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エルビス・プレスリーの車から航空機エンジンの部品までー製造業を変える3Dプリンター、GEの新たな拠点がドイツ・ミュンヘンに開設

この時期、ドイツ・ミュンヘンの街中を歩くと、クリスマスカードの中に足を踏み入れたかのような錯覚をおこします。中心街の建物の尖った屋根や石畳の道に雪がつもり始め、ホリデーシーズンを迎える完璧な背景が出来上がっているのです。同じ頃、この中心地から数マイルの場所には、数百名のエンジニア、設計技師やエグゼクティブたちが集っていました。GEが新たな施設を当地に開設し、3Dプリンティング技術を含む様々なアディティブ・マニュファクチャリング(積層造形技術)の世界を披露し、設計からプロトタイプ製作、製造など関連する事業領域について案内をおこなっていたのです。

アディティブ技術を追求する新たな事業部であるGEアディティブを率いるモハメッド・エテシャミは、「私たちのビジョンはとてもシンプルです。ものづくりを世の中に開放をしたいのです。」と述べています。この新たな事業部門は2016年時点では社員は560名でしたが、今では1,200名に増えており、年間500台を超える3Dプリンターを製造しています。この新たなセンターはアディティブ製造技術をさらに発展させる取り組みの一環です。エテシャミは続けます。「アディティブは大変パワフルなので、この技術を活用するか、それとも犠牲となるか、そのいずれかでしょう。」

このミュンヘンの施設のようなカスタマーエキスペリエンスセンターを担当するグローバルリーダーのジェニファー・シポラは、GEが米国ピッツバーグに設立した同施設を数年にわたって運営してきました。ピッツバーグのセンター開設を契機にGEアビエーションやGEパワー、GEヘルスケアの各事業では3Dプリンター製のパーツや製品が導入されるようになったのです。

GEはアディティブ・マニュファクチャリングの領域に30億ドル(約3,400億円)を投資してきました。そのうち、2億ドル(約225億円)を研究開発分野に投資をしてきました。また特別な金属素材も製造する3Dプリンティング業界の主要2社、コンセプトレーザーとアーカムも買収しています。現在GEは主力製品であるLEAPエンジン向けに金属3Dプリンターで製造した燃料ノズル部品を25,000個すでに出荷しており、このエンジンの受注額は2,000億ドル(約22兆円)となっています。



お客様にアディティブ・マニュファクチャリングの世界をご理解いただくためにGEの新たなセンターは最適です。「アディティブ技術は大変パワフルなので、活用するか犠牲になるかのいずれかでしょう」とGEアディティブのモハメッド・エテシャミ

2年という短い時間のなかで、アディティブ関連の会話は、「なぜ導入が必要か。どうしてそれほど重要なのか」というテーマから、「競合会社がアディティブを導入したようだ。我々は乗り遅れてしまった。どうすれば追いつけるのか」に変わってきています、とジェニファー・シポラは述べています。「アディティブ技術はこれから必須です、と人々を説得するのではなく、使う必要がある技術とすでになっているのです。何年にもわたって、GEは設計から正しい部品選定、プロトタイプ製作、製造プロセスの最適化からパーツ認定に至るまで、深い専門知識を構築し、3Dプリンティングによる真の価値をお客様に提供してきました。」

当日のセンターのオープニングにはBMWグループやエリコンのような大手メーカーを含む150名ほどのお客様が出席しました。この2社はすでに金属3Dプリンターを彼らの製品に導入しており、この分野の専門性をさらに高めたいと考えています。また、参加企業はこの分野に対する知識を広げ、アディティブ技術を取り込むために、現状のオペレーションをどのように調整すればよいのかを学ぼうとしていました。

BMWグループにおける金属アディティブ・マニュファクチャリング部門のリーダーであるマキシミラン・メイクセルペルジャー氏は次のように述べています。「当社は2005年に1台のコンセプトレーザー製プリンターを導入しました。現在は年間に1万点以上の部品を3Dプリンターで製造しています。BMWは1950年後半からエルビス・プレスリーにも所有されたBMW 507の復元や最新のロールス・ロイス「ファントム」のカスタマイズされたダッシュボードや新型BMW i8 ロードスターにも導入しています。」 「自動車業界でゲームチェンジャーとなるためにはアディティブ・マニュファクチャリングの生産性がカギとなります。将来的には、BMWグループのすべての車両にはアディティブ・マニュファクチャリング技術でつくられた部品が搭載されることを期待しています。」

エリコンのアディティブ・ビジネスのリーダーであるフローリアン・マウエレは情報革命の物理的な観点からアディティブ技術に注目しています。この技術を活用し、エンジニアにデジタルファイルからレイヤーごとにプリントさせると、より強く、より軽い部品が出来上がります。「すでにこの技術を取り入れている企業とそうではない企業と2極化していますが、可能性は無限にあると考えています。」とフローリアンは語ります。


今日までにGEはLEAP航空機エンジン向けの燃料ノズル部品のように3Dプリンターで製造し、出荷した製品は25,000点。このエンジンは2,000億ドル以上の受注額を誇る。(画像提供:GEアビエーション)

GEはミュンヘンの新たな施設に1,500万ドル(約17億円)を投資しました。ハリウッド映画で描く「未来の工場」といったような清潔な外観ですが、フィクションではありません。長く青いLEDで光るリボンはコンクリートでなめらかにつくられた2,700スクエア平方m2の広さをもつセンターの入口に設置されています。1階には、建物の周囲に沿って、複数のガラス製の壁で分けられた場所に様々なサイズの3Dプリンターが設置されています。アーカムとコンセプトレーザーのプリンターは、医師が再建手術に使用できる精巧な頭蓋骨のインプラントだけでなく、航空機エンジン・ブロック全体をプリンティングすることができます。

2階へとつながる幅広い階段があるアトリウムをもつ部屋では「アディティブ・アカデミー」が開かれていました。そこでは来訪者はGEや業界の専門家から3Dプリンティング技術について学ぶことができます。そして「コラボレトリー」という場所では、部品設計のための異なるアディティブ用アプリケーションを試すことができるのです。この施設を運営するGEアディティブのマチュー・ボーモントは「アディティブにおける過去数十年にわたって得てきた知識をお客様にご提供しているのです。」と述べています。

ボーモントはこの施設を、お客様が3Dプリンターで部品をつくり、最新技術をお客様のビジネスモデルに取り込んでいくことをサポートできる「世界基準のトレーニング施設」と呼んでいます。「今後、このフロアにGEの全ての3Dプリンター製品を稼働させ、お客様に見て触ってもらい、実際に利用できるようにします。」

ドイツ、ミュンヘンにGE初のグローバル・アディティブ・センターを開設することを決めた理由は、当地が金属製3Dプリンティング技術の中心地であるためです。例えば、コンセプトレーザーは稀有の発明家フランク・ヘルツォグによって創業され、ミュンヘンから鉄道などで2時間ほどのリヒテンフェルスにオフィスを構えます。ここではGEアディティブは2017年11月に1億500万ユーロを投じて新たな工場を開設したばかりです。

「新たなアディティブ・センターではGEに私たちが何をしているかを示すことができ、同時にお客様が次世代のプリンティング機器に求めているものを、またすでに何に取り組んでいるのかについてお客様から直接聞くことができます。」とボーモント。また、GEヨーロッパを率いるピーターストラカールは「企業と顧客の相互的なやりとりほど、イノベーションを加速するものはありません。」と述べています。

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