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過去の技術が開花:エジソンの発見を世界最大のジェットエンジンに活用

発明家トーマス・エジソンが電球を発明したことは皆さんご存知でしょう。しかし、電球誕生の陰に隠れたエジソンの発見が今注目を集めています。

1879年、GEの創業者でもあるエジソンが、ニュージャージー州メンローパークの実験室で竹の細片を高温で加熱した際、竹内部のセルロースがすぐに炭化しました。これが世界初の炭素繊維です。エジソンは、導電性と耐熱性を持つその炭素繊維を初期の電球のフィラメントとして使用しました。しかし、1906年、エジソンの弟子たちが現在のタングステン製フィラメントを発明したことにより、炭素繊維はすぐに忘れられてしまいました。

最上部画像:炭素複合材のファンと複合材ファンケースを備えるGEnxジェットエンジン。これらの材料により、数百ポンド(1ポンド=約454グラム)の軽量化が可能に。上部画像:炭素フィラメントを使用した古い電球の白黒写真。(写真:Getty Images)

1960年代に米航空宇宙局(NASA)のエンジニアが炭素繊維を再発見したのは、最初の発見から80年が経った頃でした。ソ連との宇宙開発競争で優位に立つことに躍起になっていたところに発見された炭素繊維の強靭性と軽さは、宇宙時代の材料として理想的な特性でした。

まもなくして、炭素繊維の織物の層に樹脂を浸透させた「プリプレグ」を使用した複合材部品の開発が開始されました。このようにして作られた部品は、鉄やアルミニウム合金に比べて丈夫で、強く、軽量でした。複合材はすぐに、自動車、航空機、ミサイルの胴体や構造部品で金属の代わりに使用されるようになりました。

GEアビエーションで民間航空事業を率いるブラッド・モティエール。同社はエアバスA350向けに複合材製の柔軟な翼後縁を製造する。(写真:Adam Senatori/GE Reports)

炭素繊維は今日、大手自動車メーカーBMW社やテスラが社製造する自動車のボディ、ゴルフクラブ、テニスラケットに使用されています。航空機の分野では、ボーイングのドリームライナーやエアバスのA350といった次世代航空機の大部分が炭素繊維で作られています。

しかし、エジソンの精神を受け継ぐGEほど炭素繊維の利用を進化させた企業は他にありません。GEは数十年の歳月をかけ、ジェットエンジン前部の金属製ファンブレードを代替し、より軽量で効率を高めることが可能な炭素繊維複合材を開発しました。

GEnxの炭素複合材製ファンのクローズアップ。(写真:Adam Senatori/GE Reports)

GEグローバル・リサーチ(研究開発センター)で複合材研究チームを率いるシュリダール・ナスは次のように述べています。「私たちはチタンを樹脂ベースの材料で置き換えることを計画しました。これは、非常に大規模かつ費用のかかるプロジェクトで、リスクを伴うものでした。まさにゼロからのスタートで、炭素繊維のブレードが雨、ひょう、雪、砂、そしてエンジン内部の大きな力に対してどのように反応するのか、私たちはわかりませんでした」

しかし、この挑戦は成功しました。これによりファンが数百ポンド軽量化され、世界最大の推力を誇るジェットエンジンGE90、ドリームライナーおよびボーイング747-8向けのGEnx、さらに、その直径がボーイング737胴体の幅に匹敵する世界最大のジェットエンジンGE9Xの製造が可能になりました。

世界最大の推力を誇るGE90-115Bエンジン。GE90には、世界で初めて炭素複合材製ファンブレードが採用された。(GIF画像:Adam Senatori/GE Reports)

GE90には22枚、GEnxには18枚のブレードが使われていますが、これらのエンジンより大型のGE9Xには、ブレードが16枚しか使われません。GEアビエーションで複合材設計を担当するコンサルティングエンジニアのニック・クレイによると、その理由は複数の新たなコンポーネントがブレードに採用されていることにあります。より堅い炭素繊維を採用することにより、これまでより長く薄いブレードが作成可能になりました。また、特殊な構造を持ったガラス繊維複合材でブレード後縁を作成することにより、衝撃エネルギーの吸収性が向上します。クレイは次のように述べています。「炭素繊維はとても堅い素材で、柔軟性は高くありません。鳥などがブレードに衝突すると、衝撃波が内側深くまで伝わります。一方、ガラス複合材は変形しやすいため、ブレードにかかる力を分散させることが可能です」

ジェットエンジンのファンブレードは、写真のような炭素繊維の薄いシートを何枚も使って作られます。このシートは、エジソンが初期の電球で使用したのと同様の炭素繊維を織って作られます。(写真:Getty Images)

GEのエンジニアは、すでに新たな応用を探し始めています。風力タービンブレード、石油・ガス産業用ライザーパイプや、放射線を通すことで画質が向上するX線撮影装置やCT(コンピューター診断撮影装置)の検査台などで実験が進められています。「今後15年で、炭素繊維の実用化が、これまでにはないさまざまな分野で急激に進むでしょう」とナスは述べています。GEでは、このようにノウハウおよび技術を社内で共有する場を「GEストア」と呼んでいます。ナスはさらに次のように述べています。「すべての人が軽量化と強度の向上に興味を持っています。炭素繊維複合材は、両方の特性を持つ素材なのです。」

GE9Xは、ファン直径11フィート(約3.35メートル)の世界最大のジェットエンジンです。(写真:GE Aviation)

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