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「再生可能エネルギーの黄金時代」に向けた、6つの実践的アイデア

GEエナジー・コンサルティングのシニア・テクニカルディレクター、ニック・ミラーは「再生可能エネルギーの黄金時代」がやってくると信じて疑いません。ミラーは、業界向けのアドバイザーとしても実践的な見解を示し、日々“エネルギッシュ”な議論を展開しています。今回は「再生可能エネルギーの黄金時代」を現実のものにするための、ミラーの見解をご紹介します。

1. 革命には失敗がつきものだと考えよ

これまでの15年、私は様々な研究プロジェクトの統括にあたってきました。その間、世の中、そして電力業界は目まぐるしく変化を遂げました。何もかもがうまくいくわけではありません。失敗すると「こんなことをしてる場合じゃない」と口にしてしまいがちですが、それでは何も解決しません。大事なのは、その失敗から何を学ぶかです。

ニック・ミラー|GEエナジー・コンサルティング シニア・テクニカルディレクター
New York State Wind studyやCalifornia Intermittency Analysis Projectの
主寄稿者でもあるミラーによれば 「もっとも経済的なのは、いまあるものを見直し有効活用すること」

2. 何よりも柔軟性。これこそが風力発電や太陽光発電を取り入れた電力系統運用のポイント

確実な需要予測は不可能(時間帯によって電力消費量が変動)であるうえに、再生可能エネルギーは発電量が不安定(風や日射の変化は予測不能)なため、電力系統におけるあらゆる要素には素早い対応が求められます。業界らしい言い方をすれば「柔軟性」が必要ということ。

そこで他の発電方法が重要になります。例えばガスタービン。従来は起動に1時間かかっていましたが、これからは数10分で起動し素早く出力量を向上させる能力が求められます。また、次のピークに備えて出力を抑えたままスタンバイしたり、風が強くなったり太陽が雲から顔を出したりすれば、素早く出力量をダウンする。こうした運用面の柔軟性が求められるのです。これはGEの強みであり、特に近年リリースした製品は目覚ましい成功を収めています。

もっとも柔軟性というのは、これに限らず制度や政治、事業のどれにおいても必要とされるものですけどね。

3. 開発にはマスタープランが必要、まずは適地ありき

風力発電に適した場所というのは、電力網へのアクセスが悪く、送電インフラが整備されていないことが往々にしてあります。米国テキサス州はそれを認識したうえで、パブリックコメントを集め各種データを十分に分析した上で、あるエリアについて「この土地にはすばらしい風力資源がある。十分な調査と分析もしたが、今後開発される土地だ」と結論づけました。

そして先行して公的資金を確保し、苦労しながらも送電経路を決めて認可取得し、豊かな風が吹くその土地への送電線を整備しました。結果は大成功。風力発電事業者が次々に進出してきて、この送電線を利用するようになったのです。地方税を投じた開発費も元が取れたうえに、テキサス州は15ギガワットもの再生可能エネルギーを発電できるようになりました。

4.出力調整 – もっとも経済的なのは、いまあるものを見直して、有効活用すること

ハワイ州政府は、化石燃料を使う発電所を新たに建設することはないと公言しており、今後ハワイに建設されるすべての発電所は再生可能エネルギーを用いることになります。HECO(ハワイ電力会社)は、化石燃料を使う旧来の火力発電所をいくつも保有しています。そこで、GEとの協働で、火力発電所の運用を大幅に変化させることを考え始めました。

出力調整は発電所にとって悩みの種です。しかし、陽が沈み、風が止んだときにも対応できるだけの十分な性能は確保しておかなければなりません。そこで、HECO社は自社の設備を詳細に調べ、発電所の調整能力を見極めた上で、自社の発電設備で十分な出力調整が叶う能力を維持できるよう、規制当局に相談しました。風力や太陽光の弱点を補うためには柔軟運用が可能な火力発電が不可欠であり、その温室効果ガス排出を最小限に留めるためのアップグレード投資が必要である、というHECO社の提案にはハワイ州も納得して投資に合意。その結果、HECO社はオアフ島における電力の出力調整能力を5倍に高めることができました。つまり1分あたり発電量を5倍に高めることができたわけです。

こうしたことは、決してトントン拍子で進むわけではありません。時に、制度面での後押しも必要になるでしょう。また、技術的な打ち合わせに資金や財政の監督をする立場の人物の参加を得ることも重要です。

5. 「問題は何か?」を厳しく問い続けること

エネルギー貯蔵に関しては、私個人はポジティブながらも慎重な見方をしています。電力グリッドに柔軟性をもたらす、そのために最も経済的な方法がエネルギー貯蔵のテクノロジーを活用することだからです。

風力発電や太陽光発電が普及すればするほど、エネルギー貯蔵は重要になります。やがて既存の発電所が老朽化していけば、なおさら重要になるでしょう。それに伴い、エネルギー貯蔵設備の単価コストも下がっていくはずです。

一方で、冷静に捉えなくてはいけないのは、エネルギーをどんなに貯蔵しても電力は生まれないという事実。電力は、経済を動かす重要要素です。電力を貯蔵することにより変動緩和やピークアウト(電力需要のピークを実質的に分散させること)など多くのメリットが生じますが、それにもコストがかかることを忘れてはなりません。

6. 運転状況に目を光らせ、運営を見直せる仕組みを整える

テキサス州は電力グリッドを厳しく運営し、あらゆる風力発電所に例外なく高い性能を求めています。
例えば、テキサス電気信頼性評議会(ERCOT)では、あらゆる風力発電所に一次周波数応答の機能を追加させるという要件を定めました。これは、系統周波数の偏移に応じて出力を現地で自律的に変更する機能で、当時は決して標準的な手法ではありませんでしたが、ERCOTが必要だと考えたものです。テキサス州の事例では、当初はこの変化を必ずしも歓迎しなかった発電事業者もありました。しかし結局は、この機能追加への出費も比較的小さく済ませることができ、結果的には全体でうまく機能しています。また、この風車の周波数応答や調整能力は今ではごく一般的な機能になっています。

最上部:オーストラリアにある風力発電所の風力タービン。(写真:Getty Images)
※上記はいずれもニック・ミラーの個人的な見解です。