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ピツニーボウズ社のインダストリアル・インターネットとPredix活用法とは?

いよいよ幕を開けた第4次産業革命とIoT時代。GEのインダストリアル・インターネット推進本部の担当者たちは、お客様からよく「戦略的にIoTを活用しなければ競争に乗り遅れてしまうと焦ってはいるものの、何からどのように始めればよいのか分からない」というご相談を受けます。そこで、来たる7月6日(水)に「GE Digital Day 2016」を開催することを決定。米国サンラモンのGEデジタルの本部から来日するスペシャリスト達とともに、産業ビッグデータの正しい活用法とその進め方を具体的にご紹介します。

GEが開発した産業向けオペレーティング・システム「Predix」は、あらゆる産業においてビッグデータ解析の価値を活用できるよう設計されています。GEの事業領域である航空産業やエネルギー産業、医療分野における適用に限ったものではありません。Predixは、製造業、運送業、旅行業、その他サービス業など、どんな事業を行う企業にも、産業データを活用した生産性、効率性向上のチャンスをもたらします。

本記事では、昨年秋からいち早くPredixのβ版を使い、実際にPredix上でアプリケーション開発をしてきた企業の声をご紹介します。GE REPORTSがインタビューしたのは、ピツニーボウズ社の上級副社長で、チーフ・イノベーション・オフィサーを務めるロジャー・ピルク氏。ピツニーボウズ社は、郵便発送業務を効率化するためのメーリングマシン(郵便料金計器)を考案したことにはじまり、郵便関連サービスから多角発展した様々な事業を行う、90年以上の歴史をもつグローバル企業です。

GE Reports:Predixをどのように活用しておられますか?

ロジャー・ピルク氏:ピツニーボウズは物理的技術、デジタル技術を活用して、クライアント企業の成果向上を支援しています。たとえば企業の郵便発送業務などを支援するために、「インサーター(封入機)」と呼ばれる大型機械の開発、販売、補修を行っています。インサーターは、銀行や医療機関などが正しい封筒に正しい郵送書類を適切に封入するのをお手伝いします。この作業の規模とスピードは、ちょっとすごいんですよ。あるひとつの銀行だけのために、この機械は年間9億通の封入作業を支援します。この数から、規模の大きさを想像していただけるのではないでしょうか。この機械の多くは1時間に2万通の封書を作成し、まさにケタ外れの正確さと精密さが要求されますが、間違うことはありません。

もちろん、これは容易ではありません。作業の中断が生じないように機械の状態が分かるようにしておく必要があり、また、動かなくなる前に不具合を直しておかなければなりません。問題の根本的な原因を瞬時に理解することも必要です。Predixは、当社と当社の顧客企業に、それを実現させてくれます。これまでの我々にはなかった機能です。

GE Reports:Predixは貴社の期待に応えていますか?

ロジャー・ピルク氏:ええ、非常に助かっています。データは機械から問題なく抽出され、セキュリティシステムを通してクラウドに送られます。クラウド上で動いているアプリケーションによって、当社の現地サービスチームやお客様は、一緒に設計したデータを可視化して実際に見ることができます。とてもうまくいっていますよ。

GE Digital Day 2016

GE Digital Day 2016 | 7月6日(水)開催
公式ページはこちら (ご参加は抽選となります)

GE Reports:動作の中断防止以外にも、Predixを利用する目的はあるのでしょうか?

ロジャー・ピルク氏:もちろん。お客様のニーズには階層があり、ダウンタイム削減はその基本レベルです。次のステップは生産性の向上です。

Predixは同じソースから得られる同じデータを使ったり、アナリティクスの追加層や異なるアプリケーションに適用したりすることによって、生産性向上を実現することができます。そうすることでお客様は稼働時間を管理することができるようになるだけでなく、工場内の機械やアプリケーションの種類、オペレーターの構成などとアウトプットとがどのように関連しているか、という面から生産性も管理できるようになります。お客様は、機械をさらに効率的に利用するためのアナリティクスを得ることができるというわけです。

GE Reports:ダウンタイム削減とアウトプット、すなわち生産性向上ですね。それ以外にはいかがですか?

