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東京電力フュエル&パワー、富津火力発電所をIoT技術を活用する日本初の発電所へ

千葉県の東京湾岸エリアに位置する富津火力発電所(以下、富津火力)は、コンバインドサイクル・システムを備えた4つの系列で構成され5,040メガワットもの総発電出力を有する巨大な発電所で、東京電力フュエル&パワー(以下、東電FP)が運営しています。富津火力発電所は同社の15の火力発電所のなかでも最も高い運用効率を誇る発電所でありながら、東電FPは、トヨタ生産方式でも知られる「カイゼン」によってさらにこの効率を高めようと努力を続けています。

そしてさらに今、同発電所は日本で初となる、IoT技術を活用した発電所へと進化しようとしています。具体的には、富津火力の4号系列にGEが開発した産業用IoTのためのクラウドプラットフォーム「Predix」を適用し、さらなる運用効率向上を狙おうというものです。

Predixと共に採用される、GEが産業機器用に開発したアプリケーション「Asset Performance Management(APM)」は高いセキュリティ能力を備えるPredixクラウド上で運用されるもので、富津火力4号系列の発電設備に備え付けられるセンサーを通じて得る機器内の温度、液体やガスの圧力レベルの状況などリアルタイム・データを分析し、いっそう高効率な発電所運用をサポートします。APMは特に、各パーツの異常を早期に察知して故障を未然に防いだり、各パーツの“健康状態”を正確に把握してメンテナンスが必要になる適確な時期を割り出すことができます。火力発電所のメンテナンスは従来、修理・交換が必要であるかどうかに関わらず実施されていました。東電FPは、APMを導入することで本当に修理・交換が必要になる時期を正しく算出し、メンテナンスのためのダウンタイム(稼働停止期間)を短縮したり予め電力需要の多い時期を避けてメンテナンス計画を立てることで、大幅なコスト削減を狙います。

東京電力フュエル&パワー 富津火力発電所
(写真提供:東京電力フュエル&パワー株式会社)

富津火力4号系列はGE製の高効率ガスタービンを3基備えており、非常に高い発電効率を記録しています。だからこそ、この4号系列のダウンタイムは最小限に抑えねばなりません。その理由は、発電事業者は、高効率な発電設備を停止させる期間はその相当量の電力を、効率が劣り発電コストが嵩む別の発電設備を稼働させて補わなければならないため。PredixとAPMを使えば、機器の不具合を未然に防いだり、メンテナンス計画を事実と根拠に基づいて行うことでコストへの影響を最小化できるようになります。

GE Powerでプロジェクトのリーダーを務めた関 真(せき まこと)も「期待される成果のなかでも特に重要なものは、発電所の可用性と信頼性、そして運用効率の向上です」と言います。

今後、再生可能エネルギー活用が拡大されるなかで、火力発電所は、太陽光や風力を用いる再生可能エネルギーの弱点である不安定さをカバーするための柔軟性を備える必要があります。すでに高い柔軟性をもつコンバインドサイクル・システムを備えた富津火力は、今後、発電所の運用を最適化するGEのソフトウェアを用いることで、さらに柔軟性を高めることができると見込まれています。

東電FPは今回のプロジェクトを通じて得る知見を、将来的には同社が保有する全体の発電所(※)に適用し、コスト削減に繋げる計画です。化石燃料を輸入に頼らなければならない日本では、1キロワットあたりのコストが他国にくらべ非常に高く、国や電力業界は頭を悩ませてきました。電力コストは製造業においてはそのまま製造コストに跳ね返ります。製造業が多くを占める日本の産業の中核にある電力会社は、発電効率の向上に凌ぎを削り、燃料使用量を抑える努力を続けてきました。こうした文脈のなかで東電FPが乗り出した、ソフトウェア技術を用いるというまったく新しいアプローチは、日本の産業に希望をもたらします。
※全15の発電所は総計99系列を備え、その最大発電能力は4,400万キロワットに及ぶ

東電FPはさらに、ここで培う知見を海外事業にまで展開していきたいと考えています。同社はすでに、タイやカタールをはじめとする国々でIPPとして10の火力発電所を運営しています。富津プロジェクトから得る知見は、これら海外の発電所をより高効率化するうえでも役立ち、これらの国々により高品質な電力を提供することを可能にしてくれるはずです。

関は「GEが提唱する“デジタル・パワー・プラント”の実現を図る今回のプロジェクトは、東京電力フュエル&パワーの将来に向けた大きなビジョンを実現するための第一歩となります」と言います。「最終的には事業規模の面でも収益性の面でも、業界のグローバルリーダーになることを目指しておられる同社と、その実現に一緒に取り組ませていただけることを誇りに思います」

デジタル技術がもたらす新たな叡智と、カイゼンの努力が導くさらなる洗練との掛け合せーーこれは、同社のビジョン実現に向けた着実な前進を約束します。