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脳の信号を解読する超小型インプラントで 失われた身体機能を取り戻す

ニューヨーク州ニスカユナにあるGEの研究所本部に在籍するジェフ・アシェと彼の研究者チームは、米ブラウン大学の科学者、エンジニア、医師と一緒に、脳のニューロンが発する電気信号の解読に取り組んでいます。この研究は、外傷性脳損傷や脊髄損傷、脊髄疾患によって身体機能を失ってしまった患者さんがそれを取り戻すのに有効な、超小型インプラントにつながろうとしています。

「僕らのチームは人間が四肢を動かすとき脳が受発信する信号を解読しようとしているんです。脳の言語みたいなものです。これが解明できれば、個別の病気がどのように身体機能へ影響を及ぼすのか、その実体を把握できるようになりますから」とジェフは言います。

電気技師のジェフは、ブラウン大学が何十年にもわたって取り組んできた脳インプラントの研究実績に注目し、共同研究を呼びかけました。ジェフのチームはマイクロエレクトロニクスと、着用可能かつワイヤレスの非侵襲医療機器(人体に傷をつける必要のない医療機器)に関する専門知識を提供しています。「私たちが設計するセンサーは極小で、脳の個別ニューロンが発する電気信号の記録を可能にします。この電気信号を記録して分類できれば、ニューロンが発する情報を”翻訳”したり、神経回路が形成する機能を把握することも可能になるんですよ」

ジェフは、科学者たちが脳機能をコントロールするうえでニューロンがどう作用し合っているかを解明できる日が近づいていると確信しています。「単一ニューロンについては、どのように機能し、電気信号や化学信号をどう伝達しているかなどすでに多くのことが分かっている。でも、ニューロンが互いにどう作用し合っているかは解明されていないんです」

チームは、科学者たちが脳内のより多くの部位からニューロンを記録できるようにする、かつてないセンサーの開発に取り組んでいます。脳がどのように交信を行っているかをより鮮明に理解し、最終的には、失われた身体機能を回復させる技術にしようというのです。「脳信号を模造できる体外装置で実際の脳の信号を体外に取り出して、それを記録し、さらに患者さんの運動制御力を取り戻そうとしている、ってことなんです」

ニューヨーク州北部のGEグローバル・リサーチ・センターのクリーンルームで、
マイクロ電子機械システム(MEMS)のウエハを扱う科学者。
マイクロエレクトロニクス分野の設計・製造におけるGEのイノベーションは、
脳埋め込み用装置の重要な構成要素となる超小型スイッチの開発をリード。
この脳埋め込み用装置は、神経変性疾患やアルツハイマー型認知症、パーキンソン病のほか、
うつ病の患者さんへの効果も期待される 

世界で神経精神疾患や神経変性疾患を患う人の数は4億5,000万人以上にのぼります(*1)。さらに、米国でアルツハイマー型認知症を患う1,400万人の治療費は、今後40年間で年間1兆ドルを超えるとも言われています(*2)。

こうした課題を背景に、GEは「脳」というものをより正確に理解すべく、大学や病院、米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)と協働しています。

例えば、GEと米マウントサイナイ・アイカーン医科大学は、神経科学と新たな遺伝標識やバイオシグネチャーを融合したテクノロジーを開発しています。目的は、アルツハイマー型認知症のような変異性疾患をもたらす潜在的な細胞変化を発見すること。これにより早期診断が可能になり、より効果的な治療の開発につながります。

2013年3月には、GEヘルスケアとNFLは6,000万ドルを拠出し、軽度外傷性脳損傷を患うアスリートや軍人、そして社会全体の求めに応えるため、迅速な診断とより良い治療を提供しようと共同研究に乗り出しました。また、最大2,000万ドルを投資して、脳の保護と軽度外傷性損傷について解明する技術を募るオープン・イノベーション・プログラム「ヘッド・ヘルス・チャレンジ」も進めています。

*1  GEブレイン・ヘルス・ファクトシート
*2 ウォール・ストリート・ジャーナル