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ヘビ型ロボット:社員の安全と生産性向上に貢献

薄暗い光に照らされた薬品貯蔵タンクの中を点検することはとてもつらい仕事です。しかし、そんな仕事を優雅にかつ簡単に、しかも一言の不平もなくこなす「働き者」がいます。

その勇敢な働き者とは、つるつるの金属壁をゆっくり昇降したり、ぬるぬるした床を渡ったりすることができる特殊な磁石の無限軌道が装着されたヘビ型ロボットのことです。壊れたパイプ、ボルト、ホースの欠片、水溜まりとその底の垢に散在する瓦礫をすりぬけ、ロボットは頭部と後部に装着されたセンサーを駆使して容器を点検し、漏洩を検知し、収集したデータを作業者が安全な場所でタブレットで分析できるよう外部に送信することができます。より詳細な確認が必要な場合には、コブラのように首を持ち上げて写真を取ることもできますし、胴体がひっくり返ったときには自分で元に戻ることもできます。

汚い仕事ですが、誰かがやらなければなりません。ロボットが仕事を終わって戻ってきたら、作業者は噴流水をロボットにあててついた泥を流します。

控えめに言っても、この長さ1.2mのロボットは点検作業を革新的に簡便化しています。同じ仕事でタンクに人を送り込む場合には、例えば負傷に備えて救急救命士と救急車を待機させることが必要となります。しかし「ガーディアンS」と呼ばれるこの機械に救護計画は必要ありません。そのため、社員の安全と効率性の向上に熱心な企業は、すでにこのようなロボットを配備して、人を危険な業務からより安全な仕事に異動させています。「当社は人間を置き換えるのではなく、人間を補完するロボティックスの分野に力を入れています」と、ヘビ型ロボットを製造するサーコスロボティックス社 社長兼共同創業者のフレーザー・スミス氏は言います。

サーコスロボティックス社(サーコス社)は人間が行うのには困難で、危険過ぎる仕事を行うロボットを開発しています。ヘビ型の「ガーディアンS」のほか、サーコスロボティックスは重量物持ち上げを補助するための、戦車状軌道の上にロボットの両手が付いた「ガーディアンGT」も製造していますし、パワードスーツの「ガーディアンXO」も開発中です。

2年前にGEベンチャーがサーコス社に行った投資に続いて、GEは従業員の生産性向上とリスク削減を最初の目標として、現在ロボットを現場で試験的に使っています。

「当社は人間を置き換えるのではなく、人間を補完するロボティックスの分野に力を入れています」と、ヘビ型ロボットを製造する会社であるサーコスロボティックス社 社長兼共同創業者のフレーザー・スミス氏は述べている。記事トップと上の画像はサーコスロボティックス提供。

今年の春、英国にあるGEアビエーションのグロスターとハンブルの工場で、GEが購入したサーコス製ロボット(価格7万ドル)の実地テストを行いました。最終的な目的は、週次あるいは月次の保守作業を1台のロボットが各サイトで実施し、複数のロボットがそれ以外の頻度が少ない点検をサイトを巡回しながら行うというものです。「製造プロセスの遅延の原因になる恐れがあるため、オペレーションの停止、さらには点検前にタンクを空にするといったことは誰もが避けたいと考えています」と、GEのアドバンスド・マニュファクチャリング向け投資のマネージングディレクターで、サーコス社の取締役のラルフ・テーラースミスは述べています。

ロボット導入の最初のステップは操縦の訓練です。操縦者は数時間の訓練でロボットの制御を学び、この金属製のヘビを、人が入り込めず、不安定且つ危険な場所に、携帯型操作器で誘導することができるようになります。

テーラースミスによれば、ヘビ型ロボットの活躍が期待されている場所として、GEの発電設備、石油サイト、ガスサイトなどが挙げられます。例えば、風力タービンの腐食、さび、金属疲労の状態をチェックする必要がありますが、磁石を使ってタービンの軸をよじ登り、金属壁の厚さを測ることのできるヘビ型ロボットがあれば、人間の作業者がよじ登って点検する必要がなくなります。「ロボットを危険な環境に送り込みつつ、安全な環境にいる人間が意思決定をします」と、GE全事業で環境、健康、安全分野における「デジタル化」を推進するサム・マーリーは語ります。ロボットは発見した問題を分析・評価することでは潜在的に人間よりも優れていると、マーリーは言います。

現在GEはガーディアンSロボットを、米国のペンシルバニア州ブリッジビルでの貯蔵タンク配管点検など、さまざまなパイロットプログラムで実際に使用しています。油田サービス提供会社であるGE子会社のベーカー・ヒューズGEが昨年参入したロボティック点検会社であるアビタス・システムとのパートナーシップではまた、超音波厚さ測定センサーと可動アーム上にカメラを装着した3台のガーディアンSロボットを実装し、石油貯蔵タンクとパイプラインの点検をしています。

米国のソルトレークシティを拠点とするサーコス社には、GE以外にも油田サービス大手のシュルンベルジェ社、建機大手キャタピラ社、IT大手マイクロソフト社などの大企業が出資者として名を連ねています。これらの企業はすべて、工場、鉱山、油田などのサイトで使用されるロボットの新たな使い方を研究する諮問グループの一員です。

このロボット技術の原型は、軍需企業のレイセオンが軍隊で軽油やガス、兵器や食料などの重量物を戦場に運ぶ支援技術から派生したものです。「この技術は本当に堅牢で堅実であり、実戦でもテスト済みです」と、テーラースミスは言います。「同様のロボット技術を産業および商業分野で活用しているのです」

例えば、無限軌道を装着したガーディアンGTロボティックアームにより、作業者は素手では持ち上げられないものを軽々と持ち上げることができますし、マーベルコミックのアイアンマンのようにパワードスーツを利用して作業時に力を増強することもできます。「クレーンやフォークリフトトラックを使う代わりに、このような種類のものを現場で使うことができます」と、テーラースミスは言います。

「ロボットと仕事の未来が議論される時、ロボットが人間に取って代わるか人間がロボットのようになるかが中心となっています」と、マーリーは言います。マーリーによれば、すでに両方のシナリオが進行しているのです。ロボットは産業の運用方法を改善し、作業者はパワードスーツなどのロボット技術を活用して人間だけでは不可能な仕事を可能にします。しかし、これらすべての背景には人間である設計者の力があるのです。

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