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グラミー賞とエジソンの蓄音機のカンケイ

2月12日(日)の夜(日本時間では2月13日の朝)発表される2017年の『グラミー賞』。アメリカの音楽シーンに注目している方でなければ「ふーん。」な話かもしれませんが、映画の世界における『アカデミー賞』と同じく歴史と権威のある、音楽の世界のアワードです。今回は、音楽業界とエジソンの関係をご紹介します。

エジソンは子供時代に聴覚をすっかり失ってしまいました。「最後に鳥のさえずりを聞いたのは12歳のとき」と自身も語っています。そして29歳の時、世界で初めて音を記録して再生する機械「蓄音機」を発明。これは、有名な白熱電球の発明よりもずっと前の、1877年のことでした。

全米レコーディング芸術科学アカデミー(National Academy of Recording Arts and Sciences)は1958年、音楽業界で功績を収めたアーティストに贈るアワードを設立。その名前を検討した際、エジソンのレコーディング技術開発への感謝をこめて、彼のニックネームを冠し『エディー賞』と名付けようと考えたというエピソードも残っています。結局この賞は、蓄音機=グラモフォンにちなんで『グラミー賞』と命名されましたが、エジソンの存在は、音楽業界にとっても重要なものとされています。

スマーとフォンやオーディオセットであたりまえのように音楽を楽しめるようになった今日。この「音を記録して再生する」ことの発端になった蓄音機について、エジソンのアイデア・スケッチや記録を集めてみました。

1878年、世界で初めて録音と音声再生を可能にした装置、
アルミ箔蓄音機の集音機に向かって話すエジソン
それよりも以前、1857年にはフランス人のエドゥアール=レオン・スコットが
録音のみ可能な「フォノオートグラム」を制作した

最上部画像:エジソンと彼が発明した蓄音機
(画像ともに:スケネクタディ博物館)

エジソンが蓄音機発明のベースにしたのは、電信機、電話機の知識。「回転するローラー上に置かれた円盤状の紙の上に電信メッセージを自動的に記録するという、今で言うディスク型蓄音機と同じ方式の装置の実験をしていた」と、エジソンは自伝の中で語っています。「電話開発の実験から、振動板を使えば音の振動が拾えることは分かっていた。そこで、ディスクを使う代わりに、表面に溝をつけたシリンダーを使った小さな機械を設計した。その周りにアルミ箔を貼って、振動板の動きを感知・記録させたのだ」。振動板の動きを記録するのには針を使用しました。

新しい発明にこぎ着けると、エジソンはいつものクセで、この装置にどのくらいの価値がつくかを考えたと言います。彼の予想は18ドル、現在の価値で言うと約390ドル。しかし、エジソン自身はこの発明に手応えを感じていませんでした。「うまくいく確信はなかった。単語の一つでも聞き取ることができれば、次につながるだろう、くらいにしか考えていなかった」。そんなことを考えながら、エジソンは彼の相棒でありスイス出身の有能な機械工、ジョン・クルージにスケッチを見せて、製作を依頼しました。「クルージは、作業が終わろうとする段になって、これは何に使うものか、と尋ねてきた。私は、話した言葉を記録して機械が言葉を返す機械だ、と伝えた。クルージは馬鹿げた話だと思ったことだろう。機械が完成すると、私はアルミ箔を貼って『メリーさんの羊!』と叫んだ。それから再生装置を調整すると、機械は完璧にその声を再生してみせたのだ!私の人生の中で、あれほどあっけにとられたことはなかった」

エジソンがジョン・クルージに渡した原画スケッチのコピー。
(画像:スケネクタディ博物館)

エジソンが作った装置は瞬く間に有名になり、「メンロパークの魔術師」と呼ばれるほど、稀代の発明家として名声を博すことにつながります。また1878年4月18日には、この装置を見たいという第19代アメリカ合衆国大統領、ラザフォード・ヘイズからの招聘で、エジソンはホワイトハウスにも出向きました。エジソンが録音した音源は今でも多くが残っており、mp3ファイルとしてデジタル化された音声は今もオンラインで聴くことができます。

エジソンと親交が深かったシグムンド・バーグマン(左)とチャールズ・バチェラー。
エジソン(着席)と彼の1878年製アルミ箔蓄音機と共に。
(写真:スケネクタディ博物館)

1877年にエジソンが初めて作った蓄音機
(写真:スケネクタディ博物館)

音声録音に使用されたマウスピース
(写真:スケネクタディ博物館)

蓄音機に向かって話す女性のイラスト
(画像:スケネクタディ博物館)

初期の蓄音機のイラスト
(画像:スケネクタディ博物館)

エジソンとワックスシリンダー装置
(写真:スケネクタディ博物館)

エジソンは、後にワックス製のシリンダーに変更した
(写真:スケネクタディ博物館)

このイノベーションを活用し、エジソンはおしゃべり人形でおもちゃ市場にも進出した
(写真:ロビン&ジョアン・ロルフス)

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