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最新の金属3Dプリンティング技術:航空機のエンジン設計に新しい時代が到来

コンピューターファイルから直接金属部品を製造する金属3Dプリンティングは、10数年ほど前まで多くの人にとってSFの世界のことと思われていました。しかし現在、この金属3Dプリント技術は急激な成長を遂げ始めています。GEアビエーションが2017年12月にテストを開始した新型ターボプロップエンジン「GE Catalyst」は、金属3Dプリンティングの将来性を示す他に類を見ない事例です。「GE Catalyst」の1/3以上が金属3Dプリンターで作られています。

金属3D装置で作られるパーツは、手のひらに収まるような小さなものだけではありません。重さ数ポンド(1ポンド=約454グラム)のものから、ランプの笠ほどの大きさのギアボックスケースまで、さまざまです。これらはすべて、米国シンシナティにあるGEアビエーションのアディティブテクノロジーセンター(ATC)で3D プリントされています。ATCは、世界最大級の最も先進的なアディティブ・マニュファクチャリング(付加製造、以下「アディティブ」)施設です。この150,000平方フィート(約13,935平方メートル)の施設には、300名のエンジニア、設計者、技術者が働いており、世界最大の金属3Dプリンター6台を含む90台以上の装置が配備されています。

GEアビエーションが2013年に買収したイタリアのアビオ・エアロ社の技術者であるマッシーモ・ジアンブラは次のように述べています。「この技術はあまりにも新しかったので、最初は少し懐疑的でしたが、実際にATCの現場を見て本当に驚きました。」

ジアンブラと同僚のファブリツィオ・ブッシはトリノ郊外のオフィスで、航空機用アクセラレーター、ギアボックス、エンジン内部で燃料と空気を混合する燃焼スワラーなど、GE Catalystの主要な金属3Dプリント部品の設計にあたっています。二人とも36歳で、現在アディティブに携わる多くのエンジニアと同様、大学ではアディティブ技術について勉強していません。ジアンブラは笑いながら次のように述べています。「アディティブ技術なんて、だれも専攻していませんでした。私が工学の学位を取った当時、アディティブ技術をテーマにしたコースは1つもありませんでした。みんな仕事を通じてこの技術について学んでいます。」

ブッシは次のようにアディティブのメリットについて述べています。「アディティブは新しく、革新的な技術で、従来通りの絶対に正しいとされるやり方を使う必要がありません。この技術を使えば、思考が解放されるとともに、手作業からも解放されるんです。とても爽快な経験です」

最上部画像:ブッシ(左)とジアンブラは二人とも36歳で、現在アディティブに携わる多くのエンジニアと同様、大学ではアディティブ技術を学んでいない。ジアンブラは笑いながら次のように述べている。「アディティブ技術なんて、だれも専攻していませんでした。私が工学の学位を取った当時、アディティブ技術をテーマにしたコースは1つもありませんでした。みんな仕事を通じてこの技術を学んでいます」 (写真:ヤリ・M・ボヴァリーノ、GE Reports)上部画像:テストエンジニアのスティーブ・エリクソンと、プラハのテストスタンドに設置されたGE Catalyst。(写真:トーマス・ケルナー、GE Reports)

ジアンブラ、ブッシおよびそのチームは、この最新の金属3Dプリント装置の性能を確かめるため、試作品の作成から始めました。試験し、微調整するプロセスまでをわずか数週間で繰り返すことが可能となり、開発期間を短縮することができるようになりました。さらに、それまでは高額過ぎたり、物理的に不可能だった形状を設計しても、試作品をつくることができるようになりました。たとえば、金属3Dプリントを使えば、4つの部品から製造していたスワラーを1つの部品として一体でプリントできるようになり、開発期間を数週間も短縮できます。ブッシは次のように述べています。「かつて設計エンジニアは、工場で実際に生産可能かどうかを自問自答しながら製品設計をしていました。 しかし、このような制約はアディティブの導入によって取り払われ、かつては実現不可能と思われていた形状でも実現できるようになりました。現在、私たちの関心は製品要求に対して、最適設計を実現することに移っています」

ドリル加工やフライス加工などの伝統的な製造技術では、部品を製造するために外部から切削工具で素材を加工します。そのため、複雑な内部形状をつくることは困難です。しかし、金属3Dプリンターでは、材料を積層または付加させるため、空洞や格子状の構造など複雑な形状をコンピューターファイルから直接プリントすることが可能です。たとえば、ブッシが3Dプリントで作成したギアボックスのカバーでは、表面の微細なリブやリッジにより構造的に強度が増しており、強度が重要でない部品の壁部分は、1ミリまで薄くすることが可能です。この結果、部品の重量は従来より15~20%軽量化できました。「鍛造や鋳造では通常不可能な肉厚の薄さでも、製品として実現可能になりました」とブッシは話します。

