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秘密兵器:パウダー噴射でジェット部品を修復する超音速ブラスター

何年か前、ニューヨーク州北部にあるGEのラボで働く一人の科学者が、壊れた部品を直すクールなアイデアを思いつきました。それは、文字通り「cool」でした。“コールドスプレー”と呼ばれることになったそのアプローチは、(一度は壊れかけた)航空機エンジン部品そのものは保持しながら、たとえばエンジンブレードなどに、超音速ノズルから微細な金属粒子を吹きかけて壊れた部品を修復してしまう方法です。

GEグローバルリサーチセンターで、コーティング・物体表面研究ラボのマネージャーを務めており”コールドスプレー”の開発にも携わった、アンテネ ケビードはこう話します。「このテクノロジーは、1インチかそれ以上の厚みを持つ、完全に新しい部品をつくることができます。このテクノロジーが製造業の企業にもたらす潜在利益は計り知れません。想像してみてください。スプレーガンのような道具で、老朽化した部品を元の状態に修復できるということなんです」。ケビードの言葉を借りれば、それは「まるで、機械部品用の“若返りの泉”」です。

GEのエンジニア達はすでに”若返りの泉”に浸かっています。今年の初め、GEアビエーションの子会社であるAvio Aeroは、イタリアのバーリという街でこのテクノロジーの実証試験を始めました。そして先月、彼らは世界で最もパワフルな航空機エンジン「GE90」の変速装置の部品修理に、初めてこの技術を実際に使いました。

これは重要なマイルストーンです。3Dプリンティングにも似た“コールドスプレー”は、部品を切削してつくるのではなく素材を積層していくという、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)の一種です。

アディティブ・マニュファクチャリングというハイテク技術の中にあって、“コールドスプレー”は極めて珍しい存在。金属向けの3Dプリンターのほとんどは、チタン粉末やその他の金属粉末をレーザーを使って熱し、溶解したものを何層にも重ねることで新しい部品をつくります。この技術は新たな部品をコンピューターから直接“印刷”するときに役に立ちます。しかしながら、既存部品を熱してしまうと、結晶体から成る物質構造や機械的特性を変えてしまいかねません。Avio Aeroのリペア開発マネージャーのグレゴリオ ディマグリの説明によれば、「粉雪が暖かい日の後に氷の板になってしまうのと同じように、金属を一度熱してから冷却すると、その性質が変化してしまう」からです。

“コールドスプレー”は「金属を切り出して」つくるのではなく、3Dプリンティングと同様に
「物質を積層する」ことで部品造形する、アディティブ・マニュファクチャリング技術の一種
(写真:Avio Aero)

Avio Aeroのバーリ工場では、この”コールドスプレー”のプロセスは、まるでウォークイン式冷蔵庫のような金属でできた部屋の中で行われます。室内には、5ミクロン程度の金属粉末粒子を必要な箇所に吹き付けるための、超音速ノズルを備えたロボットアームが備えられています。超音速ノズルは、強力なエネルギーで金属粉末を表面に照射し、修理箇所を固相接着させます。金属粉末が充填された”銃”のような口から吹き出される金属粒子は、壊れた部品の復元や、動力学的理由で破損した箇所を修復してくれます。

違いは他にもあります。典型的な3Dプリンターがコンピューター上のファイルから部品をプリント(積層)する一方で、”コールドスプレー”のマシンは壊れた箇所をより正確に復元できるように、実際のジェットエンジン部品をデジタルスキャンし、スキャンデータに基づいて積層します。

この成果は、Avio Aeroとバーリのポリテクニック大学との7年間のパートナーシップなしには語れません。バーリのキャンパスにある、アプリア・リペア開発センターでは、GEのエンジニア達と機械工学の教授や専門家たちが、航空機部品の保守・修理のための新しい方法を日々模索しています。

彼らがこうした新テクノロジーによるベスト・プラクティスを生むほどに、航空機エンジンの修理において、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)の重要性がこれから急速に高まっていくと期待されます。

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