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嵐を乗り越えて:GEの台風クラス対応風力タービン

先週、非常に勢力が強い台風21号「チェービー」が近畿そして北陸地方を直撃し、各地に大きな被害をもたらしました。台風は、日本において風力発電の導入にとっても脅威になります。日本の電力に占める風力発電の割合は小さい(既設容量、3.4ギガワット)ものの、その発電量は増えています。GEのエンジニア達は現在、新しい風力発電設備が自然の猛威に耐えられるよう取り組んでいます。

「通常」の風力タービンは、最大風速毎秒42.5メートル(毎時94マイル)まで耐えることができます。これは、昨年中米を襲ったハリケーン「ネイト」のようなカテゴリー1の暴風雨とほぼ同じ強さです。

GEリニューアブルエナジーは、さらに強靱な風力タービンを製造しています。スペインのバルセロナチームは、「4.2-117」という特殊クラスのタービン開発を進めており、これらは最大毎秒57メートル(時速128マイル)の突風を伴う暴風に耐えることができます。「これらのタービンは、通常クラスのタービンではありません」と、バルセロナに拠点を置くGEリニューアブルエナジーのエンジニアリング・マネージャであるイスマエル・イダルゴは言います。彼はこれらの構造やその強度を設計するチームのリーダーです。

どうやったらこのような特殊な風力タービンが実現するのでしょうか?まずは、タービン工学について簡単に説明しましょう。風力タービンにはシンプルなルールがあります。それは、ブレード(またはロータ径)が大きいほど、発電量が増えるということです。

GEの風力タービンは世界中で稼働しています。上記は、オーストラリアのアララット風力発電所で利用されているタービンです。最上部の写真:ルーマニアのガラツィ付近でGEの技術者がGEの風力タービンのメンテナンスを実施しています。写真:GEリニューアブルエナジー

例えば、GEの1.7メガワット(MW)陸上モデルのブレードの長さは100メートルで、これはサッカー場の長さに匹敵します。名称が示すとおり、このタービンの発電容量は1.7MWです。4.8MWモデルのブレードの長さはなんと158メートルもあり、米国のワシントン記念塔の高さより若干低いくらいの長さです。長いほど発電量が増えることがこれでおわかりでしょう。

一般に、長いブレードは、てこの原理により発電機を回転させるための風力が少なくてすむため有利です。そのほとんどがグラスファイバーで製造されており、フレキシブルで、ほとんどの風域の風をとらえるよう設計されています。

では、ブレードを短くすれば良いのではないか、とお思いかもしれません。それも計画済みです。GEの耐台風型タービン「4.2-117」のローターは比較的小さめの117メートルで、イダルゴによると、タワーにかかる機械負荷を減らすのに重要です。

しかし耐台風型タービンでは、他の主要部のサイズも再設計しなければなりません。例えば、タービンとローターを空中にで支えるタワーは、通常より厚い鋼鉄でつくります。この幅広な胴体が、力強い巨木のようにタービンを固定するのです。タービン「4.2-117」の総重量は約460トンで、標準的なタービンよりも100~150トン重くなっています。設置に大規模なクレーンが必要になりますが、その追加費用は将来やってくる暴風雨に備える保険となります。

羽根が短くなっているにも関わらず、風力発電タービン「4.2-117」はトップクラスの4.2MWを発電します。短いタービン・ブレードが、どうやってそんな電力を発電するのか疑問に思うかもしれません。イダルゴの説明によると、風力はブレードの受風面積と風速に比例します。つまり、異常に強い風が吹くと風力が大幅に増加します。

もう1つの利点は、短いブレードは道路での運搬が容易なことです。「日本では道路や橋などの運搬上の制約があるため、風力発電施設まで実際に運ぶことができるブレードが必要なのです。耐台風型タービンの運搬には9台のトラックが必要となります」とイダルゴは言います。

耐台風型タービンは、8月下旬から10月下旬まで台風シーズンが続く日本に最適です。北西太平洋上空では、毎年およそ30個の台風と熱帯暴風雨が発生し、その一部が日本に上陸しています。

この頑丈なタービンは、世界中のほとんどどこででも稼働できます。気象的に言うと、台風はハリケーンやサイクロンとそれほど違いはありません。つまり、この頑丈な風力タービン「4.2-117」は、南米アルゼンチンの大草原、アメリカ湾岸、インドなどでも耐えることができることを意味します。

6月より、GEはオランダの国立再生可能エネルギー研究所で耐台風型タービンの試作機模型の組み立てを開始しています。このタービンはさらに、6か月に及ぶ耐久試験を受ける予定です。「私たちは、想定外の事象にも耐えうるタービンを製造しています」とイダルゴは言います。「今後は、過酷な条件でシミュレーションを行い、収集したデータが期待する値に達するかどうかを見極めていきます」

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