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停電を事前に食い止めろ!:スーパーコンピューターも活用した新たなソフトウェア開発へ

ニューヨーク州北部にあるGEグローバル・リサーチの研究所で働くシニアエンジニア、ナレシュ・アチャリャは、風力発電所の発電量を増加したり送配電網をより効率的に活用できるようにするための開発に取り組む一方で、世界で発生する「停電」を少しでも食い止めるために、世界有数のスーパーコンピューターをも活用しようとしています。

「現段階では、パワーグリッド(送配電網)の状況は完全に可視化されているわけじゃないんです。つまり、非常事態が起きたとき、送配電網のオペレーターが必ずそれを感知できるとは限らないんですよ。私たちは、オペレーターがリアルタイムで電力網の状況を監視し、インフラ資産を最大活用できるようにしたいと考えているんです」

動画:GEのオンライン動画「Datalandia」シリーズ

アチャリャによれば、多くの電力会社の送配電オペレーター達は発電・送電設備の安全稼働を確保するために、最悪条件下で自社の発送電システムが最大どれだけの電力を供給できるかを数か月ごとにシミュレーションしています。

「これらの分析ツールは何十年間も適切に設置されてきましたし、とても厳密に作られています。でも、最悪のシナリオが、猛暑日や凍え死んでしまいそうな冬の嵐が襲うほんの数日間に重なる場合だってあり得ますよね。それを想定すると、過剰な設計をして過剰な送配電設備を構築することになりかねない。でも、リアルタイムでの状況把握が可能になれば、新たな設備を構築せずとも、既存設備の能力を活かして停電を回避できる可能性があるんです」

アチャリャのチームは現在、GEエナジー・コンサルティング、パシフィック・ノースウエスト国立研究所、サザン・カリフォルニア・エジソン社と協働して、送配電網のシミュレーションや管理をリアルタイムで行えるソフトウェアシステムの開発を進めています。

いま電力会社が送配電網を管理するために利用しているツールの多くは、従来のPCのような、シングルコアのコンピューター用に設計されています。そのため、すでに活用できるはずのマルチコアの高性能コンピューターの利点を活かすことができていません。「いま、電力会社は送配電網の健康状態をモニターすることはできています。でも問題は、それらが突如不調に転じることもあるということ。現時点では、そうしたリスクへの対処策を即座に示すことは難しいと言わざるを得ません」

彼のチームは、国立研究所に置かれたマシンのように複数タスクを同時処理できる高性能マルチコアコンピューター向けの送配電網分析ツールの構築に取り組んでいます。パラレルプロセッシングと呼ばれるこの方式は、インダストリアル・インターネットを通じて送配電網を形成する何百・何千キロもの高圧線に配置されたセンサーや発電機、その他の機器からデータを瞬時にスクリーニングする、といったことを可能にしてくれます。このソフトウェアは、送配電網の安定性に最大の影響を与える数十個の重要なシグナルを膨大なデータから抽出することも可能。「弱点となりそうな部分を教えてくれるんですよ」とアチャリャは言います。

送配電網のオペレーター達はこのシステムを使えば、どの発電機の発電量をどれくらい増減させればよいのか、もしくは所定時間に送配電網を流れる最適な電力量がどれくらいかといった質問にも即座に回答することができるようになります。

アチャリャのチームは既に、GEエナジー・コンサルティングが開発した既存の電力管理ソフトウェアにパラレルプロセッシングを適用し、処理スピードの向上を実現しています。彼のチームの科学者たちはこの成果を活用して、パラレルプロセッシング向けに設計した新しいソフトウェアの開発に着手します。

長期的な目標は、電力会社の皆さんがインフラ設備を最大限に活用できるようにすること。これは送配電網を流れる再生可能エネルギーの量を増やすことにもつながるはずです。

たとえば一部の風力発電所は、送配電網がこれ以上電力を流せない水準に達した場合には、タービンブレードを傾けて風が当たらないようにしています。「この新システムが完成すれば、電力会社は停電を予測し、停電が発生する前に設備の整備を行えるようになります。また、以前にもまして困難な送配電網の新設を回避して、風力発電所や太陽光発電所からより多くの再生可能エネルギーを収集するのにも役立つんですよ」と語っています。