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GEとアルストム、同じ”根っこ”をもつ歴史の続きへ

今週11月2日にGEはフランスのエンジニアリング会社アルストムの発電・送配電事業を買収し、これにより、インダストリアル分野の世界的大企業が誕生しました。調印して間もない両社ですが、出会いはこれが最初ではありません。実は両社の“根っこ“は、はるか昔から繋がっているのです。

GEの誕生は1892年。ニューヨークの資本家J.Pモルガンが、トーマス・エジソンが設立したエジソン・ゼネラル・エレクトリック・カンパニーと、エリフ・トムソンが創設したトムソン・ヒューストン・エレクトリック・カンパニーの対等合併を取りまとめたことによります。このとき、GEの初代社長には、トマソン・ヒューストンの最高幹部であったチャールズ・A・コフィンが就任しました。

エリフ・トムソン

発明家で電気工学のパイオニアでもあったエリフ・トムソン
発電機、アーク灯、交流電力などの初期の研究により19世紀後半を代表する発明家になった
*最上部の画像:マサチューセッツ州にあった自身の天文台で望遠鏡をのぞくトムソン
(画像:スケネクタディ博物館)

エジソン同様、トムソンも幼いころから機械を修理したり新たに作ったりしていました。彼が遺した手紙のなかにも 「11歳の頃からずっと、自分で作ったものを中心に電気装置をいじっていました。ですから、電気科学とその応用や発展に強い関心を寄せるようになったのは、ごく自然なことでした」と記しています。その関心の強さを示すかのように、彼の名前は今もアルストム(Alstom)という社名の最後(tom:当初はthomだった綴りを変更したもの)に生き続けています。

エジソンもトムソンも、合併前から懸命に製品の輸出をしようしていましたが、法律がそれを阻んでいました。1882年6月に発行した報告書“Edison Bulletin”には、「外国企業、特にフランス企業の場合には……、フランスの特許法に沿って例外なくすべてをフランス国内で製造する必要があります」と記されています。

この問題を解決すべく、トムソン・ヒューストンはフランスにCompanie Francaise de L’Exploitation des Procedes Thomson-Houston(CFTH)というグループを設立し、GEは1893年に同グループに「電気製品とシステムの全ラインの独占権」を与えた、とGEの過去の事業報告書に記録されています。

GEが誕生した直後のトムソン・ヒューストンの工場

1890年代半ば、エジソン・ゼネラル・エレクトリック・カンパニーとの合併で
GEが誕生した直後のトムソン・ヒューストンの工場(画像:スケネクタディ博物館)

CFTHは1928年にフランスのSociété Alsacienne de Constructions Mécaniquesと合併し、アルストム(Alstom:当時の綴りはAlsthom)が誕生しました。同社は後に発電所建設と重工業の分野における主要企業となりました。

アルストムはフランスのベルフォートに本拠を構えました。GEは1959年に、フランスでガスタービンを製造する権利をアルストムに与えましたが、1998年にはこの事業を買い戻しました。

電化されたパリ・オルレアン鉄道の始発駅

1903年、トムソン・ヒューストンのテクノロジーによって電化されたパリ・オルレアン鉄道の始発駅
(画像:スケネクタディ博物館)

GEは今なおベルフォートでタービンを製造しています。そのひとつは「ハリエット」という別名を持つ世界最大で最も効率性が高いガスタービン、9HAです。

トムソンは1853年に英国で生まれ、少年時代に米国に移住しました。11歳の頃、電気に魅せられた彼は、夢中になってワイン瓶を使った発電機を作りました。「その機械で、生まれて初めて放電による火花を見て、電気に関する最初の知識を得た」――トムソンはある伝記作家にこう語っています。

高校卒業後、高校で科学を教え、23歳で教科の主任教師になりました。1880年には同僚の教師であったエドウィン・ヒューストンと共にアーク灯システムを販売する事業を立ち上げました。同社の成功は目覚ましく、10年も経った頃にはエジソンやウエスチングハウス・エレクトリック・コーポレーションと競い合うほどになりました。

エジソンとの合併後、トムソンはGEのチーフ・エンジニアに就任し、ニューヨークのスケネクタディに研究所を開設するよう働き掛けました。この研究所は後にGEグローバル・リサーチ本部になりました。

アルストムとGEの歴史

トムソンは、交流電源方式、発電機、街路灯や電気鉄道、レントゲンを始めとする分野のパイオニアとして生涯を通じてテクノロジー開発に貢献し、700余りの特許を取得しました。

彼が創設した研究所である、現「GEグローバル・リサーチ」で働く研究員たちは、今、産業機器をインダストリアル・インターネットに結びつけるソフトウェア、3Dプリンティングなどの先進的製造手法、就航中のジェットエンジンにもすでに使われているセラミック・マトリックス複合材料(CMC)などの超新素材を開発しています。

トムソンは「電気の草創期に関する歴史書を見ると、当時 “電気の応用には大きな未来が待っているに違いない!そして特に、おそらく電気照明は大型スケールでの開発製品第一号になるだろう” という確信を抱き始めた時のことを思い出す」と記しています。