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機器どうしが「会話」する世界へーGEとボッシュが協働する“IoTの国際共通語”

インダストリアル・インターネット、つまり産業用インターネットが普及・真価を発揮していくためには、機器同士の「会話」が必須です。では、機械はどんな言葉をつかって会話するのでしょう?人間の感覚で言えば、ドイツ車がアメリカの交通標識を認識できるとは思えないし、シンシナティで製造されたジェットエンジンが中国のメンテナンスショップに持ち込まれたら不安になってしまいますよね。

GEデジタルは、ボッシュ・グループ内でソフトウェアとシステムを扱うボッシュ・ソフトウェア・イノベーションズ社と協働し、共通言語を開発することで相互理解できる機械や装置の制作に取り組んできました。

標準化を避けて通ることはできません。なにしろ2020年までにはインダストリアル・インターネットに接続する装置が500億台以上にのぼると言われ、何ペタバイトもの大量のデータを生成していくと予測されているのです。にもかかわらず、あまりに多種の技術が競合してしまっているのが現状。ボッシュ・ソフトウェア・イノベーションズ社の最高経営責任者、ライナー・カレンバッハ氏はこう指摘しています。「GEとボッシュの協働は、大いに期待していただけるものです。IoT(モノのインターネット化)がその真価を発揮したくても、120を超える独立したプラットフォームがあるような状況では話になりません。それらのプラットフォームをつなげられなければ、結局、それぞれが孤立した状態でビジネスを行うだけに過ぎないからです」

2020年までには、インダストリアル・インターネットに接続された装置は500億台以上となり
何ペタバイトもの莫大なデータを生成していると見込まれる
(画像:シャッターストック)
(記事最上部のイラスト:ゲッティ イメージズ)

昨年、ハーバード・ビジネス・レビュー誌インダストリアル・インターネット上でどれだけ多くのプレイヤーやプラットフォームが競合しているかを描いた図が掲載されました。この、エンジニアリングの図というよりも蜘蛛の巣に見える複雑な図を、GEデジタルのチーフ・テクノロジー・オフィサーを務めるハレル・コデシュは1920年代の自動車産業になぞらえました。多くの専門部品のサプライヤーに支えられたアメリカの自動車メーカーが、現在わずか数社になっている現状に触れながら、「どんな新しい市場も、はじめは過度に細分化されてしまうものです。優れたクルマを創るのにいっそう多くの資本が必要とされていった結果、1908年に253社あった自動車メーカーは1929年には44社にまで減っていました」とコデシュは言います。インダストリアル・インターネットも似た道をたどって発展していくだろう、と彼は予測しています。

ボッシュとGEの提携は、ネット接続された産業用アプリ市場が成長しているヨーロッパにおいて大きなインパクトを及ぼす可能性があります。というのも、ボッシュはIoTの標準化に関わるヨーロッパのグループの一つで、ドイツの官民連携のイニシアチブ「プラットフォーム・インダストリー4.0」のメンバーを務めるとともに、GEが創設メンバーであるアメリカの「インダストリアル・インターネットコンソーシアム」にも、一昨年から運営委員会メンバーとして参加し、米国とドイツのイニシアチブを連結するために尽力しているからです。

一方GEもまた、ボッシュ社が戦略メンバーを務める開発者向けのオープンソースの統合開発環境「エクリプス・ファンデーション」に参加しています。オープンソースである「エクリプス」上のIoTコンポーネントは、GEのソフトウェア開発施設のひとつ、デジタル・ファウンドリーに持ち込まれ、コーディング技術者やデータサイエンティスト、アプリ開発者は、新しいアプリ開発のためのスタートアップを作ったり、顧客と協働したりすることができようになります。

GEデジタルとボッシュ・ソフトウェア・イノベーションズが交わした基本合意では、両社が持つクラウドベースのGEの「Predixプラットフォーム」と「ボッシュIoTスイート」を組み合わせ、相互操作が可能なエコシステムを確立するため、新しいインダストリアル・インターネット向けソリューションを協働で模索していきます。これはつまり、橋やトンネルを建設し、2つの島を効率よく一つのテリトリーにしていくことを、コンピューター上で行うことに他なりません。

GEのPredixやボッシュのIoTスイートといったシステムを使えば、機器に搭載されたセンサーが分析用の膨大なデータを収集することが可能になります。例えば、ジェットエンジンに積まれたセンサーはフライトのたびに膨大なデータを収集します。このデータを分析することで、交換が必要な部品を技術者に警告したり、エンジン効率を向上させたりすることができ、航空会社のコストを削減できるようになります。つまり、機器の生産性をアップすると共に、パフォーマンス向上のために機器が経験から学ぶことが可能になるのです。その一方で、ソフトウェア企業もまた、Predixを活用したアプリ開発を行っています。ボッシュのIoTスイートはすでに500万台を超える機器をつなげており、産業、モバイル、スマートグリッド、都市・建築装置向けのアプリを通じています。

GEは、2020年までにPredixとその関連ソフトウェアによって150億ドルの収益をあげたいと考えています。