金属3Dプリンティングにより開発のスピードも飛躍的に向上し、最短3週間で新たな設計を完成できるようになりました。ジアンブラは次のように述べています。「従来の鍛造や機械加工とは比べものになりません。1つの機械でほぼ何でも作れます。高価な金型・鋳型や特殊な機械は不要です」


GEアディティブでカスタマーエクスペリエンスセンターを担当するグローバルリーダーのジェニファー・チポラ(当時)は、次のように述べている。「3Dプリントについて皆さんがおっしゃることは、わずか2年間でさま変わりしました。以前は『なぜ導入が必要か。どうしてそれほど重要なのか』といった声が大半でしたが、今では『競合他社がアディティブを導入したようだ。我々は遅れをとってしまった。どうすれば追い付けるか』に変わっています」(写真:GEアディティブ)

アビオ・エアロおよびGEアビエーションは両社とも、アディティブの分野で好スタートを切ることができたとジアンブラとブッシは話します。アビオ・エアロは10年ほど前、トリノにある3Dプリント工房プロトキャストを買収しました。アビオ・エアロはさらに、新たな3Dプリントアプリケーションの開発および金属プリント用のパウダーの新たな取り扱い方法の研究のために、イタリアの都市バーリおよびトリノの大学と提携しました。その数年後、技術系専門学校と提携し、2つのラボ(1件はアディティブ・リペアソリューションのための施設をバーリに、もう1件はプロセスおよび金属パウダーを研究するための施設をトリノに)を開設しました。米国ではGEアビエーションが、AMのパイオニアであるモーリステクノロジーを買収しました。

トリノ、シンシナティのATC、ポーランド・ワルシャワのエンジニアリングデザインセンターにおけるさまざまな成果にもかかわらず、GEで働く金属3Dプリンティングを活用している先駆者たちはまだ始まりに過ぎないと話します。またブッシは次のように述べています。「まだスタートしたばかりで今後多くの課題が待ち受けていると考えていますが、これまでのヨーロッパと米国での我々の成果は目を見張るものがあると自負しております」 アビオ・エアロは、南イタリアのプーリア州ブリンディジにあるプラント内に新たなアディティブ施設を開設する予定です。この施設では、GEが買収した3Dプリンターメーカーであるコンセプト・レーザー製の新たな装置を使って、GE Catalystの部品が量産される予定です。

GE Catalystの場合、金属3Dプリントティングにより、従来製法では855個の部品がアディティブでは12個に集約されています。この飛躍的な進歩を、商用ターボプロップ機でもジェット機と同様の飛行を可能にするデジタルコントロールならびに新たな設計や技術と組み合わせることにより、同クラスのエンジンと比較して燃費が20%改善し、出力が10%向上します。GE Catalystは、アディティブ技術を駆使することで、ターボプロップ航空機設計の新しい時代を切り開くエンジンなのです。

ドリル加工やフライス加工などの伝統的な製造技術では、部品を製造するために外部から素材を加工する。そのため、複雑な内部形状をつくることは困難だ。しかし、金属3Dプリンターは素材を積層、または付加させるため、空洞や格子状の構造など複雑な形状をコンピューターファイルから直接プリントすることが可能となる。(写真:トマス・ケルナー、GE Reports)

明日、開幕する日本最大の製造業向けITソリューション展「第29回設計・製造ソリューション展」にGEアディティブの代理店である 株式会社エイチ・ティー・エル(ブース番号:東3ホール 20-29)および 株式会社シーケービー(ブース番号:東3ホール 23-40)が出展します。コンセプト・レーザー社製またはアーカム社製装置で製造された金属3D プリンタのパーツサンプルをご覧になれます。GEアディティブの日本統括責任者であるトーマス・パンも「GEー金属3Dプリンタで量産」と題したセミナーでどのようにお客様のビジネスにアディティブ技術の導入と普及を加速するお手伝いをしているかご説明します。皆さまのご来場をお待ちしております。

「第29回設計・製造ソリューション展製品・技術PRセミナー」
6月21日(木)15:30~16:30
於:PRセミナー会場 東2ホール2階(参加登録不要、参加無料)

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