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GEは次章へ:GEのCEOが会社の将来プランを語る

―これは、6月26日にGE本社のGE Reportsに投稿した記事の抄訳です―

GEは今日、会社の成長を促し、株主にとってより大きな価値を生み出すことをめざし、事業ポートフォリオの大幅な変更を発表しました。GEのアビエーション、パワーおよびリニューアブルエナジーの3部門が新たに中核事業と位置づけられました。GEヘルスケアは事業として独立させ、株式の80%をGEの既存株主に割り当てるほか、残りの20%は売却をめざす計画です。

また、2017年にGEオイル&ガスとベーカー・ヒューズの統合により設立され、石油・ガス分野の機器・サービスを提供するベーカー・ヒューズ・GEカンパニー(BHGE)は、「完全分離」させる予定です。GEは「今後2~3年」の間に分離すると発表しています。GEは現在、BHGE株式の62.5%、価値にして230億ドル(約2兆5,300億円)を保有しています。

GEは5月に、機関車などの鉄道関連機器を製造するトランスポーテーション事業を米ワブテック社に111億ドル(約1兆2,210億円)で売却し吸収合併させることを既に発表しています。

またGEは、財務体質強化策を明らかにしました。純有利子負債を約250億ドル(約2兆7,500億円)削減する「明確な道筋」を示し、金融サービス部門GEキャピタルの「さらなるリスク削減」をめざす計画です。最後に、GEの新たな経営哲学として、重心を本社からビジネス部門に移し、2020年末までに少なくとも5億ドル(約550億円)の本社経費を削減する見込みであることを明確にしました。

「今日はGEの歴史において重要な節目です」とGE会長兼CEOのジョン・フラナリーは言います。「GEはアビエーション、パワーおよびリニューアブルエナジーの会社として、積極展開していきます。これらの3事業は補完性が高く、将来の成長につながります。GEをよりシンプルで強い会社にし、引き続き業務改善、財務体質の改善に努めていきます」

GEヘルスケアの分離独立までは、取締役会の承認を得られることを条件として、現在の四半期配当を維持する方針としていますが、その後は「同業他社と同等レベルの」配当に調整するとGEは発表しています。新生GEヘルスケアの配当政策は、同社の取締役会が決定します。


上部画像:「今日はGEの歴史において重要な節目です」とGE会長兼CEOのジョン・フラナリーは言います。画像提供:GE
最上部画像:米国オハイオ州ピーブルズにあるGEアビエーションの試験場で試験中のGEnxジェットエンジン。画像提供:GEレポーツ

GEヘルスケアとBHGEを分離することで、イノベーションに投資し、自らの成長戦略を追求することが可能になるとフラナリーは話しています。「今日発表した分離により、ヘルスケア専業の会社と石油・ガスのサービス会社大手が生まれることとなります」とフラナリーは言います。さらに「GEヘルスケアとBHGEを現在のGEから切り離すことは、GEとGE株主だけではなく、両ビジネスにとっても最善の策だと自信をもって言えます。分離後は、両ビジネスの市場での主導的立場を強化し、将来に向けた投資を拡大させることができます」と付け加えました。

GEヘルスケアの2017年売上高は190億ドル(約2兆900億円)、営業利益は35億ドル(約3,850億円)でした。同社は、医用画像診断装置のほか、ソフトウエア、データアナリティクス、AIアプリケーションを含む医療機器やツールを製造しています。

医薬品の分野でも最先端に位置しています。例えばライフサイエンス部門は、製薬会社が生物製剤の製造に使用する機器やツールを製造しています。生物製剤は、世界で最も成長著しい製薬分野で、現在の市場における医薬品トップ10のうち8品目を占めます。その技術は、例えばCAR-T療法のような画期的な治療法も支えています。CAR-T療法は、患者の免疫システムに手を加えてがん細胞を攻撃する免疫療法です。「GEヘルスケアのビジョンは、患者個人に合わせた、より精密で効果的な治療を推進することです」とGEヘルスケア社長兼CEOのキーラン・マーフィは言います。「グローバルなヘルスケア会社として独立すれば、将来の成長機会を追求し、業界の変化に素早く対応し、イノベーションに投資するための柔軟性が得られるようになります」。

GEは、1892年の設立後まもなく、医用画像診断装置およびヘルスケアの事業に参入しました。1896年にヴィルヘルム・レントゲンがX線の発見を発表した翌年、トーマス・エジソンと共にGEを創業したアメリカ人エンジニアのエリフ・トムソンは、「骨構造の診断と人体内の異物発見のため」にX線撮影装置を商品化しました。その後、GEの科学者ウィリアム・クーリッジが現代のX線管を発明して携帯型のX線装置を作り、それは第一次世界大戦中の野戦病院で利用されました。彼はまた、クーリッジ型回転X線管を発明し、これは現在も世界で多くのX線装置やコンピュータ断層撮影(CT)装置に使用されています。彼の同僚であるアーヴィング・ラングミュアは、1932年のノーベル化学賞を受賞しており、イメージインテンシファイアという装置で特許を取得しました。この技術により、医師らはその後、患者の画像を撮影するために必要な放射線量を減らすことができるようになりました。超電導の研究で1973年にノーベル物理学賞を受賞したアイヴァー・ジェーバーは、GEが最初の超伝導磁石を作り、磁気共鳴断層画像診断装置(MRI)の製造を開始するのに貢献しました。1980年代には、GEグローバル・リサーチ(研究開発センター)のジョン・シェンクがGEの画像診断装置を使い、初めて脳のMRI画像を撮影しました。

