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GEの「Predix」、ソフトバンクによる外販を本格化-初案件は住設工事の“ジョブ・スケジューリング”

GEは、産業用ソフトウェア・プラットフォーム、「Predix」の普及にいよいよ拍車をかけました。
そして、Predixの普及を目指す最初の4カ国のひとつとして日本が選ばれたのです 。

インダストリアル・インターネットの時代を迎え、GEが開発した「Predix」はクラウドベースの産業用ソフトウェア・プラットフォーム。GEも自らが手掛ける発電所などでPredixを活用し、すでに故障予知やオペレーション効率向上に確実な成果をあげています。しかしPredixは、GEのような重工業分野の企業のためだけに開発したものではありません。これからの世界が『データ・アナリティクス』の価値を社会全体で活用できるようにするためには、オープンで水平展開が可能なシステムが不可欠。Predixは、そんな発想に基づいて開発されています。

その証に、2014年にGEは戦略的パートナーとしてソフトバンクとのアライアンスを締結しており、ソフトバンクはあらゆる業種の企業を対象にしたPredixの外販を担っています。GEがPredixの普及を目指す最初の4か国のひとつに日本を選んだのは、高品質なネットワークがあり、成熟した産業と革新的な技術が揃っているから。インダストリアル・インターネット時代を拓くリーダーとなる国だと考えているためです。

GEとソフトバンク、アライアンス締結

2014年11月、アライアンス締結 調印式の模様
左から、ソフトバンク 専務取締役 今井康之氏、GE チーフ・デジタル・オフィサー ビル・ルー

実際、日本でも戦略的なIoT活用で経営強化を目指す企業が増え始めています。LIXILグループもその一例。LIXILトータルサービス社はバスルームやキッチン、サッシなど住宅設備・建材の総合メーカーであるLIXILの製品設置工事や修理全般を手掛けており、最近ソフトバンクを通じてPredixの導入を決定。業務効率と生産性のさらなる改善に乗り出しました。

住設・建材の施工工事 × GE Predix

日本では新築需要が一定の落ち着きを見せているなか、いま熱いのはリフォーム市場。人気テレビ番組の影響もさることながら、政府も新成長戦略のなかでストック重視を明言し「2020年までにリフォーム市場を倍増」する計画を発表。まだまだ続くリフォーム熱が、LIXILのような住宅用耐久消費財メーカーや施工業者をいっそう忙しくさせそうです。

新築やリフォームの経験がおありの方はきっとご存知ですが、工事のプロセスは実に煩雑。住宅業界では、この「ジョブ・スケジューリング=施工のスケジューリングと適切な施工チームの割り当て」そのものが、顧客満足を大きく左右します。新築なら工期が1日延びるごとに費用が嵩み、暮らしながらのリフォーム工事なら計画通りに進まなければ施主の日常生活に大きな支障をきたすとあって、ジョブ・スケジューリングには神経を尖らせるのが常だとか。

正確なジョブスケジューリングが求められるバスルームの工事

施主が被る不便さを最小化するために、特にバスルーム工事は計画通りの進行が求められる
(写真提供:LIXIL)

バリアフリー化のリフォーム案件(写真提供:LIXIL)

高齢化にともなって「バスルームをバリアフリー化したい」といったリフォーム案件も急激に増えているという
(写真提供:LIXIL)

LIXILトータルサービス社でPredix導入のプロジェクト・リーダーを務めた日原勲氏も、これに深く頷きます。設計通りに施工することは当たり前で、事前に工程を明確に説明し、その通りに進められるかどうかが施主様からの評価になる、と日原氏。「たとえば リフォーム工事。他の居室に影響を与えない技術、工事音や振動を制御する能力・・・といったものが求められて難度が高く、どんな施工チームでもできるというわけじゃないんです。新築工事でも“この物件は 細い路地から2階にバスタブを入れられるチームでないと”といった具合に、案件ごとに必要とされる能力が異なるんですよ」。ひとつの浴室工事にも、複数の業者が関わるために、その施工計画は複雑さを極めます。

