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聴かなきゃ損!トップDJが重工業音をテクノに。音×データ分析の未来

drop【発音】dráp
動: 落ちる、落下する
名:(音楽用語)長いクレッシェンドの後のリズムまたはベースラインの変更。楽曲のクライマックス。

ビー、ガガガ・・、コチコチ、ブー。産業の世界には、聞こえる音もあれば、人間では聞きとれないような音も存在しています。私たちの多くにとっては現代社会の背景音に過ぎません。でも、DJでありミュージシャンでもあるマシュー・ディアーの耳には、科学に流れる旋律が聴こえているんです。

DJマシューは最近、ニューヨーク州ニスカユナにあるGEグローバル・リサーチ・センターの研究者たちの協力の下、世界でも最もパワフルな部類の大型機械から1,000以上の音をサンプリングしました。「すべてのものには音楽がある。たとえそれが自然や鳥であっても、人工音であってもね」とは、DJマシューの言葉。世界中の機械から集めた合計1時間分の素材音源を携えて自宅スタジオへと消えていったDJマシューは、3分間の詩とも言える楽曲「Drop Science」をつくりました。

DJマシューはGEの音響エンジニア、アンドリュー・ゴートンと音源収集をしました。GEの世界中の研究所には、機械が発する音を聴きその意味を分析する研究者がいます。ゴードンもそのひとり。ゴートンは、機器や装置はなにか問題があると、それが目に見えるようになるずっと前から「音」でその存在を知らせてくれると言います。

ヒップホップなどこの分野の音楽に詳しい人なら、この曲のタイトル「Drop Science」はマーリー・マールによる初期ヒップホップの名作「Droppin’ Science」にかけたもの、とピンと来るかもしれません。これはなにか、他にないユニークな表現を狙ったもので、そのコンセプトは産業用機械にもぴったり。GEでセンサーや計測機器などを手掛けるGE Measurement & Controlのファビアン・ドーソンは、「機械が発する音のシグネチャーは、まるで人間の指紋のようなもの。2つとして同じ音はないんだ」と言います。

音は技術者に、たとえば特に深海油田のように近づくことが難しい場所に設置された機器が正しく動作しているかどうかを教えてくれます。一例として、GEの海中状況監視システムは、音波振動に反応してそれを電波に変える特殊なクリスタルを備えた特大の鳥かご状の装置を海底に沈め、半径約490メートル内の音を捉えています。すでに北海エリアの約130の油田で稼働するこの巨大鳥かごは、海底ポンプやモーター、ケーブルの状態を監視し、そのデータをインダストリアル・インターネットで送信しています。

DJマシューは自身の「Drop」に、MRIスキャンシーケンスやGEnxエンジンの加速テストの音、光ファイバーケーブルの光度を測定する機器のサウンドを利用しました。ちょうど2分経過後、これらの機器音がビートを刻み、その後のクレッシェンドを盛り上げていきます。

リミックス用の音声、動画、写真と表紙画像のセットがBit Torrentで入手できます。また、SoundCloudのこちらのページでも曲自体やいくつかの音源をダウンロード可能。 Enjoy!