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飛行遅延を解消するのは、意外な分野の科学者だった!?

ホセ・フォノリョサさんは、ふつう人々が母国語を使いこなす以上に、機械の言語を理解している人物です。
スペインのバルセロナにあるカタルーニャ工科大学の信号理論・通信学部の教授を務めるフォノリョサ氏は、機械学習と音声認識の研究を20年間続けてきました。2006年には、スペイン語を英語に変換する、欧州議会のための翻訳機を考える研究チームにも加わりました。

ところが今春、彼の音声認識技術は、全く別の形で成果を挙げました。GE主催のアイデア公募、「Flight Quest」チャレンジの第2フェーズで優勝したのです。フォノリョサ教授は自分の専門分野と、航空機の定時着陸のためのアルゴリズムに重なる部分があることに気が付きました。

GEは、航空会社が各定期便の飛行距離をほんの10マイル短縮できれば、
年間3億6,000万ガロンの燃料消費を削減できると試算しています。

現在のフライトプラン―すなわち、航空機の経路や速度、高度などを定め管制機関に共有される飛行計画には、重大な弱点が。それは、フライトの途中で設定内容を調整することができないこと。風や天候・・・たとえば火山灰や黄砂の飛散状況といった、絶え間なく変化する要素を考慮することができないのです。フォノリョサ教授のアルゴリズムは、米フライトスタッツ社の領空データを活用し、リアルタイムで最も効率のよい飛行経路、速度、高度を決定します。

フォノリョサ教授はスペインの日刊紙、エル・コンフィデンシャルにこう説明しています。「このアルゴリズムは、それぞれの高度や速度における障害をいかに克服できるか、あらゆる可能性を検討します。すでに普及しているGPSと似た手法ですが、アルゴリズムが導き出す可能性は無限に存在するんです。ですから、コンピューターで計算し尽くし、いかに最適な状態で運航させられるかが鍵なんです。詳細の仕組みは秘密ですけど、徹底的かつ効率的なシステムなんですよ」

GEはビッグデータのオープンコミュニティである米Kaggle社、そして米アラスカ航空とのパートナーシップでこのアイデア公募を実施しました。3社は、世界中のデータサイエンティストに飛行効率を高め、運航遅延を削減するアルゴリズム開発を働きかけました。優勝したフォノリョサ教授のモデルでは、実際の飛行データに比べ、運航効率が12%も向上することがわかりました。これによって、航空業界は年間30億ドルものコスト削減を実現できる可能性があるのです。GEのオープン・イノベーションおよびアドバンスト・マニュファクチャリングの責任者であるダイアン・フィンクハウスは「今回のアイデア公募で、ホセは驚くべきソリューションを示してくれました」と語っています。

GEはアルゴリズムをテストし、最終的には、航空会社が燃料コストや炭素排出量を削減したり、航空便の定時到着を実現できるようなソリューションとして完成させようとしています。アルゴリズムは解読できなくても、このアルゴリズムの有効性は納得ですよね。