法で、今後いっそう幅広い部品の製造が可能になります。現在は社内全体で人材育成と意識向上に取り組む過程にあります。全てのエンジニアたちは、この非常にパワフルで実現力のあるツールを思う存分利用できる、という事実を認識する必要があるのです」

新施設は2015年に開設される予定です。