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アナタの同僚がロボット?! 進化する産業ロボット

人と産業ロボットの「協働」を実践している工場が世界各地で増えている中、
これから5年後にはあなたの同僚がロボットになるかも?!
新しいシングルアームの協働ロボット「ソーヤ」がそれを実現するかもしれません 。

人がロボットを夢見るのは、最近のことではありません。少なくとも紀元前、クレタ島を守るためにウルカヌスが作ったという青銅の巨大な自動人形“タロス”がギリシャ神話に登場した時代にはすでに、人々は自動で役目を果たすロボットを想像していたようです。

そして今、時代はその夢を形にしようとしています。産業再生に向け「インダストリー4.0」を掲げるドイツでは、4月13日からハノーバーで開催された世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」において様々な最新技術を紹介。たとえば、フォルクスワーゲン社は、センサーを内蔵し、物に接触すると自動的に動きを止めるアームを展示、生産現場で人と協働できるロボットを紹介しました。

すでに世界では、産業用ロボットの安全要求事項を定める国際規格を2013年に変更。安全性を確保できる処置が施されたロボットについては、安全柵が必須ではなくなり、GEだけでなくメルセデスベンツ社など、人とロボットの「協働」を実践している工場も世界各地で生まれています。こうした動きに沿って、経済産業省は今年3月に日本工業規格(JIS規格)を制定・改訂。これに先立ち、「ロボット革命実現会議」のとりまとめも発表しており、今後日本が、どのような形でロボット普及を推進し、政府の掲げる「日本再興戦略」における「ロボット革命」を実現していくのかも、注目されるところです。

今回は、以前GE Reports JapanでもGEでの稼働の様子を紹介した双腕型の協働ロボット(コボット)「バクスター」に続き、3月にその“弟分”とも言えるシングルアームの協働ロボット「ソーヤ」を新たに発表したリシンク・ロボティックス社のCEO、スコット・エッカート氏に、産業用ロボットの現状、そして将来性について話をうかがいました。

協働ロボット「ソーヤ」

GE Reports:今回のロボット開発の意図は? スコット・エッカート氏:この新しいロボット「ソーヤ」は、回路基板の試験装置やコンピューター数値制御(CNC)マシンなど、高精度なマシンテンディングにロボットを活用したいというニーズに応えるために開発しました。そもそもこうした高頻度の反復作業は、オートメーション化されるべきなんです。「ソーヤ」は人と同じ様に作業できるよう設計されていて、ある程度固定化された環境だけでなく、通常の作業環境、変化を伴うような環境でも容易に適応することができます。

GE Reports:「ソーヤ」も、いわゆる協働ロボット(コボット)なのですか? エッカート氏:そうです。これまでの産業ロボットは高額で、安全柵の設置が必須だったり、プログミングが必要なので、すぐに別の作業に稼働させることはできませんでした。一方、「ソーヤ」は手頃な価格の協働ロボットで、作業の変更にも容易に対応できますし、安全柵なしでも安全に人のそばで作業することができます。これまで製造業の作業の9割は経済的、実用的な理由からオートメーション化できないと判断されてきましたが、「ソーヤ」はそうした領域のオートメーション化にこそ、うってつけです。

「ソーヤ」とスコット・エッカートCEO

リシンク・ロボティクス社が開発した新しい協働ロボット「ソーヤ」と、
同社のスコット・エッカートCEO(写真:リシンク・ロボティクス社)

GE Reports:「ソーヤ」と「バクスター」の違いは? エッカート氏:「ソーヤ」は、シングルアームで設置面積が小さく、高速性や柔軟性が求められる精密作業にマッチした協働ロボットです。「バクスター」とは異なるモーターアッセンブリーやギアボックスアッセンブリーを搭載していて、マシンテンディングに最適です。また、「ソーヤ」には精密なマシンビジョンアプリケーションに対応できるよう、アームにコグネックス社製の光源内蔵カメラを搭載しています。「ソーヤ」も「バクスター」も、デモンストレーションで作業を学習する点、直感的なユーザーインターフェースを実現している点では同じです。

GE Reports:「バクスター」と「ソーヤ」が協働することも考えていますか? エッカート氏:「バクスター」は資材運搬や箱詰め、ライン作業の荷積といった特定作業向け、一方の「ソーヤ」はマシンテンディング向けと設計意図が異なります。こうした作業のコンビネーションが求められる工場では、「ソーヤ」と「バクスター」が並んで作業することもあり得るでしょうね。

GE Reports:「ソーヤ」のセールスポイントはどこですか? エッカート氏:「ソーヤ」を使えば、多様な用途に対してオートメーション化のソリューションが提供でき、ロボットの貢献できる作業の幅が格段に広がります。私たちはこの「ソーヤ」を持って、米国以外の主要な製造業市場へも進出する予定です。作業の幅と製品の展開地域を拡大できれば、「ソーヤ」の可能性もこれまでの10倍に膨らみますからね。

コボットの「バクスター」

「ソーヤ」の“兄貴分”の「バクスター」は、GEをはじめ米国の工場で既に稼働している
(写真:リシンク・ロボティクス社)

GE Reports:「ソーヤ」の実用化の予定は? エッカート氏:今年の夏には機能制限付き、年内には標準仕様の「ソーヤ」をそれぞれ発売する予定です。現在は、GE社のほかにも、ジェイビルサーキット社、スチールケース社などの主要顧客の協力の下、ハイパフォーマンスが求められる作業についてベータテストを実施しているところです。

GE Reports:「ソーヤ」は協働ロボットのマーケットにどのような影響を与えるでしょう? そして協働ロボットの製造業全般へのインパクトについてはどう考えますか? エッカート氏:「バクスター」は、ロボットと人が協働することで、多くの製造現場に柔軟性、そして生産性の向上をもたらすことを証明し、新たな製品カテゴリーを確立しました。「ソーヤ」ではさらに一歩進んで、多くの新しい用途に対応できる高機能ロボットの開発を目指しています。製造業における作業の9割がいまだにオートメーション化されていないことを考えれば、スマートな協働ロボットを利用することで、今日の課題である労働コストや労働力不足の問題を解決し、従業員によりよい仕事をもたらし、生産性の向上を実現する機会は多いと考えています。

GE Reports:今後5年で、協働ロボット市場はどのように発展すると見ていますか。 エッカート氏:主要な製造業市場の多くで協働ロボットの導入が急速に進んでいくはずです。協働ロボットはまだまだ未知のテクノロジーですし、これまでのロボットに対する考え方を改める必要性も出てくるでしょう。ですから最初はゆっくりだとは思いますが、その利点が明確になるにつれ、中長期的には普及に拍車がかかっていくと思いますね。