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見えてきた光:未来の送電網を構築するGE技術者

ベラ・シルバは、幼い頃の暑い夏、アイスが溶けてコーンだけになったおやつのことを覚えています。彼女の故郷であるポルトガルの小さな町ヴァレ・デ・カンブラでは、地元のダムで発電された電気を使っていました。「何時間も停電することがよくありました。そのためアイスクリームが全部溶けてしまったのです」と彼女は言います。

1970年代後半、彼女が6歳のとき、町が送電網につながれたことで停電はなくなりました。「人生が一変しました」とシルバは言います。

事実、送電網につながったことがこの少女に大きな影響を与え、彼女の興味を刺激しました。電気とは何か、どうやってつくられるのか、そしてどのように機能するのかということを考えるようになったのです。彼女が12歳のとき、祖父が大規模な水力発電所に連れて行ってくれました。「祖父はタービンや発電機を私に見せ、それに関わる工学技術について説明してくれました」と彼女は笑いながら言います。「その話を夫にすると、『君は昔から仕事が好きなんだね』と言われます」

実際、その頃に抱いた興味こそが、電気・電子工学分野で長いキャリアを積むきっかけになったとシルバは考えています。彼女は数々の発見をし、電気工学の修士号、最終的には博士号を取得し、家族のなかで初のエンジニアかつ博士号保有者となって、研究開発部門で働くようになりました。この分野でのイノベーションや開発に夢中になり、彼女は4冊の本と40を超える学術論文を執筆し、再生可能エネルギーと電力システムの統合における功績により3つの賞を受賞しました。現在、彼女はGEパワーのグリッドソリューションで最高技術責任者を務め、17か国に広がる3,600人のエンジニアチームを率いています。

これらはすべて、彼女がこれまで多くの時間を費やして未来の送電網の姿について考えてきた証であり、彼女はCIGREパリ大会でこれらの考察を発表したいと考えています。「将来のシステムでは、もっと多くの電力が家庭で生み出されるようになるでしょう」と話す彼女は、地域で収集されたエネルギーを貯蔵するバッテリーを共有したり、各家庭の屋根で生み出される太陽エネルギーを共同管理する共同体が増えていくと考えます。「エネルギーをご近所同士で管理するようなシンプルなソリューションになるかもしれません」

彼女が幼年期を過ごした町のように、遠く離れた地域社会がこの様な動きの最大の受益者となるでしょう。「将来は、誰もが電気を利用できるようになります」と彼女は言います。「各家庭や、地域の小規模な送電網といったソリューションになるかもしれません」 このようなソリューションはすでに生活を向上させつつありますが、技術が改善してコストが低下すれば、今後さらなるソリューションが生まれるとシルバは言います。

送電網の構成が変化すれば送電方法も変化する、とGEパワーのグリッドソリューションのベラ・シルバ は高圧直流送電 (HVDC)などのイノベーションを例に挙げて述べている:上部写真: Getty Images最上部写真: Tomas Kellner

未来の送電網は、より環境に優しく持続可能で、よりフレキシブルになります。ガス、石炭、水力などの従来型エネルギー源のネットワークが拡大する一方で、風力や太陽光も持続的に増えていくでしょう。「地域の分散されたシステムと、国や大陸をつなぐ大規模な送電網が組み合わさったハイブリッドシステムのようなものになるでしょう」とシルバは言います。

彼女はまた、持続可能エネルギーの送電方法における大きな変化を予測しています。例えば、北海の風力発電施設から陸地にエネルギーを長距離輸送する事業を例に挙げてみましょう。「1つの大きな進歩がHVDC (高圧直流送電)です。これにより、高電圧を新たな地域に送電できるようになったのです」と彼女は言います。GEのグリッドソリューションは現在、システムセキュリティをサポートできる高度な機能を有するHVDC送電線を利用して、現代経済向けの新たな『電力スーパーハイウェイ』を構築しています。長距離間で電力を運ぶ方法としては主に交流(AC)が長く使用されてきましたが、直流(DC)であれば、3倍ものエネルギーをはるかに効率的に、より遠くへ運ぶことができます。「HVDCをつなぐことは、パイプのようにただAをBに接続する、ということに留まりません」とシルバは説明します。「実際にシステムをサポートすることができ、システムの安定化に貢献し、付随的なサービスを提供します。さらに、この未来を可能にし、費用効果を高めるために、バッテリーや柔軟性をもったソリューションなど、様々な分野の技術開発が進むでしょう。」

デジタル技術は送電網に関わる人々に革新的な影響を与える、と彼女は言います。彼女によると、現在の業界では送電網の部分的な修復や負荷の増大に対して保守的な手法をとっていると言うのです。しかし、データとエンドツーエンドのグリッド運用ツールを使用してシステムを稼働・分析・最適化するようになれば、電力事業者のネットワークはより安全で信頼できる強靭なものになります。「私は、未来に起こることを予知する能力について描いた『マイノリティ・レポート』という映画が大好きです」と彼女は言います。「システムの管理方法や送電網のメンテナンス計画は、まさに映画のようになると思います」

天気やサイバーセキュリティといった新たなリスクが将来の送電網に影響を与える、とシルバは付け加えます。「気象現象、異常天候、暴風雨、酷暑の発生が増えていくことを考えると、システムが停止してもすぐに復旧できるような新しい技術の開発が必要になるでしょう」と彼女は言います。「そして、このようなデジタルシステムが進化するにつれて、送電網の外にある物理的な脅威も拡大していきます」 将来の送電網はより「スマート」でなければならない、と彼女は言います。ほぼリアルタイムで決断を下し、より強靱であることが求められます。これを実現するのが、障害に対応して需要均衡をサポートするデジタル技術や自動化、複数の発電資源、エネルギー貯蔵です。「私たちのデジタルシステムは仮想インフラに依存しています。システムインフラの物理的なセキュリティと同様に優れたサイバーセキュリティが必要であり、十分に理解されなければなりません」

幼い頃、なぜ自分の家の冷蔵庫がいつも動かなくなっていたのか全く分からなかった彼女にとって、将来は明るく見えています。彼女はこう言います。「電気はほとんどの人にとって当たり前のものですが、私は安定的に電気が供給されない状態がどういうものかを知っています」

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