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インダストリアル・インターネット、中国の可能性と課題

世界最大の経済大国である中国もインダストリアル・インターネットの活用に注目しています。
インダストリアル・インターネットの普及によって期待される中国の可能性と課題をご覧ください 。

物価の格差を調整した購買力平価でみれば、中国は今や世界最大の経済大国であり、日本に限らず、世界中のビジネスパーソンにとって、中国の動向は大きな関心の的であることは間違いありません。そして、中国がこのナンバーワンの座を維持していくためには、インダストリアル・インターネットの活用も、ひとつの策となり得ます。

アクセンチュア社のレポートによれば、インダストリアル・インターネットが普及すれば中国の累積国内総生産(GDP)を2030年までに1.8兆ドル増加する可能性がある、とされています。現に2011年、中国はITセクター投資を目的とした約8億ドルの特別基金を創設しました。また、遠隔地にいる医師から診断や処方を受けることができる「ヘルスカプセル」キオスクといったプロジェクトなど、モノのインターネット化(IoT)プロジェクトを推進するために、1億6千万ドル規模の国営企業「Chengdu Internet of Things Technology Institute」も設立しました。

インダストリアル・インターネットの成果として、中国で期待されるもののひとつが、CO2排出量およびエネルギー消費量の削減です。2013年、中国が世界のスマートグリッド投資額の約3分の1に相当する43億ドルを投資し、投資規模で米国を超え世界首位に立ったことはその一例。また、中国の年間建築量がシカゴの2.5倍に相当する点を考えると、急速な都市化におけるインダストリアル・インターネットの役割も大きいはず。例えば、車両を追跡し、渋滞に対処できるスマート街灯は、そのひどさで知られる上海などの“交通渋滞”を防ぐことも可能でしょう。

IDC社の調査によれば、IoTは2020年までに中国で3,430億ドル規模の市場機会を創出する可能性があり、それまでに同国では5分の1のデバイスがIoTに接続されるようになると予想されています。GEを含む外国企業が、この可能性に魅力を感じています。

中国におけるインダストリアル・インターネット普及のきっかけとして期待されるのがスマートフォン。世界第3位のスマートフォンメーカー、Xiaomi(小米科技)社は今年の初め、接続すればあらゆる家電をスマート化できる3.6ドルのモジュールを発表しました。6月には、アイラ・ネットワークス社が、中国の代表的なソーシャル・コミュニケーション・プラットフォームであり、世界有数の成長速度を誇るWeixin(微信)を通じて、同様にデバイスをスマート化し、管理できるサービスを発表しました。Weixinは中国最大のインターネットサービス・ポータル企業、Tencent(騰訊控股)社が提供するサービスで、中国以外ではWeChatと呼ばれています。多くの中国メーカーは家庭用ボイラーや浄水器、スマートプラグ、スマートロック、スマートライトなど、Weixinで管理可能な製品の開発をすでに進めています。

とはいえ、中国でインダストリアル・インターネットを最大限に活用するには困難が伴うことも事実です。
たとえば、現在、制約となっていることとして、IoT通信向けに開放されている周波数が限られていることがあげられます。IoTコンサルタントであるヘンリー・ゴング(Henry Gong)氏によると、数千kmにおよぶガスパイプラインに搭載するセンサーなど長距離アプリケーション向けにデータを無線送信するため、第2世代(2G)や第3世代(3G)、第4世代(4G)のインフラを構築するには高額な費用がかかる恐れがあります。これに対する1つの解決策となり得るのは、米国や英国が実施しているように、「ホワイトスペース」とも言われる、利用されていないテレビ周波数帯をデータ・ネットワーキングで活用するために開放することです。

また、外国企業に対してインダストリアル・インターネットをどのように開放するかということも大きな課題。インダストリアル・インターネットの普及を加速させるための、中国政府とドイツ政府のパートナーシップは明るい兆しといえます。米国をはじめとする他の主要なリーダー国ともパートナーシップを締結できれば、さらに大きな助けとなるでしょう。

IoTは機械と機械、あるいは、人とデバイスをつなぐことはできます。しかし、国と国とをつなげられるかどうかは・・・?イノベーションと政策の歩調を合わせていくことも重要です。