ロジャー・ピルク氏:クライアント企業の生産性向上を支援しつつ、さらに「収益を増大させる」ことがPredix利用において3段階目の、最も進んだレベルになります。クライアント企業の経営層との会話のなかでは、拠点における売上拡大やより多くの利益を得ることが最大の興味対象であることが伺えました。そのためには、機械稼働計画やジョブ・スケジューリング機能を使ってさらにレベルを上げる必要があります。Predixがあれば、作業計画においても、より多くの情報やデータを工場が持つすべての機械資産に照らして計画を組み立てることができます。適切な機械に、適切なタイミングで、適切なアプリケーションとアナリティクスを割り当てることが可能となり、何より将来どんなことが起こるかを見通せるようになるんです。

また、別の視点をもつこともできるようになりました。“解説的なアナリティクス”は、何が起こっているのかを見える化して説明してくれます。“指示的なアナリティクス”では、何が起きているのか、裏側にある根本的な原因に基づいて、修正のための対応策を示してくれます。そして“予測するアナリティクス”では、データを使って何が起きるかを予測し、より最適な結果が得られるよう、前もって行動をとれるようにしてくれます。

ピツニーボウズのロジャー・ピルク氏が「業務の規模とスピードが桁違い」というインサーター(封入機)は
銀行1行だけで、年間で9億通の封入作業を支援する
(写真:ピツニーボウズ)

GE Reports:Predix以外のインダストリアル・インターネット・ソフトウェア・プラットフォームをお使いになったことはありますか?

ロジャー・ピルク氏:もちろん、業界の大手数社と仕事をしていますよ。当社はAmazon Web Services (AWS)の大口顧客であり、別の業務用のホスティング会社とも一緒に業務を行っています。Predixのことは全面的に評価し、その技術アーキテクチャ、拡張性のレベル、当社が扱う多種にわたる機械から生成される大量のデータを取り込む能力にとても満足しています。当社もお客様も非常に重視する、セキュリティのレベルについても安心できています。

実際のPredix上のアプリケーションを見てみましたが、当社にとってPredixは、AWSよりもSalesforce.comに近い存在になっています。重要なのは「アセット・パフォーマンス・マネジメント(APM;資産パフォーマンス管理)」アプリケーションが置かれたレイヤーでした。APMは、アプリケーションに情報を送る階層とアナリティクス階層の上のレイヤーで動作しています。このレイヤーから業務用機械資産のパフォーマンス向上を導くということは、まさに、私たちがこの産業の革新になるものだと期待していたものでした。アプリケーション・ホスティングをする一般の企業は、このようなレイヤーを設けていません。

最後に、これも非常に重要な点ですが、こうしてPredixが実現するアプリケーションにより、我々が顧客企業により大きな価値を提供することが可能になりました。お客様のビジネス上の成果を向上させるだけでなく、当社自身の業務変革の助けにもなっています。Predixを使うことで、我々のサービス組織は「壊れたら修理するモデル」から徐々に、「データとアナリティクスから知識を得て協議するモデル」に変革しています。当社はお客様のビジネス成果により直結する方法で、お客様と関わりたいと思っています。

GE Reports:それはまるで、GEが自社の改善を図るために行っていることと同じように聞こえます!

ロジャー・ピルク氏:ええ、当社はGEを高く評価しています。その理由は、GEがデータとアナリティクスのプラットフォームを構築したことだけでなく、ここ数年間に辿ってきた道のりにもあります。GEは自身の機器から得たデータを使ってデータ解析を行い、サービス組織を進化させてきましたよね。私たちも同じ進化を辿ったわけですが、それが当社にとって、とても重要な要素でした。社内では、技術やアプリケーションについだけでなく、「デジタル・インダストリアル・カンパニーへの変革」についても話をしていますよ。

GE Reports:これまでGEと仕事をしたなかで、どんな印象をお持ちですか?

ロジャー・ピルク氏:とても満足しています。何よりも、両社が驚くほど相性のよい社風を持っていることがわかりました。どちらも顧客を重視し、大切にしています。我々は正しいことを正しい方法で行おうとしています。両社ともに自社のエンジニアリング品質に高い基準を設けています。また、GEが注力しているイノベーションについても同じ考えです。つまり、通常と異なるやり方をとることにより、また、新しい物理的技術とデジタル技術を導入することによって、お客様のニーズを迅速に満たせるようにしようという方針です。

GE Reports:今後のご計画は?

ロジャー・ピルク氏:当社は150万のクライアントを有する36億ドルの売上規模の会社です。じつは、メーリングマシンは当社の中では比較的小さい事業なんです。地理空間や位置情報、顧客情報管理などに関するソフトウェアやアナリティクス分野では、業界のリーダーとなる規模の事業を展開しています。現在は、Predix上のアプリケーション・プロバイダーとしてこれらのサービスに関するアプリを開発し、Predixアプリストアを通じてお客様に提供しています。

フリート管理会社から掘削会社まで、Predixのお客様は誰でもこれらの機能を使うことができます。位置管理機能は、重要なイネーブラーになります。他の企業も、こうした機能を活用しながら新たなアプリを作成してくれるものと期待しています。これがPredix・エコシステムのパワーですよ。