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グローバリゼーションはアメリカの成功を阻むか ー GE CEO ジェフ・イメルト

米国では昨年の大統領選から自由貿易や保護貿易についての議論が絶えず続いています。昨年末、GEの会長兼CEO、ジェフリー・R・イメルトはTIME誌にエッセイを寄せ、グローバル・エンゲージメントが米国および世界のビジネスチャンスになると考える理由を説明しました。本記事では、その抜粋をご紹介します。

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グローバリゼーションは悪いことでしょうか?この15年、GE製の航空機エンジンと発電用ガスタービンの85%は米国外の企業や政府へ納めてきたと話したら、まさかと思われるでしょうか?

米国の一部の労働者の方々の体験に照らすと、グローバリゼーションは必ずしも進歩と同義でないということは私も理解しています。こうした方々は雇用創出より雇用喪失を、企業招致よりも企業の流出を指摘することでしょう。グローバル経済を特徴づける変化やトレンドは最終的に米国人にとってプラスになっていますが、そのマイナス面が見落とされがちであるのは確かに事実です。もしこのマイナス面の渦中にある方なら、自分が忘れられた存在だと感じてしまうこともあるでしょう。

私が認識していることは、アウトソーシングはグローバリゼーションとは違うということ、そしてこれはもう過去の話だということです。1980年代から1990年代にかけて、企業は新興国市場を安価な労働資源とみなしていました。人件費を極限まで切り詰めることを追求するのは過去のビジネスモデルです。いま、製造業の生産性を高めているのは、デジタル技術やアドバンスト・マニュファクチャリング(先進的な製造技術)といった「テクノロジー」なのです。

ジェフリー・R・イメルト GE会長兼CEO

いま企業は「成長」が存在するところに行かなければなりません。それこそが、今日のグローバリゼーションの意味するところです。

グローバル市場は依然力強さを見せています。新興国経済は米国を含めた先進国の2倍以上のスピードで今なお成長し続けており、これはさらなる需要があることを意味しています。GEでは、受注の70%は米国以外の国々からもたらされています。当社は年間200億ドルの輸出企業であり、その事実こそが、米国における最大級の雇用主としてのGEの立ち居地を強化してくれました。

実際のところこれは容易なことではありませんし、国外事業を成功させつつ自国における雇用を守るには、柔軟性やクリエイティブさが求められます。各国は市場参入と引き換えに、現地における人材や事業運営への投資を要求します。こうした、ものづくりやイノベーションへの投資は現地での受注を獲得するうえで不可欠です。投資を怠れば、世界のライバル企業に淘汰されてしまうでしょう。米国企業も敗北を喫することになりかねません。

米国政府は多国籍企業のグローバル化を後押しているとか、グローバル化を推し進める者は「縁故資本主義者」であるという政治家の主張をしばしば耳にします。これはまったくナンセンスです。米国の税法には国際競争力がなく、規制も競争力を阻害しています。そして米国は、輸出銀行が機能していない世界唯一の国でもあります。概して、GEはこれまで自助努力によって世界中での事業成功を勝ち取ってきました。

私は将来を楽観的に視ています。多国籍企業というものは、それぞれが世界によい影響を与えたいと考えているものです。民間では資本を拡大するほどにより多くのチャンスを見出すことができ、科学やデジタル技術、その他の分野のイノベーションを加速させることができます。つまるところ、米国の企業が世界中で成功を得ていくことは米国の雇用拡大への貢献につながるのです。

TIME誌の2016年12月26日号に掲載されたエッセイの全文(英語)はこちらをご覧ください。

※本記事に記載した見解はジェフリー・R・イメルト個人によるものです。