ジョブ・スケジューリングは、高いアナリティクス機能をもつPredixへおまかせ

首都圏エリアをカバーする東京支店では、浴室だけでも毎月1,000件規模の施工を受注しています。これをこなすのは、その数50以上におよぶ施工チーム。得意分野はそれぞれ異なります。上述のとおり、案件ごとに異なる特性に応じて――現場住所、日程、当該商品(ユニットバスルーム)の工事経験の有無、クレーンを扱えるかどうか、施工難度をクリアするスキルを有するかどうか――最適な施工チームをアサインする「ジョブ・スケジューリング」は、高いノウハウが求められるものでもあり、これまで“コントローラー“と呼ぶ専門スタッフ達の仕事でした。

しかし、これからこの仕事を担うのは、高い分析力をもちLIXILのためにカスタマイズして開発された『Predix Job Scheduler(プレディクス・ジョブ・スケジューラ)』。各スタッフたちが熟知し蓄積していた、知見やノウハウをデータベース化し、Predixに紐付けます。Predix導入準備にあたって、LIXILはソフトバンク、GEと3社共同のプロジェクト・チームを組みました。

これまでチームは何度もワークアウト(検討会議)を重ねました。「GE Digitalから参加してくれたファシリテーターのデイビッド・ビングハムとエンジニアのジェレミー・ハウスは、我々の業務フローや困っていることを洗いざらいヒアリングして、棚卸ししてくれました。ソフトバンクのメンバーも含め “もっとこうすべきじゃないか”なんて鋭い意見交換もしながら、3社がワン・チームになって最適な仕事の方法を導き出したんです。全員が同じひとつのことに向かい、そして達成した。そんな充実感がありますよ」と日原氏。

LIXIL用に開発された Predix ジョブ・スケジューラー

東京エリアだけで毎月1,000件規模の浴室工事
PredixのJob Schedulerが50社以上の契約施工チームのなかから各案件に最適な業者を割り当て
(写真:LIXIL用に開発された Predix ジョブ・スケジューラー)

準備期間を振り返り、このワン・チームの取りまとめ役を務めたGE Digitalの戸田圭輔はこう言います。「ポイントは、あるべきプロセスの定義にせよ、UI(ユーザー・インターフェース)の開発にせよ、すべてお客様やユーザーの視点から考えたことです。このシステムは、一連のプロセスに関わる“人”の立場や感情を考えながら、作り上げたものなんです。ですから、きっと良い結果をもたらせるはずです」

Predixは施工実績や施工チームの熟練度をデータとして蓄積し続けるほどに、各案件の要求特性に応じて最適な施工チームを、より高い精度で割り当てることができるようになります。“脱・属人化”によって施工スケジュールの遅延防止やコスト削減を図ることができるだけでなく、専門スタッフ達はより大きな付加価値を届けるための業務に時間を充てることが可能に。生産性向上を図り、より高い顧客満足へと繋げようとしています。バスルームだけでなく、トイレ、キッチン、サッシ、エクステリアなど様々な製品群を携えるLIXILグループ。同社は将来的に、これらの製品群のジョブ・スケジューリングにもPredixの活用を拡げていく展望です。

ソフトバンクとGEとの協業推進をリードしている日本GEの中村哲也は、いよいよ始まったPredixの外販に心躍らせています。「コンシューマー・インターネットは、当初想像もできなかったほどの大きな変化を起こしましたよね。ソフトバンクは先陣をきって日本のインターネット普及を切り拓いてきた企業です。次はインダストリアル・インターネットとデータ・アナリティクス技術が、想像を超えるほどに社会や経済のあり方を変える時代。ソフトバンクのような企業と一緒に、Predixという無限の可能性を秘めたソリューションをお届けし、日本の企業の皆様の変革のお手伝いをすることに大変な熱意を感じています」

GEは今後、日本の産業界がインダストリアル・インターネットとデータ・アナリティクスの価値をモノにして変貌し飛躍することができるよう、さらなるチャネル・パートナーの拡大を図っていきます。