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GEの大型陸上風力タービンCypress、始動

欧州の田園風景の中で動き出した巨大な建造物―今年3月にオランダの沿岸都市ウィーリンガーメーアで発電を開始した、GEリニューアブルエナジーによる最大規模の陸上風力タービン「Cypress」の試作機です。このCypressが世界中の送電網に電力を供給するようになるのももう間も無くのことでしょう。

18ヶ月という非常に短い準備期間を振り返り、陸上風力部門の欧州地域リーダーであるピーター・ウェルズは「ここまでの道のりは目を見張るものでした」と語りました。GEは2017年9月にCypressプラットフォームを発表し、2018年後半に設置を開始しました。「比較的短期間のうちに、これまでにはなかった選択肢やソリューションをお客様に提供できるテクノロジー・プラットフォームを新たに整えることができました。お陰様でお客様からは好評をいただいており、今後の可能性にも大きな期待をかけています」とウェルズは続けます。


Cypressの並外れた大きさは実に壮観です。ローターの直径は158メートル、高さはニューヨークの摩天楼に匹敵します。この設計により、年間総発電量(AEP)はGEの3メガワットクラスの風力タービンと比べて50%増加する見込みです。これは、風力タービンのローター直径が大きくなるほど、より多くの風をつかまえることができるからです。「ブレードで受けた風からより多くのエネルギーを得ることができます。また、ブレードの大きさと事業収益性は直結しています」と、この試作機の現場で業務にあたるGEリニューアブルエナジーのプログラムマネージャー、アンドレアス・ジョーゲンズは述べています。
 
ドイツではすでに国内に30,000基ある陸上風力タービンで国内発電量のおよそ15%を発電しており、Cypressの主要な市場の一つであるとウェルズは述べています。「4.8-158」や「5.3-158」と呼ばれるCypressのモデル(前半の数字が出力、後半の数字がローター直径を表す)のうち1基だけで、欧州一般家庭の5,000世帯分の電力を生み出すことができます。

Cypressには他にも特筆すべき特長があります。それは、サイズが輸送上の大きな問題とならないことです。Cypressのブレードは2つに分割できるため輸送性に優れています。丘陵地帯の曲がりくねった道をトラックで運び、現地で組み立てることができます。

この大きな2分割ブレード設計は利用可能な土地が限られる場所でも利点があります。例えばそういった地域の発電事業者でも、Cypressによってタービン数を最小限に抑えつつ発電量を最大化できるとジョーゲンズは言います。

Cypressタービンの高さはニューヨークの摩天楼に匹敵し、GE3メガワットクラスと比べてタービンのAEPが約50%高い設計になっています。
これは、風力タービンのローターの直径が長くなるほど、より多くの風をつかまえることができるためです。
最上部と上部の画像提供:
GEリニューアブルエナジー

発電事業者は、必要に応じて様々な仕様を最適化することもできます。発電機性能、タワーの高さ、騒音性能などの仕様を変更し、現地の電力系統の接続要件や風況に合わせることで、タービンの年間出力を最適化することができます。「地形、風力資源、規制、騒音に関わる制約、高さ、ローター直径、周囲の環境など、諸条件に合わせてCypressを調整できます」とウェルズは言います。

Cypressにとってドイツは足がかりに過ぎません。ウェルズとジョーゲンズがCypressの可能性を感じている国や地域は、欧州に留まらず、アジアやオーストラリア、南北アメリカにまで広がっています。これらの国々のなかには、風力発電市場が確立している国もあれば、現地の状況によって従来のタービンを設置できなかった国もあります。

Cypressによって、ドイツや北欧地域の発電事業者は風力発電の均等化発電原価(LCOE)を3メガワットクラスの風車と比べて大幅に削減できるようになるとウェルズは話しています。LCOEは電力業界にとって重要な指標であり、発電設備の耐用年数にわたって電気を生み出すためのコストを表します。

LCOEの削減が可能となれば、風力施設の発電コストが下がり、発電事業者は競争入札を有利に進めることができるようになります。風力発電は他の電力源と今後ますます価格面で競争が激化することから、これは重要なポイントです。

長期的には、Cypressによって発電事業者は年間何十億ドルものコスト削減が可能となります。2018年にはドイツだけで陸上風力から90テラワット時近くの電力を生み出しました。これは、チェコ共和国やベルギー全体に電力を供給するのに十分な量です。2018年のドイツ卸売市場における電力価格はメガワット時あたり約50ドルでした。

また、2分割ブレード設計によってGEはお客様のニーズに基づく様々なタービンの構成に対応しながら、製造プロセス自体の効率性をさらに高めることができます。「現地に合わせて簡単にブレードをカスタマイズするなど、この2分割ブレードには多くの可能性があります」とウェルズは言います。

一方でGEの技術者たちは、製品の商用化に向けた重要なステップであるタービンの型式認証を取得するため、試作機で試験を重ねています。これとは別に、航空機の翼の性能試験のような、静的コンポーネント試験も実施しています。

最後にジョーゲンズからひと言。「試験はまだ続きますが、たった18ヶ月間で陸上風力の概念を変えるほどのCypressの構想から実現にこぎつけた、エンジニアリング、サプライチェーン、製造、設置を担ったグローバルチームの一員であることに誇りを持っています」

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