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永久タービン:人より先に実現する超長寿マシン

あなたのその肘の痛みは高校の野球部で投球をして以来、長年続いています。しかし、その痛みは実は幻想に過ぎません。人間の身体の筋肉細胞は、平均して15年ごとに新しく入れ替わっていて、同様に、あなたの骨、腱、靭帯、そして軟骨の細胞も、数年前のものとは完全に違うものである可能性があるのです。

同じことが機械装置でもよく起こります。例えば、発電所内で使用される多くのタービンの一般的な寿命は30年ほどです。しかし、GEが保守している一部のタービンはその2倍の期間にわたって動作しており、82年経った今もまだ動作しているものもある、とGEのグローバル・リサーチ・センター(GRC)のソフトウェア研究部門担当副社長であるコリン・パリスは言います。何が行われているのかと言うと、部品が交換され、製品寿命をはるかに超えて保守契約が延長されているのです。「これらの蒸気タービンのなかには、全ての部品を交換したものもあります」とパリスは言います。「唯一残っているのは、おそらくケーシングの枠だけです。まさに永久不滅のマシンの誕生です。」

実際、装置を半永久的に稼働し続けることは、GRCでパリスが手掛けるプロジェクトのうちの1つの目標です。狙いは、現場でしばしば偶発的に手掛ける寿命延長措置を、正式なエンジニアリングの慣行に変えることです。それにより、装置の寿命が延びるだけでなく、より効率的に動作させることができるのです。プロジェクトでは、コンピュータ・シミュレーション、人工知能、3Dプリンティングという3つの重要な技術を組み合わせ、エンジニアリングとメンテナンスの新方式を生み出そうとしています。


最上部画像:GEの コリン・パリスは装置を半永久的に生かし続けたいと考えている。画像提供:Getty Images 上図:プロジェクトでは、コンピュータ・シミュレーション、人工知能、3Dプリンティングという3つの重要な技術を組み合わせ、エンジニアリングとメンテナンスの新方式を生み出そうとしている。 画像提供:GEデジタル

コンピュータ・シミュレーションは、新しい装置の設計時によく使用されるツールです。装置の寿命サイクルが終わりに近づくと故障が発生し、技術者は原因を調べようとしますが、そのようなときにも役立ちます。パリスの狙いは、その2つを1つの連続したシミュレーションにリンクさせ、動作寿命を通して各装置を追跡することです。彼が「デジタル・ツイン」と呼ぶ、コンピュータでシミュレートした装置は、現場にある装置の現状を表すリアルなモデルです。このような仮想モデルを設定する利点は、技術者がこの装置をコンピュータ内部で「動作」させ、具体的にどの時期にどのようなメンテナンスを実施すべきかを正確に判断できることです。「これがマシンの『頭脳』を生かし続ける方法です」とパリスは言います。

例えば、部品が故障して交換が必要になった場合、人間が3Dプリンティングを使って交換部品をつくることができます。ですが、この機会を活かして、マシンを修復するだけでなく性能を向上させるような、より良い、より高度にカスタマイズされた部品をつくることもできるのです。とりわけ人工知能と機械学習は、デジタル・ツイン・プロジェクトの重要な要素です。パリスと同僚たちは現在、時間の経過とともに装置がどのように劣化するかについてのデータを収集するため、GRCの研究所にあるガスタービンで試験を行っています。タービンを高熱と高圧環境下で動作させることで、5~6年間稼働させた場合のシミュレーションを数週間で行うことができます。装置の超音波画像とX線画像を撮影し、小さな割れやその他の損傷などの摩耗のサインがないか探します。それら全てのデータを機械学習アルゴリズムに読み込ませ、最終的にもっとも適切なメンテナンス時期を予測するために使用します。「通常、モデルはタービンがどのように動作するかを表しますが、各装置は様々な要因によって異なる劣化を起こします」とパリスは言います。「私たちはAI機械学習を使って、どうやって資産とシミュレーションを完璧に適応させるかを把握しています」

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