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AI(人工知能)と協働する“知識の泉”づくり

AI(人工知能)技術をいかに産業に活用するか、については様々な議論が繰り広げられています。もちろんGEにとっても、AIは関心の高い領域です。

GEグローバル・リサーチ(GE中央研究所)は毎年秋にホイットニー・シンポジウムと呼ぶ集会を開き、最新の科学技術の動向をハイライトして議論しています。「AIの産業向け応用」をテーマにしたのは一昨年のこと。AIに関して華麗な実績をもつ米国や欧州の権威、発明家やSF小説のベストセラー作家に並んで、GEの二人の科学者も発表を行いました。

二人の名前は、マーク・グラッブとアチャレッシュ・パンディ。発電施設やジェットエンジン、最新の医療用スキャナーなどの産業機械にAIを応用する方法を研究しています。ここでは、二人にAIについて話を聞いてみます。

 

「AIが“生命体システム”の一部になりつつあるような応用例も、より多く目にするようになりました。
そこではAIが学習し続けているんです」 GE マーク・グラッブ

GE Reports(以下、GER):AIの研究が始まってすでに数十年経ちますが、どうして今、これほど注目を浴びているのでしょう?

アチャレッシュ・パンディ(以下、AP):理由のひとつは、利用可能になった大量のデータとコンピューターのすさまじい威力。それに、ディープラーニング分野が一変したことも挙げられます。アップルのSiri(シリ)やアマゾンのAlexa(アレクサ)、グーグルナウを見ても、音声認識の進化を感じることができますよね。同じことが、画像認識と映像認識にも起きています。

マーク・グラッブ(以下、MG):AIが「生命体システム」の一部になりつつあるような応用例も、より多く目にするようになりました。そこではAIが学習し続けています。AIで使用されている、比較的新しい解析構造があるんです。ディープラーニングとレインフォースメントラーニング(強化学習)を組み合わせることで、パフォーマンスを大幅に向上させることが可能になってきています。その学習ループのなかで、人間が担当するのはシステム修正。スムースなユーザーエクスペリエンスを構築してシステムを作動させてしまえば、人々はその過程で自分がAIを修正していることに気付きもしないでしょう。

GER:この人間とマシンの共生について例を挙げてもらえますか?

MG:シンプルなグーグルの検索を例に見ていきましょうか。検索結果を見て一番適切なものを選択するとき、それは人間が学習ループの中の一部になることを意味します。

AP:アレクサを訓練して自分の話し方のパターンやアクセントを認識させると、声を文字に変換し、データベースを検索して、質問に答えたりタスクを実行したりしてくれます。アレクサを基盤とするアマゾン・エコーは、実際、食洗機やオーブン、洗濯機、その他の家電をコントロールしています。

「私たちはクラウド上でマシンのデジタルレプリカを作り始めている」
GE アチャレッシュ・パンディ

GER:もっと大きなマシンに話を移しましょう。どのようにしてAIを発電用ガスタービンに応用するのでしょう?

MG:原理は同じですよ。GEはインダストリアル・インターネットとつながる、クラウドベースのマシン向けオペレーティングシステム、Predixのようなソフトウェアを作っています。一方で、GEには発電分野の専門家も数多く在籍しています。優れたアナリティクスやマシンラーニングモデルの構築には、さまざまな物理学や対象分野の専門知識が必要です。私たちはデータサイエンティストが、こうしたモデルの構築に携わるすべてのGE社員から、より速く、効果的に対象分野の知識を得られるようにするAIシステムを実際に構築しました。AIはアナリティクスの開発にも役立っているんですよ。

今後重視される応用分野は、ものづくりとサービスです。AIシステムは、十分な情報に基づいた意思決定が必要とされる場合、例えばタービンブレードを廃棄するか修理するかといった場合に、作業員に情報を提供します。ただし、最終判断は専門知識に基づいて人間が下すことになります。これらの情報はすべてクローズドループで収集されるので、システムはどんどん賢くなり、次からはいっそう優れた洞察を提供するようになります。

最後に、純粋に「マシンに内蔵されたマシン」のAIというのもあります。これはコンピュータービジョンから始まるでしょう。マシンが目を持つようになったら、ものをつかんで、別の場所に移すことだってできるようになります。
これはほんの始まりにすぎませんけどね。

AP:AIを使って、設計や構築、操作をよりスマートに行うこともできます。工場のダウンタイムをなくしたり、病院で働く技師の方々がより最適で無駄のない方法で医療用画像診断機などを操作できるようにして、ドクター達がより多くの患者さんの診療を行えるようにする、なんてことが可能です。

私たちはクラウド上に、機器のデジタルレプリカを作り始めています。磁気共鳴断層撮影装置(MRI)スキャナー、ジェットエンジン、風力発電施設など、あらゆる機器に対応できる見通しです。GEではこれを『デジタル・ツイン(双子)』と呼んでいます。これによって、さまざまな結果(アウトカム)に応じてオペレーションを最適化するシミュレーションを実施することができます。

パンディ曰く 「今後5年以内に、AIが本格的にマシンに搭載されるようになると確信している」

GER:それは、アウトカムファクトリー(成果の生産所)を作ろうとしているということでしょうか?

MG:その通りです。これはデータファクトリーです。ちょっとグーグルを思い浮かべてみてください。そして、機器とインターネットをつなぐGEの取り組みも考えてみてください。私たちはすべてのアウトカム(成果)を最適化する分析マシンを構築しているんです。これにはAIを活用したポータルサイトが用意されていて、人々がガイダンスを与えるだけでなく、上から与えられた最適化の指針を受け取ることもできるようになっているんです。アナリティクスの向かう先はこれだと私たちは認識しています。

AP:GEのPredixプラットフォームは知識ブローカーになるでしょう。利用者はこれと会話し、情報交換できるようになります。何回か反復処理を行えば、適切なソリューションを見いだすことができるでしょう。これは誰でも利用可能です。私たちはデータサイエンスと対象分野の専門知識を誰もが平等に利用できるようにし、あらゆる関係者が共生的かつ大規模に協働できるシステムを作ろうとしているんです。つまり“知識の泉“を構築しているわけです。これが今後のあり方だと思っています。

GER:今後について、何か他に考えていることは?

AP:今後5年以内に、AIが本格的に機器類に搭載されるようになると確信しています。最終的に、マシンはものすごく賢くなって、マシン同士でコラボレーションできるようになり、物事を最適化するようになるでしょう。これはもう、ナバーナ(極楽の境地)ですね!

 

画像すべて 提供:Getty Images