GEの画像診断装置で撮影した脳のMRI画像。画像提供:GEグローバル・リサーチ

将来のGE
フラナリーは、GEが航空・電力関連の事業に専念した方が、会社としてより資源を集中させ、投資家も評価がしやすくなるだろうと言います。実際、GEアビエーションとGEパワーは、1世紀以上前から密接に連携しています。ガスタービンは、多くの点でジェットエンジンと似ており、最新の複合材料、金属3Dプリンティング技術、設計特性とノウハウなど、たくさんの技術が両ビジネスに共通しています。GEが1917年に航空関連ビジネスに参入することになったのは、GEのガスタービンのエンジニア、サンフォード・モスが「ターボ過給機」という機器を設計したのがきっかけでした。これにより、航空機エンジンは、高空においても馬力を維持できるようになりました。モスは後に、米国の航空の殿堂入りしました。

逆方向に技術がシェアされることもあります。今日、世界最高効率のコンバインドサイクル発電所2カ所で導入されている、GEパワーの先端的なHAガスタービンは、もともとはGEアビエーションのエンジニアが超音速ジェットエンジンのために開発した技術を取り入れています。エンジニアたちは、自由に両ビジネスを行き来し、金属3Dプリンティングのような新しい製造技術を活用すべく密接に連携しています。例えばジャロスロー・ウェロンコは、金属合金で3Dプリントされた部品を多く導入した新型航空機エンジン「GE Catalyst」の3Dプリント部品の設計に協力しました。彼はまた、サウスカロライナ州グリーンビルにあるGEパワーの工場でガスタービンを担当していたこともあります。ウェロンコは、そのようなコラボレーションについて、「自分も他の皆も、実力が上がります。GE Catalystを2年足らずで設計するのは全力疾走するようなものでした。他の人たちから学び、実践する機会がなかったら、私は達成できなかったと思います」


サウスカロライナ州グリーンンビルの試験場に設置されたHAガスタービン。最新の複合材料、金属3Dプリンティング技術、設計特性とノウハウなど、GEパワーとGEアビエーションに共通する技術は数多くあります。画像提供:GEパワー

GEパワーとGEアビエーションの各ビジネスは、GEグローバル・リサーチの科学者とも密接に連携しています。そのうちの一人、クリシャン・ルトラは、セラミックマトリックス複合材料という最先端素材の開発に20年を費やしました。その重量は金属の3分の1で、耐熱温度は、どんな最先端の合金でも軟化してしまう、華氏2400度(摂氏約1300度)です。ジェットエンジンもタービンも、より高温での運転が可能となれば、燃料からより多くのエネルギーを引き出し、効率化が図れます。GEは、HAガスタービン向けのほか、世界最大のジェットエンジンGE9Xと、CFMインターナショナル社(GEアビエーションと仏サフラン・エアクラフト・エンジン社が折半出資する合弁会社)が開発した航空機エンジン「LEAP」向けに、この材料から作った部品を設計しました。LEAPエンジンは、米国のカタログ価格ベースで2,000億ドル(約22兆円)以上受注しています。

GEは、米国初のジェットエンジンを製造しました。今日では、世界の空を飛ぶ民間航空機の3機のうち2機にGE製のエンジンが搭載されており、GEアビエーションが出荷したエンジンは、計65,000台にのぼります。GEパワーが製造した設備は世界の電力の3分の1以上を生産することが可能で、各地に約7千台のガスタービンが設置されています。

GEアビエーションは、世界最大のジェットエンジンGE9Xをボーイングの次世代旅客機でワイドボディ(双通路)の777X向けに設計しました。エンジンには、3Dプリンティングで作られた部品のほか、セラミック複合材料と炭素繊維複合材料を使用したコンポーネントが搭載されています。画像提供:GE アビエーション

GEリニューアブルエナジーの陸上風力タービンは、世界各国に設置されており、その発電容量は6万メガワットにのぼり、これは、インドネシア全国の電力量をまかなえるレベルです。世界最大の洋上風力タービンのHaliade-Xの開発も進めています。1基の発電容量が12メガワットあり、ヨーロッパの家庭16,000世帯に電力を供給することが可能です。

GEアビエーションの2017年売上高は270億ドル(約2兆9,700億円)、営業利益は54億ドル(約5940億円)で、2,000億ドル(約22兆円)の受注残高があります。GEパワーの売上高は350億ドル(約3兆8,500億円)、営業利益は19億ドル(約2,090億円)でした。受注残高は、980億ドル(約10兆7,800億円)です。GEリニューアブルエナジーの売上高は90億ドル(約9,900億円)、営業利益は6億ドル(約660億円)でした。受注残高は、150億ドル(約1兆6,500億円)です。

GEのイノベーションセンターであるGEグローバル・リサーチは、GEの各ビジネスの新製品および新技術の開発を支援する機関として引き続き維持されますが、社外のパートナー企業にも開放し、エンジニアリング上の困難な問題解決や新技術の推進のお手伝いをします。GEグローバル・リサーチはGEアビエーションCEO兼GE副会長のデビット・ジョイスに業務報告をします。ジョイスは、金属3Dプリンティング技術に特化したGEアディティブといった新ビジネスの発足に協力してきました。

フラナリーは、今回の変更により、会社が「よりシンプルで強く」なり、ビジネスの成長が加速されると話しています。また「これまでに実施してきた変更に加え、今日発表した分離により、今後は業績が改善すると確信しています」と続けました。「ビジネスの将来の成長のために、当社は今日発表した戦略と組織変更をしっかり実行していきます」。

Haliade-Xは、世界最大の洋上風力タービンとなる予定です。1基の発電容量が12メガワットあり、ヨーロッパの家庭16,000世帯に電力を供給することが可能です。画像提供:GEリニューアブルエナジー

米1ドル=110円で円換算額

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