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ブロックチェーンによる電力のデジタルネットワーク - ビットコインの次に来るもの

ビットコイン市場を取り巻く熱狂はデジタル通貨の魅力を失わせるかもしれません。スマートマネーもブロックチェーン技術を取り入れ、今まさにブロックチェーンは飛躍のときを迎えようとしています。

ブロックチェーンは「グローバルなデジタル台帳」または「信頼に基づく約束ごと」とでもいうべきものであり、あらゆる取引を時系列で記録をしていきます。それがビットコインであっても、例えばバナナであっても、独自のブロックチェーンで、発生した取引に関する情報をすべて記録していきます。「最も基本なのは、オープンソースのコードであること。つまり誰でも無料でダウンロードでき、すぐに使え、オンラインで取引を管理するための新たなツールをつくることができるということ」とドン・タプスコットとアレックス・タプスコットは共著「ブロックチェーン・レボリューション」で述べています。「無数の新たなアプリケーションが生まれる可能性がありますが、多くを変革するための能力をもつアプリはまだ実現していません。」

再生可能エネルギー市場は、ブロックチェーン技術がまさに活用される可能性があります。GEグローバルリサーチのエンジニアはこのブロックチェーンを使って、需要家と発電事業者を、風力発電と太陽光発電と蓄電池を結びつける方法を模索しています。「ブロックチェーンを使って、参加者同士がつながる市場ができないかと考えているのです。」とGEグローバルリサーチ主席エンジニアのジョン・カーボンは言います。「再生可能エネルギーにアクセスし、信頼できる方法で誰もがつながることができるようにしています。」

言うまでもなく再生可能エネルギーには多くのメリットがあります。燃料である風や太陽光は無料で、発電には天然ガスや石炭火力と違って二酸化炭素も排出しないからです。マイナス要素としては、風は絶えず吹くわけではありませんし、曇った日もあることです。GEチームが取り組んでいるシステムは、再生可能エネルギー由来の電力を最大限活用したいと願う世帯主や事業主に、風力や太陽光発電からもたらされた電力を備える蓄電池からの信頼性の高い電力を提供することを目指しています。

蓄電池やその他のハイブリッド蓄電ソリューションはすでに世のなかに登場しています。GEの再生可能エネルギー・ブロックチェーンによって蓄電される電力と、蓄電池から放電される電力を記録することが可能となっています。それはちょうどビットコインやイーサリウム・ウォレットのコインのようなものです。ここでは系統の需要を監視し電力の売買のためのスマートコントラクトを利用します。「デジタル通貨を使えばすぐにキロワット単位で電力を購入することができるのです。蓄電池を必要以上に利用することはありませんし、必要以上の電力を使う必要もありません。」とGEグローバルリサーチの複合システムエンジニアリング・ラボのベン・ベックマンは説きます。

ブロックチェーンを使うと、電気代にいくら使いたいのか、何キロワット必要なのか、いくらで必要なのかというシンプルなルールで事業者はスマートコントラクトを結ぶことができるのです。「ソフトウェアで管理された銀行口座のように」とベックマンは言います。「お金でも電力でもその他のものでも自動的に口座に預けたり、引き出したり使うことができるのです。」

ベックマンは続けます。「シンプルに考えてみましょう。毎日仕事に行き、帰宅するために運転する自動車には燃料タンクがあります。自動車のエンジンはこの燃料タンクからガソリンを受け取って、そこからエネルギーを生み出します。でも運転しているあなたは週に一度ガソリンスタンドに行くことを忘れないようにするだけです。この燃料タンクは、あなたと自動車とのやりとりを媒介し、プロセスをスムーズにする自動車の”エネルギー口座”の役割を果たします。」

自動化されたシステムは、ネットワーク上に存在するスマートコントラクトに従って取引を実行し、需要家が支払いたいとする希望の電気代を設定します。このシステムは、蓄電池で現在利用可能な電力量、消費電力量、および利用者の口座の金額に対する制限をチェックします。「これらの条件が1つでも満たされない場合、システムは私に警告してきます。「あなたは電気を利用したいですか、それとも他にしますか?」と。

「他の人々との必要なやりとりをするのに時間がかかり、複雑になることもあります。しかし家電機器をスマートなネットワークに接続するだけで、誰にも利益をもたらすことができるように電力を効率配分することができます。」とGEグローバルリサーチ主席エンジニア・ジョン・カーボンは付け加えます。「例えば自宅のサーモスタットがあなたの好みの温度を知っていたとします。するとサーモスタットは利用可能な価格で、電気を購入する指示を出すでしょう。そして最も効率的な電気の使用を調整するために、家庭内のすべての機器と通信し、外部のデータを活用するのです。今日は暑くなるからエアコンの価格が高騰するかもしれない、という場合、このシステムは家で使うドライヤーに、今すぐではなく、後から使うよう提案することができます。このデジタル・エコ・システムはすべてを調整することができるのです。」

他にもメリットがあります。ベックマンとカーボンによれば、このデジタル・エコ・システムによって、蓄電池の所有者は、自分の蓄電池をどのように電力取引に活用するかを自分でルールを設定できるようになるのです。例えば、夜間に風が強く、電力の需要が低い場合、蓄電池を充電するか、それとも低価格でもいいから蓄電池に蓄えた電力を電池が空になるまで放電するか選ぶことができます。「その電力系統を最適化し、電気を売買することから最大の利益を得るように設定することができるのです。」とカーボンは言います。
しかも、地域において、利用可能な再生可能エネルギーの量を最大限にする設定もできると言います。「多くのお金を生み出すことを試みているわけではありません。」とベックマンは言います。「より緩やかに運用し、蓄電池をできるだけ長い期間活用しようとしています。」

すでにニューヨーク州ニスカユナにあるGEグローバルリサーチの本拠地にあるフォージ・ラボではこのデジタル・エコ・システムの試作モデルが立ち上がっています。イーサリアムの暗号通貨をマイニングすることを目的に設計されたコンピュータを利用し、このコンピュータには小さなラズベリーパイとArduinoプロセッサを接続しています。いずれの機器もネット通販でそれぞれ30ドルくらいのもので、サーモスタットや照明、その他の家電機器をスマート化することができます。「このエコシステムを構築するために最初から開発を行う必要はありません。必要なのは、既存のごくシンプルなテクノロジーです。電気自動車を充電するかどうかに関わらず、スマートメーターやサーモスタットなど、あらゆる電気機器と電力市場とつなぐことができるエコシステムがすでに存在するからです。」とカーボンは述べています。

開発チームはブロックチェーンに大きな期待を寄せています。現在のビットコインをとりまく様々な事象はブロックチェーンの真の姿ではありません。暗号化技術に基づく仮想通貨は単にブロックチェーンの初期段階のアプリケーションだからです。「(ビットコインは)後から振り返ったり、昔はそうだった、と回想する類の一つになるでしょう。」とベックマン。「皆が固定電話を使っていましたが、それをいつから使わなくなったのか、誰もその日付を記録していないでしょう?ただ私たちは使うのをやめたのです。ブロックチェーンは活用するかどうかに関わらず、間違いなく私たちの目の前に現れるテクノロジーなのです。」

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