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水素世代:宇宙一豊富な元素で動くガスタービン

学校で化学を勉強した人にとって、水素は過去の懐かしい思い出を呼び起こすものでしょう。水素は見ることも匂いをかぐこともできませんが、試験管の上に火のついたマッチをかざした時のきしんだような破裂音を聞けば、水素がそこにあるのがわかります。水素の易燃性と並外れた軽さを見れば、NASAがそれをロケット燃料として使用するのは当然のことだと思うでしょう。(水素はまた、宇宙で最も豊富な元素でもあります)

正しく管理し容器に安全に保管すれば、水素ガスにはもう一つの利点が生まれます。それは、ガスを燃焼し酸素と混合すると、二酸化炭素の排出なしに発電が可能なことです。この時に発生するのは水と熱だけなのです。爆発の可能性はあるものの、この完璧に近い組み合わせには、エネルギー産業と環境保護論者が共に、発電のためのクリーンな代替燃料として期待を寄せてきました。GEパワー ガスタービン製品担当のジェフ・ゴールドミーアは次のように述べています。「当社タービンの顧客からどうしたら低炭素発電に水素を利用できるか絶えず質問がきますが、もうすでに可能ですよと答えています」

NASAで低重力研究用航空機の燃焼試験を行っていたゴールドミーアによると、GEのガスタービンはすでに長い間、様々な濃度で水素を天然ガスと混合して燃焼させ、多くの成果をあげてきた実績があります。米国、アジア、およびヨーロッパで70基を超えるGEのガスタービンが現在、また過去長きにわたって水素含有燃料の燃焼による発電を行っており、その運用時間は合わせて400万時間以上になります。

たとえば、世界で最も急成長しているガスタービンであるGEの画期的なHAガスタービンのDLN 2.6e燃焼システムは、特定の用途で最大50%(体積比)の水素を含む燃料を燃焼させることができます。これは単なる偶然ではありません。GEは、高濃度の水素を燃焼させることができるガスタービンを製造するために、米国エネルギー省プログラムの一環として燃焼技術を開発してきたのです。

水素はまた、多くの工場内でも供給される準備が整っています。例えば、製鋼プロセスの副産物であるコークス炉ガスおよび高炉ガス、そして製油所の排ガス中にも水素が存在します。この水素を多く含むガスを、燃やす代わりに燃料としてタービンに供給することで、工場用の電力を作ることができます。

トップ画像:スペースシャトルの外部燃料タンクには、液体水素燃料と液体酸素酸化剤が含まれていた。2016年には、そのうちの1基がルイジアナ州にあるNASAのミックハウド組立施設からロサンゼルスにあるカリフォルニアサイエンスセンターに移動した。画像提供:Mintaha Neslihan Eroglu /アナドル通信社/ゲッティイメージズ。上部画像:フランスの作家、詩人、そして劇作家のジュール・ヴェルヌは1874年に、水の2つの成分である水素と酸素を「単独でまたは一緒に」使用すると、最終的には人類に無尽蔵の熱と光を供給すると予測していた。GEのジェフ・ゴールドミーアは「彼は恐ろしいほど正しかったようです」と述べている。画像提供:ゲッティイメージズ

スペインのジブラルタル – サンローク製油所が一例です。ここでは、GE製の6B.03タービンが数千時間にわたって燃料ガスと水素の混合物を燃焼させています。この同じ6B.03機が韓国の製油所でも稼働しており、20年以上にわたり70%以上の水素を含む燃料混合物を燃焼しています。このタービンは、最大90%もの水素を含む混合物を扱うまでに至っています。

ルイジアナ州の石油化学工場も、8年間にわたって4基のGE製7Fガスタービンに水素と天然ガスの混合ガスを供給してきました。これらの水素対応タービンにより、産業プラントではガスタービンにとって「伝統的な」燃料である天然ガスの供給を、数百万ドル分節約することができました。

水素対応タービンはまた、世界の炭素排出量削減の取り組みにおいて大きな役割を果たす可能性があります。水素をこれらのタービンに供給される天然ガスと混ぜ合わせると、グリッドの炭素排出量をかなりの量取り除くことができます。たとえば、GEの9F.03ガスタービンに供給される天然ガスに5%の水素を混ぜることで、年間のCO2排出量を約19,000トン削減できます。50%の混合で281,000トン、95%の混合でCO2排出量を104万トンまで削減できるのです。これは、7万人近くのアメリカ人の年間二酸化炭素排出量に相当します。「このタービンの長所は燃料の柔軟性です」とゴールドミーアは言います。「これがソリューションの一部です」

中国の上海にあるLuojing Baosteel Group Co. Ltd.が運営する製鉄所は、水素を多く含む製鉄所のガスを燃料として燃焼し、発電される電気を使用しています。画像提供:GEパワー。

水素対応タービンはまた、より多くの再生可能エネルギーを発電構成に加えることにより排出量を削減します。断続性は未だに再生可能エネルギーにとって問題です。風は常に吹いているわけではなく、太陽は常に輝いているわけではありません。これらの水素燃焼タービンは、再生可能電力が不足せず余剰がある時に、グリッドに確実な電力を送ることによって、このようなギャップを埋めることができます。

たとえば、2015年と2016年に、ドイツと英国は合わせて約5テラワット時の「削減された」風力発電量を記録しました。これは需要の欠如や他の要因により、実際に発電されなかった電力です。これだけで丸一日インド全土に電力を供給できます。しかし、もし無駄になった風力を水の電気分解、つまり電流を使って水(H2O)を構成原子の酸素と水素に分解するプロセスに使用できるとすればどうでしょうか。このように、炭素排出量ゼロの強力な燃料である水素を、それ自体も、無駄にされていたであろう無炭素の風力から得ることができるのです。

「カーボンフリーの電力を生みだす方法はいくつもあります。既存のガスタービンから電気を作り出すためにガスグリッド全体へ水素注入することもその一つです」とゴールドミーアは言います。GE技術者が引き合いに出すのは、フランスのSF小説の父ジュール・ヴェルヌの名言です。彼の著書は記憶に残る技術上の予言に満ちています。

ヴェルヌは1874年に、水の2つの成分である水素と酸素を「単独でまたは一緒に」使用すると、最終的には人類に無尽蔵の熱と光を供給すると言っていました。「彼は恐ろしいほど正しかったようです」とゴールドミーアは述べています。

 

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