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新潟発、3D金属プリンターで世界屈指のプロジェクト始動!

GEオイル&ガスの新潟県刈羽事業所で3D金属プリンターを利用した大きなプロジェクトが始まりました。
すでに次世代航空エンジン「LEAP」の製造に利用された3Dプリンティング。
プロジェクトに参加されたメンバーたちが3Dプリティングの魅力について語ります 。

新潟県刈羽郡。この季節は白雪が積もるのどかで美しい町に、GE オイル&ガスの刈羽事業所があります。

新潟はかつて石油が産出され石油プラントや関連工場が立ち並んでいたことから、プラントを支えるための金属加工業も一緒に発展しました。このGEの事業所は、2011年にGEに仲間入りする前から45年にもわたって石油プラントや発電所など、様々な工場で使われる「バルブ」の開発・製造を続けています。その高い技術力は早くから評判を呼び、新潟の田舎町から、世界中のエネルギー関連プラントや各種工場のインフラを支えてきました。

GEの刈羽事業所が生産するバルブ

お客さまのニーズに応じて設計し、刈羽事業所で生産するバルブは数千種にも及ぶ

「バルブ」とは液体や気体などの流体を、通したり、止めたり、絞ったりする役割を持ちます。圧力や流量スピードを緻密にコントロールするバルブ内部の構造はびっくりするほど複雑。設計者たちは、顧客が個々に必要としている要件を十分に理解したうえで、バルブを設計します。まさにオーダーメイドの“多品種”生産の世界。

そんな中、刈羽事業所のチームがいよいよ金属製品の3Dプリンティングを始めました。彼らが作るのは、世界の3Dプリンティング事例にみられるような“何かを作るための金型”形成に留まるものではありません。それ自体が “最終製品“となり、お客さまへの納品物となります。GEはすでに次世代航空機エンジン「LEAP」の部品を金属3Dプリンティングで製造していますが、これと並んで「新潟発・世界の先端事例」に。

3D金属プリンターで作られたバルブ内弁

金属で3Dプリントした、バルブ内弁の試作品

このプロジェクトをリードしたのは若手工業デザイナー、三橋栄治は「3Dプリンティング(積層造形)というまったく新しい工法がひとつ加わったことで、できることが格段に拡がっています」と目を輝かせています。プロジェクトメンバーで同じく工業デザイナーの石川潤も「3Dプリンターを工場に導入してからというもの、もう、毎日ワクワクしっぱなしです」と言います。

彼らはまず、樹脂用の3Dプリンターで積層造形の適用可能性を探りました。アイデア出しから試作品づくりまでを猛スピードで進め、いよいよ実際に金属用3Dプリンターを導入したあとも、次から次へと様々なモノを制作し、経験と知見を蓄積してきました。

3Dプリンティング(積層造形)

積層造形でしか実現できない構造のアイデアは次々に浮かび
チームはどんどん樹脂プリンターで試してみた

ふたりは「3Dプリンティングで全てが可能になるわけじゃありません。やっぱり、人の手にしか出来ないこともある。鋳造や溶接や切削という工法は、これからも必要です」 と口を揃えます。実際に、現時点の3Dプリンターで製造できる寸法精度は0.1ミリ程度に留まります。しかし、刈羽事業所が誇る技術者たちにとっては、100分の1ミリ、1000分の1ミリといった精度はあたりまえの世界。金属棒を回転させながらの切削加工を担当している技術者は 「回転時に少しでも芯のズレがあると精確に削れないんです。1000分の1ミリのズレくらいなら、長年の経験で、手の感覚でわかるねぇ」 と言います。

肌感覚で精度を測定する匠たち

100分の1ミリ、1000分の1ミリを肌感覚で掴んでいる匠たち。
3Dプリント用の設計を行う際、彼らからヒントを得ることも多い

三橋はいま、この3Dプリンター をどう育てていくか、を考えています。「この新技術の可能性を、どこまで伸ばしていけるかは、使う者の知恵次第」と言います。「そのなかでは、刈羽事業所の熟練の技術者たちの経験から得られた深く広い知識がとても役立ちます。彼らは、マテリアルの特性を手で感じることができ、どういう設計をするとどういう利点・弱点が出るかを知っています。僕たち設計者に、盲点を示してくれたり、製品をより良くするためのヒントを与えてくれるんです。だから僕は、3Dプリンターを育てていくのに、刈羽事業所はとてもよい場所だと思っています」

GEのエンジニア、三橋(右)と石川(左)

プロジェクトをリードした三橋(右)とプロジェクトチームメンバーの石川(左)

今、彼らが製造しているのは、高度な機能をもったバルブの「内弁」です。従来工法では不可能な形状なので単純比較はできないものの、似たようなモノを作るとすれば、設計や材料調達から納品まで1-2か月はかかったものが、3Dプリンターなら2週間もあれば納品できるようになります。一方で、これまでとは全く異なる製造方法である積層造形では、マテリアルや工法など、検討すべき要素が多いのも事実。でも、 “3Dプリンティングならでは“の高機能に魅力を感じてくださっている日本の顧客企業が、実際に彼らのプラントに設置してテストを行ってくれることになっています。その後、実際の環境で使用したお客さまからのフィードバックを元に、三橋のチームが改良を進めていきます。多種多様な環境で使われる「バルブ」をお客さまごとのオーダーメイドで製造してきた刈羽事業所にとって、このように、お客さまと一緒に改良を重ね「ものづくり」を進めることは、新しいことではありません。三橋は、「お客さまとの対話を通して、問題点を拾い上げ、それを3Dプリンターで克服する。そうした積み重ねによって、3Dプリンティング技術の価値がいっそう高まっていくんだと信じています」と語ります。

三橋のチームが3Dプリンターで製造する最初の製品は、2015年3月末にお客さまへ納品する予定です。