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砂ぼこりにも負けないセラミックマトリックス複合材―GE9Xの技術力とは

全日本空輸(ANA)をはじめ、中東のエミレーツ航空やカタール航空などのグローバル・エアラインは、ボーイングの次世代航空機B777Xの導入を決めています。その最新鋭機を運航するエンジンとして選ばれたのが、GEアビエーションが製造するGE9X。パイロット達がハーッシュ・エンバイロメントと呼ぶ、過酷な環境、例えば砂ぼこりの多い砂漠などの場所であっても、エアラインにとって航空機のオペレーションを維持することは非常に重要です。GEアビエーションは、これを最大限実現するために、セラミックマトリックス複合材料(CMC)や3Dプリンターなどの最先端テクノロジーを応用してGE9Xを開発、その成果は様々なテストでもすでに実証されています。

GEアビエーションは、GE9Xの燃焼器のライナー、高圧タービンの第一段シュラウド、そして、第一段および第二段ノズルにCMCを採用することを決めており、GEnxのデモ機を使ってCMC部品の実証テストを進めています。最近実施した第二段階目のテストでは、1800回を超えるエンジンサイクル(エンジンを出力してから停止するまでを1サイクルと呼ぶ)を試しましたが、砂ぼこりや異物が舞う厳しい条件下でも、なんなくクリアしました。

「砂ぼこりや異物はタービン翼の外側に堆積すると、断熱コーティング材を傷める可能性があります。それ以外にも、ブレードやノズル内部の冷却回路内に蓄積すると冷却効率を低下させる恐れがあり、耐久性の低下につながってしまうこともあります」と、GE9Xプログラムのゼネラル・マネージャーを務めるGEアビエーションのテッド・イングリングは説明します。

「ただ、我々は、実証テストを重ねるなかで大量の異物が空気中に浮遊するような環境であっても、新たに開発されたエンジンや最先端のテクノロジーによって作られた部品が問題なく動くかどうかを確認しています。GEnxのデモ機を使ってこれまでに合計すると4600回ほどのエンジンサイクルをテストしましたが、CMC部品は非常に高いパフォーマンスを示しており、その価値はこれからさらに明らかになっていくでしょう」とイングリングは話します。

金属の3分の1と非常に軽く、耐熱性に優れているCMCを航空機エンジンの高温部に適用することは、航空機産業にとって大きな技術革新でした。この素材の優れた特性により、GEはエンジンの重量を低減し、燃費効率と耐久性を向上させることを成功させました。それは、商業用エンジンとしてはじめてCMC製のシュラウドを搭載したLEAPが示している高いパフォーマンスにも表れています。

GE9Xをはじめ、GEやCFMインターナショナル製のエンジンに搭載されているCMCは、日本生まれの炭化ケイ素連続繊維に独自のコーティングを施しマトリックス状にすることで作られています。航空機エンジンの今後の需要増加を見据え、GEはこれらの素材を量産するための体制を整えています。GEが出資するNGSアドバンスト・ファイバー社は、2017年後半にも富山県の工場を拡張して、炭化ケイ素連続繊維を増産する計画です。さらに、米国アラバマ州のハンツビルにも同規模の工場を建設しており、ここでは2018年にCMCテープ、その翌年には炭化ケイ素連続繊維の量産が開始される予定です。

GE9Xはじめてのエンジン出力テストは2016年初旬に実施された
(写真:GEアビエーション)

CMC以外にも・・・GE9Xが持つ、GEならではの最先端テクノロジー
すでに700台を受注しているGE9Xには、CMC以外にもGEが誇る最先端のテクノロジーが詰め込まれています。例えば、低圧タービンのブレードは金属の2分の1の重さであるチタンアルミで出来ており、これはアビオ・アエロによって3D積層造形技術を用いて製造されています。また、高圧タービンの第一段ブレードには最新の冷却技術が採用されているほか、非常に高効率の冷却回路を導入したことで、これまでよりも燃費効率を大幅に改善しています。この次世代型高圧タービンブレードのテクノロジーは、もとはグローバル・リサーチ・センター(GRC)で開発され、オハイオ州デイトンに位置するGEアビエーションの施設で実用化されています。

なお、GE9Xプログラムの認定試験は今年の前半に開始される予定で、GEアビエーションの空中飛行試験機による飛行テストも行われる予定。2018年には、エンジン認定を取得できる見込みです。