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2020年のその先へ 東京オリンピックが日本に残す”レガシー”とは

東京オリンピックの開催が決定して、もうすぐ1年が経とうとしています。開幕は、2020年7月24日金曜日・・・カウントダウンはすでに6年を切り、いよいよ準備を本格化する時期に入りました。

言うまでもなくオリンピックは、スポーツを通した人間育成と世界平和を目指す世界的な祭典です。開催国となる日本にとっては、日本という国の魅力を世界のオーディエンスに向けてプレゼンテーションする絶好の機会。そして忘れてはならないのは、2020年のその後の日本に価値ある有形・無形のレガシー(遺産)を築く機会でもあること。2002年からは国際オリンピック委員会(IOC)が定めるオリンピック憲章にも『オリンピック競技大会のよい遺産(レガシー)を開催国と開催都市に残すことを推進する』と明記されており、IOCが特に注力するテーマでもあります。

2020年は、その先のビジョンに向けた、輝く通過点。このスポーツの祭典を成功させると同時にここで築く有形・無形の社会基盤は、生活者にとってはその先の暮らしに、企業にとってはその先の成長機会に、そして国にとっては国際社会における競争力獲得の行方に直結します。1964年に開催した東京オリンピックを振り返っても、東海道新幹線、首都高速道路の整備、日本体育協会の発足、体育の日の制定・・・こうした有形・無形のレガシーが、その後の日本の経済成長や文化の発展の下支えとなったように。

6年を切った東京オリンピックまでの時間を、どのように使うか。急速に変化する世界のなかで先端都市東京をどう形作るかを考えるべきは、オリンピック関係機関だけではありません。その後の日本や各産業の成長を決定づけるファクターのひとつであることを認識し、事例に学びながら、社会全体でイノベーションを起こす絶好の機会です。

有形・無形の多数のレガシーを残した好例、2012年のロンドンオリンピックのケースをインフラに焦点を当てて見てみましょう。当初から大会終了後を念頭にデザインされ、現在も変貌を続けているのが、オリンピック・パークを中心としたロンドン東部エリア。歴史的に貧困地区で治安も悪かったロンドン東部はオリンピック開催までに道路整備などの開発が進み、会場の最寄り駅周辺には大型ショッピングセンターがオープンしました。そして、変貌の流れはオリンピック終了後に加速します。8万人収容だったメインスタジアムは、54,000人収容へと縮小改修され、2016年からサッカー・プレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドが本拠地として利用することが決定しています。同様に競泳、飛び込みの会場として使われたアクアティクス・センターも客席数を17,500席から2,500席まで減らし、大会後も活用される施設は、継続的な使用をにらんだ形で改修、再オープンされました。

 このほかにも、2013年に「ロンドン大学バークベック・カレッジ」の新キャンパス、公立校「チョバム・アカデミー」といった学校を開校したほか、選手村は「イーストビレッジ」と名付けられ、住宅地として再開発されました。今後は、メインプレスセンターがデジタル・コミュニティ施設「アイシティ(iCITY)」として2015年に再オープンするほか、「インターナショナル・クォーター」と呼ばれるビジネス街が2016年に、計8,000戸の住宅が並ぶ5つの新たなコミュニティーが2030年までに誕生する予定とされています。こうした一連のレガシーによる雇用創出数は2020年までに62~90万人と見込まれ、2012年のオリンピックは着実にロンドン市民の生活・ビジネスの場となり成長の基盤へと発展を遂げています。

2012年ロンドンオリンピック大会で、GEがオリンピック・パークに提供したインフラ。
大会閉幕後の現在もなお、現地のインフラとして活用されている

ロンドンのケースのように、東京が2020年のオリンピック開催を活用し、その後の発展に活かすことのできる”レガシー”を残せるかどうかは、これから私たちが東京オリンピックのゴールをどう考え、いかにデザインしていくかにかかっています。

日本GEは、東京オリンピックの成功に貢献するため、社内横断組織「東京2020オリンピック・プロジェクトチーム」を今年7月に発足させました。2005年1月にIOCのワールドワイドパートナーになって以来、 GEはトリノ、 北京、 バンクーバー、 ロンドン、 ソチと過去5回の大会で800件以上のオリンピックのインフラ計画に参加してきました。こうした経験と知見を最大限に活用し、東京オリンピック競技大会組織委員会や日本オリンピック委員会などの関連団体、東京都等の自治体、そして他の民間企業と緊密に連携を図っていきます。そして大会後も見据え、持続可能で信頼できる最新の設備提案などを通じて、大会の成功はもちろん、新たなレガシーとして世界に誇れる東京のインフラ整備に貢献していきます。

参考文献:

  • (財)自治体国際化協会ロンドン事務所マンスリートピック(2013 年 10 月)
  • Before, during and after: making the most of the London 2012 Games (2008, Department for Culture, Media, and Sport)