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ジェットセッターを再び、超音速の旅に

27年間にわたって、パリ、ロンドン、ニューヨークといった大都市を行き来した、尖った鼻先が特徴的な超音速航空機、コンコルドは今から14年前に営業運航を終了しました。コンコルドは、ロシアのTU-144型機を除き、唯一、音速を超えて就航した民間航空機で、その後も、超音速の民間航空機は現れていません。 「コンコルドは技術的には成功しましたが、経済面ではオペレーションコストが高すぎたため、その飛行範囲は限られていました。また騒音がひどく、燃費も悪かったのです。」とアメリカの超音速ビジネスジェット開発会社、アエリオンのマーケティング担当副社長、ジェフ・ミラー氏は述べています。

しかし、アエリオン、ロッキード・マーティン、GEアビエーションのエンジニアたちは、この問題をなんとか解決しようと手を取り合いました。2017年12月、ワシントンDCで署名された覚書によれば、この3社は「世界初の超音速ビジネスジェットの共同開発の可能性を検討する」ことに合意し、今後12ヶ月間お互いに協力し、「エンジニアリング、許認可、生産などあらゆるプロセスのフレームワーク開発に貢献する」としているのです。

AS2と呼ばれるこの航空機は、音速より40%も速い最高速度マッハ1.4、または時速約1,000マイル(時速約1,600km)で、最大12名の乗客を乗せることができます。超音速で飛行することで発生する衝撃波は、「ソニックブーム」と呼ばれる轟音を生じさせます。しかしAS2は特別な設計により、規制で許可された領域を超える「ソニックブーム」が地面に届くことなく、マッハ1.2で飛行することが可能になりました。

AS2はロサンゼルスからパリまで、ノンストップで飛行することができます。飛行時間もわずか3時間にまで短縮され、エグゼクティブや各地を飛び回っているジェットセッターらの大西洋横断や米国東海岸への日帰り旅行を可能にするのです。アエリオンは既に、このAS2の開発に15年間を費やしていますが、これはロンドンからシアトルまで12名の乗客を安心して運ぶことができる超音速航空機を完成させるためです、とミラー氏は述べています。 「私たちは効率の向上に注力しています。オペレーションコストを下げ、飛行距離を広げることにより、大西洋横断のみならず様々な場所へ行けるようになります。これによって、どこにでも連れて行ってくれる理想の航空機となるのです。」

同社はNASAとエアバスの防衛宇宙ユニットと協業し、航空機に最適な設計に取り組み、またGEアビエーションとは最高のエンジンを開発するために連携しています。 「エンジンの設計を白紙から始めることは不可能だという結論に達しました」とミラー氏は言います。 「それはあまりにも多くの費用と長い時間がかかります。GEとともに、既存のエンジンコアを採用して適応させることに大きな可能性を見出しています。」

アエリオンの設計の鍵は、空力学者でアエリオンの創設者であり、ボンバルディア・チャレンジャーやロックウェルX-30単段式再利用型シャトル・コンセプトのような、多様で先進的な航空機開発にも参画していたリチャード・トレイシーが提案した自然層流と呼ばれるコンセプトです。超音速自然層流は、空気の滑らかな層が乱気流のない翼の上を移動することを可能にします。 アエリオンは独自のソフトウェアを使用して、戦闘機の翼に似た「低アスペクト比」の、薄い複合翼を設計しました。

コンコルドのデルタ翼とは異なり、アエリオンの翼のデザインは、適度に尖ったリーディングエッジを持ち、層流を促進します。このデザインにより、アエリオンは翼の抗力を60%も軽減しました。層流翼と最適化された機体と合わせて、航空機全体の正味の摩擦抵抗は最大20%も低くなります。「これは我々にとって飛躍的な数字です。」とアエリオンの関係者は述べています。

抗力が抑えられることで、より小型で効率的なエンジンを使用しても、マッハ1.4までの速度を達成できることを意味します。 「明らかに、GEの超音速エンジンの技術や経験は、私たちにとって非常に貴重なものになるでしょう。」

アエリオンは航空機のフルスケールモデルを制作中(提供:アエリオン)

GEアビエーションは、ドリームライナーやボーイング777のような長距離旅客機向けの巨大なターボファンエンジンのメーカーとしてよく知られています。しかし、第二次世界大戦中には米国初の戦闘機用ジェットエンジンを提供した企業でもあります。その超音速エンジンは現在、 ロッキード社製F-16ファイティング・ファルコン戦闘機にも使われています。GEアビエーションのビジネス航空部門を担当するブラッド・モティエ(Brad Mottier)は次のように述べています。「アエリオンはビジネス航空と民間航空に新しい分野を開拓し、市場を掘り起こそうとしています。彼らの目標は、半世紀の間に民間初の超音速航空機の設計をし、認可を受けることです。」

これらのタイプのエンジンは最新のターボファンよりもずっと小さく、アエリオンに適しています。 「4,50年前と比較すると、航空業界は燃料効率の大幅な向上を達成しました。これは主にバイパス比の向上、またはエンジンコア周りの空気流量の増加によるものです」ミラー氏は言います。「一方、超音速機用の最も効率的なエンジンは、現在の戦闘機で使われる低バイパス比エンジンですが、これは民間用にはあまりにも騒がしいものです。このソリューションが、現代の厳しい騒音規制を満たす適度なバイパスエンジンの開発で GEとの協業の焦点になるでしょう。」
AS2は、2023年に最初の飛行を行い、その2年後にFAAから認証を取得する予定です。

GEアビエーションのブラッド・モティエ(Brad Mottier)「アエリオンはビジネス航空と民間航空に新しい分野を開拓し、市場を掘り起こそうとしています。」(提供:アエリオン)

アエリオンのマーケティング担当副社長、ジェフ・ミラー氏は「ロンドンからシアトルまで12名の乗客を安心して運ぶことができる超音速航空機を完成させます。」と述べています。(提供:アエリオン)

アエリオンの翼のデザインは、適度に尖ったリーディングエッジを持ち、層流を促進します。(提供:アエリオン)

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