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ミッション・クリティカル:発電所から集まるデータ活用でトラブルとコストを防ぐGEのデジタルセンター@アトランタ

アトランタにあるGEパワーの監視・診断(M&D)センターに勤務するジャスティン・エッガートと仲間のエンジニアたちは、数カ月前、異変に気付きました。同センターは、この種のコントロールセンターとしては世界最大。見た目はまるで米航空宇宙局(NASA)のミッションコントロールセンターの小型版。コンピューターがずらりと並び、どこもかしこもカラフルなLEDスクリーンが点滅しています。60カ国、3億5,000万人にサービスを提供する900の発電所で稼働している、5,000基のタービン、ジェネレーター、その他の装置内の運転状態をリアルタイムに伝えているのです。

世界中で稼動する発電機に設置された100万個にもおよぶセンサーからは毎日、クラウドあるいはローカル側のエッジ・コンピューターに向けて2,000億件ものデータ・ポイントが送られています。GEのパワーサービスユニットのフリート管理技術担当ゼネラルマネージャーを務めるエッガートと彼のチームは、高度なソフトウェアと「デジタル・ツイン」―実際の発電所を模したバーチャル上の仮想発電所―を駆使して、さまざまな切り口からこのデータを分析し、異常がないか目を光らせています。「私たちのアルゴリズムは、他の人にはノイズにしか見えないようなデータも分析できます。こうしたノイズの中から、次の異常予測を構築するためのパターンを見つけ出すことから始めるんです」とエッガートは話します。

その日の午後、このセンターが運転状態を監視している発電所のひとつでアラートが発信されました。一見、正常に稼働しているように見え、「発電所では何も異変を感じたり、聞いたり、目にすることは一切なかった。でも、私たちは異変があると確信していました」とエッガートは話します。

そこでアトランタのGEのエンジニアたちは、現場では何の問題も見当たらずまだ半信半疑の発電所の技師に電話をかけ、数週間以内に予定されている次回の定期点検時に、タービン軸受けを入念にチェックするよう伝えました。現場から戻った技師たちは、『例のアレ、言われたとおりだったよ』とアトランタのメンバーに打ち明けました。「軸受に添加する潤滑油の量が不適切で、故障するところだったそうです」

問題を早期に発見できると、インフラ事業者はオペレーションコストを大幅に節約できます。発電所が故障して、グリッドが突然切断されるような事態にでもなれば、米国では5万ドルの罰金が科せられます。この罰金に、発電所がダウンしている間の事業損失も上乗せされることになります。ベアリングが故障するようなケースでは、費用は何百万ドルにも膨れ上がる可能性も。代わりの発電所をすぐに用意することができず、技師が発電所を数日または数週間、修理しなければならない場合はなおさらです。

エッガートのチームが活用しているテクノロジーは既に、似たような問題を年に何百件も発見できるほど十分高度です。しかしさらに、GEデジタルがインダストリアル・インターネット向けに開発したソフトウェアプラットフォーム、Predix上では、この秋から新たな「頭脳」も動作しています。これはGEの新しいアセット・パフォーマンス・マネジメント(APM)ソフトウェアアプリケーションで、サービス停止を引き起こす可能性のある問題の事前警告を、より早期にお客様に伝えることで、センターの予測力をより一層向上させます。この「頭脳」は、GEエンジニアや彼らが担当するお客様のリアルタイムの情報交換を可能にし、停電を引き起こすような問題を未然に特定することができます。このソフトウェアのユーザーはGEの専門家たちとまったく同じ内容を閲覧できるため、ダウンタイムを減らして発電所のパフォーマンスを最適化したり、燃料費を最小限に抑えることにもつながります。「以前は発電所の技師に電話するかメールを送るなどしていましたが、今では技師も私たちと同じデータを見ることができるようになりました。おかげでスマートフォンやタブレット、パソコンで情報交換し合い、協力体制をいっそう向上させることができていますよ」とエッガートは話します。

このM&Dセンターが監視しているのは、60カ国、3億5,000万人にサービスを提供する
900の発電所で稼働中の約5,000基の火力タービン、発電機、
その他装置内のリアルタイムな運転状態(GIF画像:GEパワー)

GEは20年前から発電所の遠隔監視を行っており、貴重な機器の運転データを独自に蓄積しています。GEの発電機器は世界の電力の3分の1を作り出しているため、タービンやジェネレーターの構築・運転方法に関する深く詳しい洞察を備えています。この専門知識のおかげで、アルストムや三菱重工業社、シーメンス社、その他の企業が製造したタービンであっても、このセンターの作業チームは監視することができます。「収集・確認したデータ量は誰にも負けない確信があります。当社は多岐にわたる装置を設計しているので、どこを調べればよいかも知り尽くしています。こうした知識があるからこそ、テイラーメイドのようにGEのアルゴリズムを適合させることができるんですよ」

Predixのアルゴリズムはクラウド上で最も威力を発揮します。特殊な機器のデジタル・ツインと組み合わせたこのソフトウェアは振動、圧力、温度、その他の要素に関する情報を活用して、将来起こることを予測し、メンテナンスに最適な時期や発電所の最適な運転方法をアドバイスしてくれます。

しかし、これ以外の一連のアルゴリズムやデジタル・ツインも発電所の機器に直接つなげられたコンピューター上で活躍しています。GEはこれをオン・ザ・エッジと呼んでいます。「エッジはどちらかというと、今この場所にフォーカスするもので、クラウドは今後のことを考えさせてくれるもの」とエッガートは説明します。「エッジは、ほらこうやって僕らもやるように、機器に指を当てて発生した振動や熱をその場で感知するのと似ています。一方でクラウドは頭脳と言えるもので、全体像や、すべきことを把握するのを助けてくれるんですよ」

それでもやはり、最終的にデータの意味するところを見抜いたり、それにどう対処するか判断するのは、人です。エッガートは「エッジやクラウドを自分の予測ソフトウェアとして機能させることができる」としながらも、次のように続けます。「でも、これらはあくまでサービスを提供する人に情報を与えるものであって、人とデジタル技術との関係は協力的なものであり、競争するものではありません。人工知能(AI)は人に取って代わるものではありません」

PredixはMicrosoft Azureや、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のような大規模なクラウド環境で機能します。エッガートによると、Predixはシステムを思い通りの規模に「簡単に」拡張させることができ、「ボタンひとつで規模を変化させることができる」と言います。

PredixはAPMソフトウェアのように、例えばガスタービンの監視や診断の実施に加え、メンテナンス戦略の最適化、安全・環境コンプライアンスの管理、信頼性の確保、その他にも数多くの機能を持つソリューションを利用する場合に便利です。「ソフトウェアのこうしたすべての機能は密接につながっています。お客様はライセンスを購入し、機能をどこまで利用するか自由に選ぶことができます」

GEがM&Dセンターと呼ぶこのコントロールセンターが現時点で対象としているのは、石炭やガスを燃料として発電する火力発電所のみです。しかし、GEの再生可能エネルギーの監視センターはニューヨークをはじめ世界中に設置されています。将来的には、同様のセンターが「エネルギー・バリュー・ネットワーク全体」をカバーするようになるかもしれない、とエッガートは言います。「変圧器、インバーター、送電線、バッテリー、発電所と消費者の間にあるその他のテクノロジーだって監視できないはずがありません。Predixやクラウドに目を向ければ、可能性は無限ですよ」

記事最上部のGIF画像:
ジャスティン・エッガート
GE Power パワーサービスユニット フリート管理技術担当ゼネラルマネージャー

 

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