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デジタル・ツイン:データを分析して将来を予測する

これからの時代はデータを分析し、アルゴリズムを使って将来を予測するのがビジネス成功の鍵になるでしょう。
そこで生まれたGEの「デジタル・ツイン」テクノロジーをご紹介します 。

F1レースでの勝利は、最速のマシンを作り、最も勇敢なドライバーを雇って幸運を祈る・・という時代ではもはやありません。最近マクラーレンのチームは、モナコやシンガポールでのレース参戦の際、車体に取り付けた数百個のセンサーから収集したデータを、イングランドの都市ウォキングに送信します。ウォキングでは、アナリストたちがそのデータを詳しく調べ、複雑なコンピュータ・モデルを使用して、最適なレース戦略をドライバーに送り返します。

こんどは最先端を行く小売業者の話。もはや年齢や収入といった広範な人口統計情報に基づく広告など打ちません。彼らは、顧客の心理学的モデルを作り上げます・・・あなたは芥川作品「火花」を読みましたか?インディーズ系映画が好きですか?ゴルフよりサイクリングがお好き?結婚記念日は5月ですよね?両親の家から2時間以内の場所に住んでます?気抜かりがなく洗練された小売業者なら、あなたの志向予測モデルにこうしたデータを注ぎ込みます。そしてあなたがオンラインで買い物をするとき、小売業者はあなたが思わず目を奪われるであろう広告を慎重に選んで表示させるのです。

レーサーとオンラインコマースの事例、その共通点は、マクラーレンのクルーとオンライン小売業者がいずれもデータを利用し、アルゴリズムを使って将来に関する予測を立てていること。このコンセプトは「デジタル・ツイン」と呼ばれ、そこに大きなビジネス・チャンスがあるとGEは考えています。

デジタル・ツインを利用してビッグデータ 収集・分析・予測する

ジェットエンジンから機関車まで、GEの全ての機器のデジタル模型、すなわちツイン(双子)の構築を含むこのアイデアは今後発展し、インダストリアル・インターネットを通じて新たなビジネスモデルとサービスモデルを創出するでしょう。GEソフトウェアリサーチ担当副社長のコリン・パリスは、これらデジタル・ツインがどのようにしてデータ分析に使われるのかをこう説明します。「たとえば通常24~36ヵ月ごとにオーバーホールされるジェットエンジンは、デジタル・ツインのデータによれば、38ヵ月後までそれを必要としないことが解ります。米空軍も同様のアプローチを取り入れています」

パリスは、グーグル、アップル、そしてアマゾンに惚れていることを認めます。この3社は、たゆみない取り組みで心理データを収集し、分析結果を使用して顧客が何を求めているかを予測しています。こうした努力によって、2014年にこの3社は合計で前年比10%増の3,380億ドルを売り上げています(S&P500企業の平均売上増の年率は3%未満)。3社のこのような大成長は、顧客の行動を予測する能力も大きく関係しています。パリスは「インダストリアル・インターネットは、GEのような企業にもこれと同様のチャンスをもたらすことを約束するもので、今がまさに転換点だ」と話しています。

GEソフトウェアリサーチのコリン・パリス

「私たちはデジタル・ツインで同じことを行っています。GEはたとえば、エンジンのあらゆるデータを可能な限り収集しています。データには全飛行、ブレードの物理的状態、エンジンの稼働状況、環境温度と粉塵レベル等が含まれます。これらが、航空機の適切な検査時期を正確に示してくれるのです」

1年前にIBMからGEに移ったパリスは、医療から航空まで、GEのあらゆる事業部門にデジタル・ツインを広げてきました。GEのさまざまな事業間でアイデアと専門知識を共有する“GEストア”の利点を実証しているのです。GEはすでに、風力発電や発電所規模の電気回路遮断機(ブレーカー)の設計にデジタル・ツインを活用しており、最適な設計を施すのに役立てています。

GEにおけるデジタル・ツインは、航空機エンジン、機関車、ガスタービンなどの大型機械が最初のケースでした。おかげで、サービスチームは航空機の検査時期を把握できるだけでなく、どの部品が手元にあるのか、航空機を使えないのはいつなのかを知ることができるようになりました。

これまでのメンテナンス実施時期は、過去の実地経験から割り出した平均期間をベースにしていました。この新しいアプローチを使えば、たとえば機関車の検査で“軸受け部分”に異常は無いと判断され同様にデジタル・ツインも「まだ交換段階じゃないよ」という信号を出している場合、軸受けを継続活用でき不必要なコストを回避できます。その逆に、ツインは、より過酷または厳しい温度下での使用に耐えてきた別の機関車の軸受けを、不具合の発生を未然に防ぐ目的で「早めに交換したほうがいいよ」とアラートをあげてくれることもあります。

これはGEとその顧客企業にWin-Winの結果をもたらします。顧客企業にとっての果実は、船舶から発電所まであらゆる設備のダウンタイム短縮。この場合、テクノロジーが燃費効率を最適化し、予期せぬダウンタイムを最小化します。GEにとっては、サービス契約における利益拡大です。

「双子の相棒、デジタル・ツインは継続的にインサイトを提供するアルゴリズムとモデルの集合体です」とパリス。「私たちは機械の損傷を把握できる検査データを持っています。損傷を予測するデジタル・物理両方のモデルもあります。また、工業的な問題を実際に処置できる分析力を備えています」

GEのCEO、ジェフ・イメルトは、新事業部門「GEデジタル」を発足し、こうしたGEの物理面の能力と、ソフトウェア開発とデータ解析力を含む当社のIT能力を結集しました。この部門の今年度売上は約60億ドルを見込んでおり、ソフトウェア業界のランキングで現在15位にあるGEのポジションは、2020年までに10位に食い込めるものと予測しています。

デジタル・ツインのアプローチは、たとえば病院のベッドやMRIなどの画像装置の稼働をスケジュールするソフトウェア開発など、GEの新事業分野の開拓にも役立つものと考えています。

先のコリン・パリスは次のように眺望を語ります。
「このデジタル分野への拡大で、効率化ソリューションやダイナミック・コントロールシステムのカスタマイズなどで、新たな収益源を構築することができると考えています。GEは、大量のデータを収集し分析する必要がある他の企業に、アルゴリズムとサービスを販売することもできるでしょう。基盤が固まれば、この能力を他の産業にも展開していけるはずです。GEはこのシステムの根幹を運営していくため、これまで以上に多くの企業にインフルエンスを与えていけるようになるでしょう」