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次世代のエンジニアを育成する3Dプリンティングの教育プログラム

今から2年前、米国アラバマ州立オーバーン大学で素材工学のバート・プロロック(Bart Prorok) 教授はこれから、学生たちが将来就く職業について準備を始めるのであれば、3Dプリンティングとして知られる「アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)」について学ぶ必要があると考えていました。しかし本格的な金属製3Dプリンターはとても高価なので、購入することは考えもしませんでした。金属製3Dプリンターは一般的には1台数十万ドル、なかには数百万ドルもするためです。

そこでプロロックと同僚のトニー・オーバーフェルト(Tony Overfelt)は自分たちでプリンターを作ったのです。CO2防止の環境下で細い金属線を溶かす金属不活性ガスと工業用機器の自動化に利用される一般的なCNC(コンピュータ数値制御)装置を組み合わせました。試作されたプリンターは金属不活性ガスで溶解させた金属層を重ね、融着させていくことで最終製品を作るもので、複雑な形状を作ることはできませんが、学生たちには少なくとも学びの最初の一歩にはなったのです。「理論は教室で教えることはできましたが、学生たちが実際学び始めるためには、実物を使って試してみる必要があったのです。」とプロロックは振り返りました。

2017年にプロロックとオーバーフェルトの二人はGEが主催したアディティブ・エデュケーショナル・プログラムに応募しました。その結果、彼らが勤務するオーバーン大学は2016年にGEが買収したコンセプトレーザー製の最新機器、直接金属レーザー溶解(DMLM)方式の3Dプリンターを導入できる8つの大学機関の1校に選ばれました。このプリンターはレーザーを照射させて金属粉の層を融合させることで、コンピューター上のデータから部品を直接「プリント」していくことができるものでした。


最上部画像:「教室で学生たちに理論を教えることはできましたが、学生たちが実際学び始めるためには、実物を使って試してみる必要があったのです。」と語るバート・ポロロック。上部画像:「高校生が研究室に来るといつも金属製のレゴ・ブロックを欲しがりますね。」とポロロック。写真提供:バート・ポロロック

プリンターが12月に到着したときに、プロロックは興奮した学生と一緒に最初の製品―遠心分離機用のポンプの回転部分であるインペラという部品の出力を見守りました。「その時に自分がなんて言ったかを改めて口にしたくありません。そんなのできないよといったのです。」とプロロックは笑いながら振り返ります。「でも、実際は目の前の製品に驚きました。」

それ以降、プロロックは学生に、自由に創造力を働かせるようにアドバイスしています。もちろん制約はあります。プロロックは失敗することで人は学ぶと信じているのですが、失敗することがわかっているプロジェクトのために貴重な鉄粉を無駄にしたくはないからです。学生はインプラントを適切に支えるために使われる金属製のメッシュをつくっています。またDMLMプリンターを学び始めるとすぐにレゴ・ブロックをつくることができます。「高校生が研究室に来るといつも金属製のレゴ・ブロックを欲しがるので渡してあげるのです。」とプロロックはにこやかに語ります。

昨年はDMLMプリンターに加えて、GEアディティブは世界中の小・中・高校に400以上の樹脂製のデスクトップ3Dプリンターを提供しました。GEによれば、このプログラムのおかげで約18万人の生徒・学生が3Dプリンターを利用することができるようになったとしています。GEはこのアディティブ・エデュケーショナル・プログラムに5年間で1000万ドルを投資する予定です。

GEアビエーションの積層造形の技術リーダーであるグレッグ・モリス(Greg Morris)は子どもたちが理数系教育に興味をもってもらうことを目的として、このプログラムを開発しました。「子どもたちの関心を集め、科学というものは実はクールなものだということを教えたかったのです。」とモリスは述べています。

大学レベルでは、3Dプリンターは、今後増加する新たな職業ニーズのためのスキルを身につけることに役立てばよいとグレッグは考えていました。グレッグ・モリスの会社「モリス・テクノロジーズ」はこの積層造形技術のイノベーターでした。この会社の従業員はGEアビエーションと協同し、LEAPエンジン用の燃料ノズルを3Dプリンターで製造しています。20個の複雑な部品をひとつにして、従来製法のノズルよりも25%軽量化させることに成功しました。GEは2012年にこのモリス・テクノロジーズを買収しました。

GEは現在、プロロックの研究室からはさほど遠くないアラバマ州オーバーンの工場で、このLEAPエンジン用ノズルを量産しています。ポロロックは「学生たちの何人かはそこで働くことになるでしょう。」と語っています。彼の教室で学んだ学生は3Dプリンターでモノづくりをおこなう新たな世代となっていくに違いありません。

写真提供:バート・ポロロック

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