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ハードとソフトが融合する時代: 拡大を始めたインダストリアル・インターネット

モノのインターネット化(IoT:Internet of Things)、は今年産業界のバズワードでしたね。IoTというと、どんなものが想起されるでしょう?

ウエアラブルデバイスを使ってフィットネス効果や健康管理をするFitBit
スマホのアプリを使った温度計、
外出先から操作できるエアコン・・・

こうした消費財は、IoTの“目に見えて分かりやすい応用例”です。しかしこれらは、世界中の2,000億台以上もの機器がまもなくインターネットに繋がれることで何百兆円もの経済効果が生まれるという、これまでの常識を「あり得ないほどに」くつがえす、巨大な現象のほんの一部に過ぎません。

現に専門家たちが、IoTは掘削装置やジェットエンジン、機関車、その他の重機が生み出すデータを取得・分析することにより「目に見えない」産業セクターでビッグデータがその価値を大いに発揮すると予想しています。

このネットワークはインダストリアル・インターネットと呼ばれ、すでに企業のコスト削減やパフォーマンス向上に役立てられています。米国最大の鉄道会社であるユニオン・パシフィック社は、部品をモニターし、部品が故障する可能性や、その時期を予測するアルゴリズムにデータを送信するセンサーと機関車を結合することで、運転効率を向上させました。産業データは単に莫大であるだけでなく、最も重要かつ複雑なビッグデータなのです。

GEのCEO、ジェフ・イメルトは「イストリアル・インターネットを使って産業機器の性能を観察・予測・変更することで、航空・鉄道・発電所などでの効率最大化を支援できる」と自信を見せています。

GEはインダストリアル・インターネットに賭けています。
このネットワークには、今後20年間で世界全体のGDPを、現在の米国の経済規模に相当する10兆~15兆ドル押し上げ得るという確信があります。GEのソフトウェア部門は、Predixと呼ぶソフトウェア・プラットフォームを開発しました。これにより米ユニオン・パシフィック社をはじめ、石油掘削企業や風力発電所、病院、その他のお客さまが、予測に基づいた運用、ダウンタイム削減、効率向上を実現できるようになったのです。

ビッグデータを取得し、専用サーバに伝送するには、技術的かつロジスティックな課題が立ちはだかります。
そこで2014年春、GE、AT&T、シスコシステムズ、IBMがインダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)を結成。このオープンな非営利団体の目的は、サイロ化したテクノロジー間の障壁を取り除き、機器同士のコミュニケーションを改善し、現実とデジタルの世界の統合を推し進めることです。

この目的を実現するべく、各企業は研究開発力を結集し、インダストリアル・インターネットの重要な要素を標準化するための共通アーキテクチャーや、先端的なテスト環境を開発します。

GEグローバル・ソフトウェアのバイスプレジデントを務める ビル・ルー は最近、オライリーメディア社のブログ「O’Reilly Radar」のマイク・バーロウの記事の中で――データを有益なインサイト(洞察)に変換するには、迅速かつ精密で、信頼性に優れ、拡張性ある標準化されたインフラストラクチャーやプロセスの構築に向け、IICのような組織が主導する産業全体の取り組みが欠かせない――と語りました。

こんな巨大な発電機(ガスタービン)もインダストリアル・インターネットと繋がっている

インダストリアル・インターネットはその実用が始まったばかりですが、企業の方々に“待ちぼうけ”などさせません。GEのCEO、イメルトは今春米国で開催されたElectrical Products Group Conference(電気製品グループ会議)で、電力会社の経営層やウォールストリートのアナリスト、投資家向けに講演した際、今年末までに、GEは「Predictivity」という産業分析アプリケーションを40種以上開発する予定であり、これにより10億ドル(約1,000億円)以上の売上高を見込んでいることを公言しました。

GEグローバル・リサーチ・センターの複雑系工学ラボの責任者 ジョー・サルヴォは、インターネットの活躍の場は、もはや電子メールやEコマース、Twitterだけではない、として「私たちは今、非常に大きな転換期を迎えています。“生産性”の次の波は、高性能機器や人が、データから得るパワフルなインサイトと結びつくことによって生まれるものになるでしょう」と語っています。

TOPの写真:整備士たちはすでに、GEnxなどのジェットエンジンからデータを収集しています。